【更年期世代、おりものの変化に注意】洗い過ぎはNG!産婦人科医が勧める“おりもの”のニオイ対策

 【更年期世代、おりものの変化に注意】洗い過ぎはNG!産婦人科医が勧める“おりもの”のニオイ対策
AdobeStock
増田美加
増田美加
2024-04-20

“健やかで美しい体と心”を手に入れるための最新情報を女性医療ジャーナリストの増田美加がお届けします。「おりものの量が増える」「ニオイが気になる」。おりものは、女性ホルモンのサイクルや健康を判断するバロメーターとなる大事なサインです。量やニオイ、色などは月経周期や健康状態によっても変わります。そこで、おりものが気になったときのケア方法について産婦人科専門医の吉本裕子先生に聞きました。

広告

生理周期によって、おりものの量や色、ニオイが変わる!

「おりものを心配してクリニックを来院する人も多いのですが、実はおりものには、体を守る大切な役割があります。正常なおりものなのに、心配して来院する人も多いですね。おりもののことを正しく知れば、無用な心配をしなくてすむと思います」と吉本裕子先生。

おりものは、子宮頸部や子宮内膜、腟から出る酸性の分泌物の総称。汗腺からの汗なども混ざって腟から排出されます。おりものには、腟内部のうるおいを保って粘膜を守る、汚れを排出する、ばい菌などが子宮内に侵入するのを防ぐ働きがあります。また、排卵時にはとろみのあるゼリー状に変わって、腟や子宮頸部に精子を受け入れやすい状態にする働きもあります。

生理周期によって、おりものの量や色は変化するのでしょうか?

「ひと月の生理の周期には、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンの分泌量が変化するのに伴って、卵胞期・排卵期・黄体期・生理期がありますが、そのタイミングごとにおりものの量や色、ニオイは変わります。もちろん、個人差も大きいです。生理周期とおりものの変化の関係を下記にまとめました。生理周期とおりものの変化のパターンを知っておけば、「そろそろ排卵日?」「生理が近い?」と、体の状態を知る目安にもなります」(吉本先生)

AdobeStock
AdobeStock

【生理周期による、おりものの変化】

生理直後~卵胞前

生理直後は、おりものが少ない時期。生理のなごりで血液が混ざって茶褐色になって生臭く感じることもあります。その後、排卵が近づくにつれて、量が少しずつ増えてきて、サラリとしたおりものになります。

排卵期

おりものの量がピークを迎える時期。排卵期は精子を運びやすくするために、卵の白身のような透明で粘り気のある、卵の白身部分のように糸を引くようなトロッとした状態にゼリー状に変化します。よく伸びるおりものが2~3日続きますが、ニオイは強くありません。この時期におりものに血が混ざることがありますが、だいたいは「中間期出血」といって生理的な現象です。中間期出血は、たままれに起こる場合は心配いりませんが、毎回、排卵時期に出血する人は、子宮内のポリープなども考えられるので、婦人科を受診しましょう。

黄体期

排卵後、おりものの量は次第に少なくなり、透明から乳白色に変わります。排卵後は、子宮内にばい菌が入らないようにブロックするため、白濁した糊のような粘り気のあるおりものになります。下着について乾くと、黄色っぽくなることも。さらに生理が近づくと、ニオイが強くなったり、まれに少量の血液が混ざることもあります。

生理期

生理が始まると、おりものはなくなります。おりものは、私たちの生理周期を知るサインになります。自分のおりものの変化を知っておくと、排卵日や生理日を事前に予測できますね。 

更年期になるとおりものが減り、腟内環境が悪化!?

また、おりものは、年齢によっても変化します。おりものは生理が始まる思春期から出はじめますが、10代の第二次性徴期は女性ホルモンの分泌が不安定なので、おりものは多いときと少ないときとバラつきがあるのが特徴です。20代30代は女性ホルモンが整い、分泌がピークになる時期で、おりものの量も最も多くなります。

「その後、更年期になると、おりものは減ってきて、腟や外陰部は乾燥していきます。若いときは、常在菌のデーデルライン桿菌(乳酸桿菌)によって、腟は酸性に保たれていて、酸性に保つことで病原菌の繁殖を防ぎ、腟内の環境を整えています。ところが、更年期になると、エストロゲンの分泌量が低下して、デーデルライン桿菌が増殖できなくなります。すると、腟内環境が悪化し、常在菌のバランスが乱れて、腟内の自浄作用が低下します。雑菌が増え、カンジダ腟炎や膀胱炎にもかかりやすくなるのです」(吉本先生)

AdobeStock
AdobeStock

フェムゾーンのニオイ、かぶれ対策は? 

正常なおりものでも、ニオイやかぶれに悩んでいる人は、フェムゾーン(外陰部、腟周り)を洗いすぎていることが少なくありません。

「外陰部はお湯でサッと洗うくらいで十分です。もし石鹸を使いたい場合は、ボディソープは使わず、フェムゾーンの㏗値に合わせた専用の洗浄剤で軽く洗う程度にしましょう。また、腟の中には大切な常在菌がいるので、ボディソープはもちろん、お湯や水でも洗う必要はありません」(吉本先生)

洗う場所は、外陰部の大陰唇と小陰唇。小陰唇にはヒダがあって、垢がついていることもあるので、指でそっと凹凸を優しく洗ってあげてください。乾燥が気になったときだけ、フェムゾーンの保湿剤を外陰部に塗ればOKです。

「ビデの使い過ぎも要注意です。洗い過ぎてフェムゾーンが荒れると、雑菌が入りやすくなってしまいます。おりものシートは、つけっぱなしだと、かぶれてしまうことがありますので、あまりおすすめしません。もし使うなら、こまめに変えましょう。おりものが気になる人は、通気性のいい下着を選ぶことも大切です。きついストッキングやガードルで締めつけて蒸れると、カンジダ腟炎になりやすくなります」(吉本先生)

フェムゾーンは、蒸れると雑菌が繁殖しやすくなります。蒸れた革靴の中で繁殖する水虫と同じです。カンジダ腟炎になりやすい人は、寝るときに締めつけるショーツを履かずにトランクスのようなゆとりのある通気性のいい下着に変えてみましょう。

お話を伺ったのは…吉本裕子(よしもとゆうこ)先生

吉本レディースクリニック院長
産婦人科医。日本専門医機構認定専門医。高知医大(現・高知大学医学部)卒業。金沢大学付属病院、富山市民病院を経て現職。病気治療だけでなく、女性の人生に寄り添い、心身の拠り所となるクリニックとして定評がある。『Rp.+(レシピプラス)VOL.21 NO.1冬2022「ホルモンとくすり」』(南山堂)共同執筆。

広告

AUTHOR

増田美加

増田美加

増田美加・女性医療ジャーナリスト。予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。 新刊『もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択』(オークラ出版)が話題。 もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択 | 増田美加 |本 | 通販 | Amazon



RELATED関連記事

Galleryこの記事の画像/動画一覧

AdobeStock
AdobeStock