セクハラ時代を乗り越えてきた昭和のおばあちゃんとして、これからの女性たちに伝えたいこと|連載 #60代のリアル

セクハラ時代を乗り越えてきた昭和のおばあちゃんとして、これからの女性たちに伝えたいこと|連載 #60代のリアル
Photo by Poko
松木千枝
松木千枝
2026-05-29

「60歳」と聞いて、あなたはどんな姿をイメージするでしょうか。「もう60代」と捉えるか「まだ60代」と捉えるか、人生100年時代と呼ばれて久しいこの社会で、60代は「人生後半戦の始まり」とも言える世代ではないでしょうか。60代の体、心、仕事…連載「60代のリアル」では、現在62歳のヨガインストラクター千枝さんのリアルな心境を綴ります。

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SNSでこんな投稿を目にした。

「今のお姉様方、50代半ばから60代の女性たちってセクハラ全盛期時代に20代前半だったんだって。何でもハラスメントになる今と違って、すごくイヤな思いをしてきたと思うんです。私の会社の先輩たちはそんな経験から、実の娘でもない若い女の子に同じ思いさせないように守ってくれて、カッコイイです」

これに対して「お姉様方」が続々と自分の経験を語り始めた。

「飲み会では毎回お酌係。まるでキャバ嬢」

「隣りに座ったら触られるのは当たり前。それを適当にいなせて一人前」

「『触られるうちが華』とかいう言葉に一番腹が立った」

「ハラスメント?!ただの冗談なのに大げさと言われた」

「資料室で作業していたら部長に胸を触られた。上司に相談したら退職を促された」

「飲み会を断ったら評価を下げられた」

「いつも電車で体を押し付けてきたり顔を近づけてくるオッサンがいた」

うわあ…似たような経験、あります。

離婚後やっと見つかった税理士事務所での仕事。

ところが70代の所長は入所当日から私に「いつも俺から見える席に座れ」といい、「客先に行く時はお前が俺の車を運転しろ」「必ずハイヒールとスカートで来い」、挙げ句帰宅しようとするとついてきてレストランの前で立ち止まり「ここで一緒に食事しようか」。

困ったのは、副所長だった70代の女性税理士が「先生を喜ばせてあげて」と、やたらと私をその所長にあてがおうとしたことだ。

事務所の職員は私と副所長以外全員男性で、皆その様子をハラハラしながら見ており、時には「運転は僕がしますから」などと所長から庇ってくれようとした。

けれどそんな気遣いも不要なほど私が「イヤです」「お断りします」「できません」「行きません」と一滴も濁すことなく即断していたからか、所長もそのうち「そうか…」とだんだん引き下がるようになり、結局数年後自分から退職を願い出るまでクビになることもなかった。

話が横道に逸れたが、女性側も、こうした男性たちの素行を「冗談」として通りすぎるよう教育されていた時代で、件の副所長が、自身も税理士という立派な社会的地位があるにもかかわらず(だから尚更だったのか)、「先生を喜ばせてあげて」なんて「物分かりのいい女」ぶりを発揮しちゃうことまで普通にあったのだ。信じられないよね。

しかも、そこで何かあったとしても「女性側に非がある」「隙があったから」「あなたが自分からついて行った」などと、被害者である女性側が責められるのも当たり前の時代だった。

思い出すとかなりメチャクチャだけど、いずれにしても、私たち昭和の女性はかなり理不尽な中で生きてきたと、今思い返しても思う。

けれど今はちゃんとそうした理不尽さを「ハラスメント」と言う言葉で表現できる。

言葉って、強い。

言葉によって存在が認められる。

言葉があるのとないのとでは大違いだ。

昭和をくぐり抜けてきた女性の一人として、この言葉が、屈辱との闘いの果てに得られた権利を表すのだとしたら、どの経験も無駄じゃなかったと思える。

で、話は急に飛ぶんだけど。

BLACK PINKとか、かっこいいよね。

私が知っているK-POPって「少女時代」とかで、ミニスカート姿が軽いお色気があって華やかだったけど、衣装もみんなお揃いで、妙に統一された感じがした。

でもBLACK PINKは違う。露出度高めの衣装でセクシーで、各メンバーがそれぞれブランドのアンバサダーとして体のラインを惜しげもなく見せるファッションで堂々と登場する。

アジアの女性として、今までにない存在感を放っている。

BLACKPINK
BLACKPINK photo by GettyImages

つい先日のMET GALAでははじめて4人全員が顔を揃え、たくさんのフラッシュを浴びていた。

ボディメンテナンスに惜しみない資金と労力をかけているからこそ身につけられる、艶やかなドレスやジュエリー。

セレブってこういう人たちのことなんだな…と思う。

何より、彼女たちに歓声を送っているのは圧倒的に女性だ。

女性ならではの美しさと、女性であることを楽しむ姿が輝いているからだと思う。

そこには「こんなに自分の体をあらわにしたら世間からどんな目で見られるだろう?」などという卑屈さや怯えは一切ない。

本来、仮に若い女性が丸裸で大通りを歩いていたとしても性被害に遭わないのが健全な社会なのだ。その健全性のもと、女性が女性であることを大胆に楽しめるということは、文化と社会の成熟を表していると思う。

一方、この間「日本アカデミー賞」をちらっと見たら、綺麗でスタイルがいい女優さんたちが首まで隠れるようなドレス姿ばかりで、ちょっと驚いた。

気品がある装いも素敵だけど、イベントなんだし、たまにはもうちょっと遊びがあってもいいのに。

みんな優等生感あふれるファッションで、まだまだ日本ってこう言う国なんだな…と思った。

お隣りの韓国でも、欧米でも、女性たちは自分を誇らしげに見せびらかして、艶やかさで、セクシーさで、女性であることを楽しんでいる。

日本も早くそうなるといいね。

奇しくも、戦争なども起こり、SNSの普及で国際情勢がリアルに伝わってくるようになった。

そんな中で、国や民族によってはまだまだ、特に女性は人権すら危うい環境にあったりすることを知ると、女性であることを誇り楽しむ女性たちの輝きや大胆さは、世界中の女性たちに自信を与えてくれるはず。

堅苦しい風習や服を脱ぎ捨てて、自由に。

あるがままの自分を、誰に遠慮なく生きる。

セクハラ時代を乗り越えてきた昭和のおばあちゃんとして、これからの日本女性たちにはぜひ、女であることを楽しみ、遊び、踊り、大いにはしゃいで欲しい。

変態野郎の魔の手からは、日本中の昭和のねえさんばあさんたちが絶対全力で守るよ。

そしてもちろん、昭和の私たちも楽しみましょうね!

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