閉経後の腟トラブル…イガイガ、ヒリヒリの最新治療法とは?フェムケア専門の女性泌尿器科医が解説

 閉経後の腟トラブル…イガイガ、ヒリヒリの最新治療法とは?フェムケア専門の女性泌尿器科医が解説
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増田美加
増田美加
2024-02-10

“健やかで美しい体と心”を手に入れるための最新情報を女性医療ジャーナリストの増田美加がお届けします。フェムゾーン(デリケートゾーン)がイガイガ、ヒリヒリ…。かゆみを伴うことや、膀胱炎をくり返すことなどはありませんか? これは、GSM*(閉経関連尿路性器症候群)かもしれません。GSMは、フェムゾーンのかゆみ、尿もれ、セックス時の痛みなどがある病気。なかでも、腟や外陰部の乾燥に伴う症状改善のための治療法をフェムケアの専門家である女性泌尿器科医、関口由紀先生に聞きました。 *GSM=Genitourinary Syndrome of Menopause

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フェムゾーンを見て確認しましょう!

フェムゾーンとは、腟、外陰部、肛門周りの場所を指します。腟は、腟前庭部と腟内に分かれます。外陰部とは小陰唇や大陰唇などです。更年期からは、頻尿や尿もれが気になるところですが、ほかにも外陰部(小陰唇、大陰唇)や腟の乾燥などのトラブルが始まる人も少なくありません。

「イガイガ、ヒリヒリの症状は、フェムゾーンの乾燥によるものが多いです。閉経後であれば、GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)かもしれません。GSMとは、閉経後、女性ホルモンのエストロゲンが低下することに伴って、外陰部や腟の粘膜や皮下組織が萎縮したり、脆弱化したりして、泌尿器や性器症状が起こる病気のことです。症状は、外陰部や腟の乾燥、灼熱感、かゆみ、尿もれ、頻尿、繰り返す膀胱炎、性交痛などさまざまです。女性の2人に1人がこれらの症状に悩んでいると言われていて、GSMのトラブルは自然には治りません。放っておくとゆっくりと、確実に進んでいきます」と関口由紀先生。

気になる人は、GSMをチェックする項目がありますので、やってみてください。

【GSMチェック】 

当てはまる症状があれば、GSMが始まっている可能性があります。

・腟の乾燥感
・フェムゾーンのかゆみ
・腟・外陰のムズムズや灼熱感
・尿失禁・尿もれ
・頻尿・尿意切迫感
・腟のゆるみ
・フェムゾーンのにおい
・性交時の潤い不足
・性交痛
・性的欲求低下・オーガズム低下

肌や髪だけでなく、腟も痩せる! 

GSMの症状のなかでも、特に外陰部や腟にかゆみがあって、ヒリヒリ感などの乾燥、臭いなどの不快症状を感じるのは、外陰腟萎縮症と言われています。閉経すると、肌や髪がやせるように、粘膜も痩せます。外陰部や腟の潤いやふっくら感がなくなり、乾燥し痩せて、雑菌が繁殖するために起こる炎症です。性交痛や尿もれにも関連しています。GSMは、女性ホルモンと男性ホルモンの低下がおもな原因となる症候群で、性ホルモンの低下を前提としています。もうひとつ、加齢を背景にしたフェムゾーン(腟と外陰)の変化にスポットをあてた呼び方に、外陰腟萎縮症があります。アメリカ、イタリアでは閉経後女性の約半数に起こると言われていて、日本でも同じくらいと予測されています。

「海外では積極的に治療する人が多いですが、日本では誰にも相談できずに、そのまま我慢していたり、市販薬の軟膏などで対処する人が少なくありません。けれども、市販薬を使い続けることで、腟外陰萎縮症になってしまうこともあります。更年期以降の人生を我慢して過ごすのではなく、積極的に治療してほしいと思います」(関口先生)

【腟外陰萎縮症】

腟や外陰部に、当てはまる症状があれば、外陰腟萎縮が始まっている可能性があります。

・乾燥を感じる
・かゆみがある
・腫れた感じがある
・熱くほてる感じがする
・おりものが減ってきた
・性交痛がある
・アンモニア臭が気になる
・尿もれ、頻尿がある
・膀胱炎を繰り返す

GSMや外陰腟萎縮症だと膀胱炎をくり返すことも

これまでは、老化だから仕方がないと片づけられてきた病気ですが、GSMや腟外陰萎縮症は、進行するとQOLが大きく低下して、更年期後の女性の人生に影響が大きいです。イガイガ、ヒリヒリは、フェムゾーンのどこが乾燥して起こるのでしょうか? 

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「小陰唇や大陰唇、腟口(腟前庭部)、クリトリスも乾燥します。大陰唇は、皮膚なので、乾燥でシワや黒ずみを起こしやすいところです。小陰唇は、皮膚と粘膜の境目で、本来は湿っていて閉じています。しかし、年をとると、粘膜や皮下組織が乾燥して、萎縮するので、小陰唇が開きっぱなしになったり、なかには消滅してしまう人もいます。小陰唇が乾燥して開いたままの状態だと、尿道や腟に細菌が入りやすく、さらに腟前庭部の粘膜の乾燥も免疫力を落とし、閉経後は細菌性膀胱炎になりやすいのです。イガイガ、ヒリヒリは、GSMのサインでもあるので、放っておかずケアしてほしいです」(関口先生)

フェムゾーンの保湿の仕方

クリニックではどのような治療ができますか?

「まずは、その症状がGSMかどうかを診断します。ヒリヒリやかゆみを伴う症状の中には、ヘルペスや接触性皮膚炎、扁平苔癬などの病気の可能性もあるため、除外診断をすることが大切です。診察してGSMであれば、女性ホルモンの低下によって起こる症状に対してのケアや治療を行います」(関口先生)。

GSMの対策でまず重要なのは、①骨盤底トレーニングと、②保湿です。

①骨盤底トレーニングは、腟をゆっくり内側に引き込むトレーニングです。全ての原因による尿もれ・頻尿の約70%は改善するというエビデンスがあります。

②保湿は、フェムゾーンの乾燥、萎縮や性交痛のあるGSMには、専用オイルで行います。閉経前の方で特に症状がなければ、使用するオイルは、全身に使えるボディ用のもので大丈夫です。閉経前のフェムゾーンは丈夫なのです。

ボディ用の一般オイルでヒリヒリする人やGSMの人は、敏感になっているので専用のものを使います。指の第2関節までを腟の中に入れ、入り口周囲をグルっとマッサージします。オイルの塗り方は、手のひらにオイルをとり、クリトリスと尿道の間、腟の中、小陰唇や大陰唇、肛門まで塗ります。

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外陰部と腟へのレーザー治療とは?

「骨盤底トレーニングや保湿などのセルフケアで効果が得られない場合は、健康保険が使えるエストロゲンの腟錠やホルモン補充療法(HRT)という選択肢もあります。また、皮膚や粘膜の乾燥や萎縮によるイガイガ、ヒリヒリには、弱いエストロゲンクリーム剤を処方することもあります。エストロゲンでは期待する効果が得られない人には、微量の男性ホルモン(テストステロン)クリーム剤を処方することもあります。また、頻尿、尿もれや腟や外陰部の乾燥、萎縮、性交痛に対して、腟や外陰部へのレーザーを照射する治療も行っています。最近では、レーザーなどの治療機器の種類も増えていて、ハイフ(高密度焦点式超音波)、エルビウムYAGレーザースムースモード(インティマレーザー)、フラクショナルCO2レーザー(モナリザタッチ®)をその人に合わせて、使い分けて照射します」と関口先生。

フェムゾーンへのレーザー治療は、腟内や外陰部を照射して、コラーゲンの生成を行い、粘膜・腟壁の厚みが増して、腟のゆるみや乾燥、萎縮、頻尿や尿もれを改善します。腟粘膜の線維芽細胞が活性化し、コラーゲンが生成されることで、腟にふっくらとした厚みとヒダが戻り、うるおいのある状態に改善します。その結果、腟萎縮による不快症状も軽減します。使い分けですが、ハイフは、比較的軽症の人でおもに30代~40代。皮下組織、その下の筋膜や筋肉に強めのエネルギーが入ります。そのため、フェムゾーンの引き締め効果が高いです。エルビウムYAGレーザースムースモード(インティマレーザー)は、引き締め感も実感できますが、より腟や外陰部のふっくら感を求めたい人向き。おもに40代~60代向きです。比較的弱めの光が粘膜上皮から皮下組織、筋膜、筋肉組織まで広範囲に届きます。頻尿、尿もれなどの対策としては第一選択肢になります。

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腟・外陰へのフラクショナルCO2レーザー治療(モナリザタッチ®)は、GSMなどの不快な症状を緩和するために開発された新しい治療法です。腟、外陰部のふっくら感、そして何よりしっとり感も出ます。顔のリフトアップやたるみ改善に使われるフラクショナルCO2(炭酸ガス)レーザーを応用して、フェムゾーンを照射するレーザー治療です。人生100年時代。更年期からの女性の人生を健やかに生きるためには、フェムゾーンケアが大切です。尿もれ、乾燥、かゆみ、痛みがあってはQOLが下がり、自分らしくご機嫌に過ごせません。今から更年期後を見越して、フェムケアを始めていきましょう。

お話を伺ったのは…関口由紀(せきぐちゆき)先生

女性医療クリニックLUNAグループ理事長 http://www.luna-clinic.jp(株)フェムゾーンラボ社長 www.femzonelab.com 

一般社団法人日本フェムテック協会代表理事。横浜市立大学大学院医学部泌尿器病態学終了。医学博士。現在、横浜市立大学医学部泌尿器科客員教授として女性泌尿器外来を担当。日本泌尿器科学会専門医・指導医。著書に『性ホルモンで乗り越える男と女の更年期』(産業編集センター)ほか多数。

一般社団法人日本フェムテック協会では、2月19日をフェムテックの日と記念日登録。「ジャパンフェムテックサミット2024」を2024年2月19日(オンライン)と2月27日(リアルとオンライン)の両日、開催します。

ジャパンフェムテックサミット2024
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【詳細、申し込みはこちらから】https://j-femtech.com/japanfemtechsummit2024/

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増田美加

増田美加

増田美加・女性医療ジャーナリスト。予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。 新刊『もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択』(オークラ出版)が話題。 もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択 | 増田美加 |本 | 通販 | Amazon



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