【チェックリスト】フェムゾーンのかゆみとおりもの。病院に行くべきはどんなとき?

 【チェックリスト】フェムゾーンのかゆみとおりもの。病院に行くべきはどんなとき?
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増田美加
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2021-07-30

“健やかで美しい体と心”を手に入れるための最新情報を女性医療ジャーナリストの増田美加がお届けします。 ジメジメする梅雨時は、粘膜のかゆみや赤みが気になりますね。気になるけれど、人に相談しにくい症状には、腟や外陰部などのフェムゾーンのかゆみやおりものがあります。いつもと違う、かゆみやおりものは不安だけれど、病院に行くのは恥ずかしい…という相談をよく受けます。どんな症状なら婦人科を受診すべきか、チェックしてみましょう。

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かゆみ、おりもので注意すべきは“STI”

恥ずかしがる必要はありません。フェムゾーンのかゆみやおりものは、10代後半~40代のどの年代の女性にも、起こりやすい症状です。

かゆみやおりものなどの症状で、まず心配すべきは、性感染症です。性感染症は、クラミジアやヘルペス、尖圭コンジローマ、淋菌など、若い女性を中心に増加傾向にあります。

英語では Sexually Transmitted Infection、略してSTI (エスティーアイ)と呼びます。Infectionの「感染していること」をDiseaseという「病気」に置き換えて、STD と呼ぶこともあります。病気の元になる菌やウイルスは、性器の周辺や精液、腟分泌物、血液などに存在して、セックスなどによって感染します。

性器による性交だけでなく、オーラルセックス、ディープキスなどによっても感染します。クラミジア、淋菌、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、トリコモナス、梅毒、HIV 感染症など、およそ15 種類の性感染症が知られています。また、子宮頸がんの原因となるHPV( ヒトパピローマウイルス) も性行為によって感染します。

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こんな症状をチェックしてみて!

では、さっそく、気になる症状をチェックしてみましょう。

□性行為をするときにあまりコンドームを使わない

□セックスパートナーが複数いる

□セックスをすると下腹部が痛い

□尿をすると痛い

□陰部がかゆい、または痛い

□最近おりものが増えた

□おりもののにおいが気になる

□性器周囲にイボや水疱がある

□太ももの付け根が腫れている

□最近、全身倦怠感が強い

女性の健康推進室「ヘルスケアラボ」より

上述の項目で、ひとつでも当てはまるものがあったら、要注意です。婦人科を受診しましょう。特に、性行為をするときにコンドームを使わない人は、ハイリスクです。自分の体を守り、性感染症予防のためにコンドームは、必ず使いましょう。

婦人科で行う性感染症の検査って?

かゆみやおりものなどの心配な症状があった場合、婦人科で行う検査を紹介します。これらは、症状がなくても、20代~40代の女性なら年1回は受けておいてもいい検査項目です。女性特有の検査ですから、知っておくと役に立ちます。恥ずかしがらず、早めに婦人科で検査してもらうと安心です。万が一、病気がある場合でも、早めに治療すれば大事にならず、簡単な治療で済むことが多いのです。

おりものや性感染症の検査ですることは?

いつもと違うおりものやかゆみ、性感染症の不安があった場合に行うのは、こんな検査です。

◎おりもの検査 

腟からおりものを採取して、細菌、クラミジア、淋菌、カンジダ、腟トリコモナスなどを検査します。細い綿棒でおりものをそっと取るだけなので痛みはなく、数秒で終わります。

おりもの検査では、下着を脱いで内診台に上がります。結果が出るまでには数日~1週間程度かかります。まずは検査だけして1~2週間後に結果を聞きに行き、異常があれば薬を処方してもらうのが一般的な流れです。ただ、おりものを見ただけで明らかに病気が疑われる場合は、検査結果を待たずに薬が処方されることもあります。治療はお薬で治るものがほとんどです。怖がらず早めに検査しましょう。

検査では、腟炎、外陰炎、性器クラミジア感染症、淋菌感染症、腟カンジダ症、腟トリコモナス症などの病気の有無がわかります。不妊症の原因になる病気もあるので、性経験がある女性は、年1回程度は行うとよい検査です。

◎性感染症(STI/STD)検査

心配の可能性があれば、採血で、梅毒、エイズ(HIV)、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスなどの検査ができます。梅毒の人は、エイズにも感染しやすいという報告があるため、両方を検査します。B型、C型肝炎ウイルスへの感染の有無は、行っておきたい検査です。

おりものに、血液が混ざっている場合は、がんの可能性も考えられますので、放置せずすぐに婦人科で検査しましょう。また、おりものの異常やかゆみに、下腹部の痛みをともなうこともあります。心配な症状がある場合は自己判断するのではなく、受診することをまず考えましょう。

◎子宮頸がん検診

不正出血やおりものの増加、性交痛などは、子宮頸がんの初期症状の可能性があります。また症状がなくても、20歳以上は2年に1回は行うべき検査です。細胞診といって、子宮の入り口の子宮頸部から、小さなブラシで細胞を採取して調べます。

また、HPV検査といって、子宮頸がんの原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)の有無や、頸がんのハイリスクになるHPVの型を調べる検査もあります。

子宮頸がん検査
フェムゾーンにかゆみを感じたら怖がらず早めに検査しましょう/GettyImages

更年期の不調に多いデリケートゾーンの悩みの解決法。外陰部や腟のかゆみ、乾燥、頻尿、尿もれ、性交痛のケアについては、『もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択』(オークラ出版)でも詳しく紹介しています。

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増田美加

増田美加

増田美加・女性医療ジャーナリスト。予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。 新刊『もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択』(オークラ出版)が話題。 もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択 | 増田美加 |本 | 通販 | Amazon



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