夜中のトイレの回数が増えたら要注意?意外と知らない〈腎臓病〉の初期症状とは|医師が解説


新たな国民病とも言われることも?!腎臓病を放置すれば、慢性腎臓病に発展する可能性があります。医師が解説します。
夜中のトイレの回数が増えたら要注意?腎臓病の初期症状とは?
腎臓の病気は、初期段階では、自覚症状が現れにくいことがありますが、「むくみ」、「血尿」などの症状によって、気づく場合もあります。
腎臓病の初期症状としては、足や顔などの部位が腫れてしまう「むくみ」があげられます。
血液を浄化する作用を有する腎臓の糸球体に障害が起こると、血液を十分に濾過することができなくなり、老廃物や余分な水分、塩分を体外に排泄できなくなることで、むくみの原因となります。
むくみの症状がみられる場合は、腎臓病の中でも、急性腎炎、慢性腎炎、多発性嚢胞腎、ネフローゼ症候群などの可能性が疑われます。
また、頻尿とは、尿の回数が多いことを指し、具体的には「朝起きてから寝るまでの排尿の回数が8回以上」の状態を意味していますし、就寝中の排尿回数が1回以上あると夜間頻尿と呼んでいます。
腎機能が低下すると、自然と尿の濃縮力が低下して、尿の量が増えますし、特に夜間での尿の濃縮力が低下すると夜間頻尿につながります。
また、腎機能が低下するとナトリウムの排泄が遅くなり、日中に排泄されるべきナトリウムが十分に排泄されずに、就寝中に排泄されることで夜間に尿意を催すこともあります。
腎臓病を放置するとどうなるのか
夜間頻尿に伴って、腎臓病の病状が進展して、病気を放置すると、慢性腎臓病に陥る可能性があります。
慢性腎臓病という疾患は、生活習慣病などを始めとして何かしらかの原因によって腎臓の機能が障害を受けて低下してしまう病気を指します。
慢性腎臓病は新たな国民病と言われることもあり、高血圧や糖尿病などの疾患が強く関連して発症するケースが多いために現代の高齢化社会においては慢性腎臓病を罹患する患者が急増していると指摘されています。
本疾患は、腎臓の機能が健常レベルの60%以下に低下する、あるいは尿中にタンパク質が漏出されるなどの異常所見が概ね3か月以上継続した場合に診断に結び付きます。
そもそも、腎臓という臓器は腰部辺りに位置するソラマメのような形をしている重量がおよそ150g程度の組織構造物で左右に1対ずつ存在しており、その機能としては血液をろ過して体内の不要な水分や老廃物を尿として体外へ排出する役割を担っています。

腎臓は様々な生体機能を有している重要な代物であり、血圧を調整する、あるいはナトリウムやカリウム、カルシウムやマグネシウムなどの主要なミネラルバランスを維持する、そして赤血球を作るエリスロポエチンと呼ばれるホルモンを分泌するなどの役割があります。
また、腎臓では健康な骨代謝を保つために必要とされているビタミンDの活性化機構に関与して骨を正常に機能させるうえで貢献していることも周知されています。
一般的には、年齢を重ねれば重ねるほど腎機能は自然と低下することから、高齢になるほど慢性腎臓病の発症リスクが高くなり、並行して肥満や高血圧、糖尿病、脂質異常症などの病気を合併することで慢性腎臓病を引き起こすと考えられています。
慢性腎臓病の原因はまさに多岐にわたると言われており、加齢や生活習慣病のみならずネフローゼ症候群などの腎疾患、膠原病、各種感染症、遺伝性異常、また腎臓で代謝される可能性のある薬剤など複雑に関連して腎機能は低下するといわれております。
腎臓病は、軽症のケースでは無症状のことがほとんどですが、腎機能の低下が顕著に悪化していくと全身の浮腫や倦怠感、食思不振などの症状が現れ始めて、さらに病状が進行すると肺などのスペースに水分が貯留することで呼吸苦などを自覚することもあります。
まとめ
最近では、高齢化や生活習慣病の増加に伴い、腎臓の病気やトラブルを抱える人が増加しており、腎臓病は自覚症状に乏しく、本人が気づかないうちに症状が進行していることもあるので、注意が必要です。
また、腎臓病を放置すれば、慢性腎臓病に発展する可能性があります。
慢性腎臓病は、重症度によって自覚症状は多彩であり、むくみや食欲の低下などの症状が出現することも多く、さらに重症化すると肺に胸水が溜まって息苦しさなどのサインが認められます。
心配であれば、腎臓内科など専門医療機関を受診しましょう。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
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