【生理不順はなぜ起こる?】生理が遅れる!生理が来ない!…妊娠していないときどうすれば?
“健やかで美しい体と心”を手に入れるための最新情報を女性医療ジャーナリストの増田美加がお届けします。生理(月経)が遅れたり、予定より早く来たり…。1か月来ないと不安になりますね。生理不順の悩みは、どの年代の女性にもあります。「生理不順はなぜ起こるの?」「どこまで乱れると心配すべきなの?」婦人科を受診すべき目安についてもお伝えします。
なぜ生理は遅れるの?
女性の生理周期のリズムは、とてもデリケートです。ちょっとしたストレスや疲れなどでも、不規則になります。引っ越し、転勤、異動、ハードワークなどのストレスがかかると、自分ではストレスと感じてなくても、生理周期が乱れたり、生理が止まったりします。
また、過度な運動や過激なダイエットでも、生理周期は乱れます。
生理が遅れる理由は、脳の仕組みにアリ!
ストレスが生理周期に影響を与えるのは、脳の仕組みに理由があります。
卵巣で排卵や生理を起こす指令を出しているのは、脳の視床下部、下垂体です。視床下部、下垂体は、ホルモンの分泌を促す中枢としてだけでなく、感情や自律神経系の中枢としても働いています。そのため、ストレスで脳がダメージを受けると、ホルモンの分泌にも影響が出ます。
脳からの指令が順調にいかないと、卵巣の機能が低下してしまい、排卵が起こらないことがあります。正常な排卵が起こらないと、生理周期も乱れるのです。
正常な生理周期はどこまで?
生理の周期や期間は、人によってさまざまです。毎月一定間隔で生理が来るとは限りません。ですから、多少のばらつきがあっても、大きく心配することはありません。生理初日から次の生理が始まる前までの日数が、25日〜38日の間なら、正常範囲です。
また、ちょっとしたストレスや体調次第で変化するので、普段の周期から6日以内の変動は、正常範囲と考えてよいです。
一時的に生理の周期が乱れても、ストレスが解消したあと、体調が戻れば生理も安定することが多いので、しばらく様子をみても大丈夫です。
24日以内、39日以上の生理間隔だったら?
生理周期が24日以内の場合を頻発月経(ひんぱつげっけい)と言います。原因には、一見、生理が来ているように見えても、実は見せかけの出血だったという、無排卵性生理が挙げられます。
もうひとつの原因は、黄体機能不全です。排卵後に、卵胞から分泌される黄体ホルモンが十分でないため、排卵してから次の生理が始まるまでの期間が10日以内と短くなり、子宮内膜がうまく育たない状態です。
逆に、生理周期が39日以上3か月未満のものを、稀発月経(きはつげっけい)と言います。
これは、無排卵、または遅延排卵の可能性があります。遅延排卵は、生理が始まってから排卵するまでの期間が普通より長い状態です。遅延排卵でも妊娠できる人もいますが、卵子の質に影響するため、生理が正常な人に比べて、妊娠率は低くなります。
3か月以上の生理が来ないと、続発性無月経(ぞくはつせいむげっけい)と呼びます。ホルモンバランスの乱れが原因で起こることが多いですが、子宮や卵巣などの病気にも注意が必要です。
「3か月以内に次の生理が来て、その後は順調」のときは?
心配しすぎなくても大丈夫です。ただし、すぐに妊娠を望むなら検査をしましょう。妊娠の可能性があれば、妊娠検査キットでチェックしましょう。
生理が毎月来ないと不安ではありますが、一時的に乱れても、3か月以内に生理が来て、その後は元に戻るなら、心配しすぎなくてもいいと言われています。
しかし、「心配」という人は、婦人科を受診してください。排卵誘発剤で生理を起こすか、低用量ピルでホルモンバランスを保つ治療をすることも可能です。
すぐに妊娠を望んでいる人は、排卵回数が少なく、妊娠のチャンスが減るので、月1回は排卵を起こすように、排卵誘発剤などの不妊治療をしてもいいかもしれません。
「生理が3か月以上、来ない!」どうすれば?
20歳以上で、3か月以上生理の間隔が空いている場合は、すぐに婦人科を受診することをすすめします。妊娠の可能性がないとなると、注意したいのは、無月経のケースが多いと言われているからです。
長期間、生理が来ないのは、卵巣の機能が低下し、排卵が起こっていない可能性があります。脳の視床下部、下垂体からの指令も乱れ、女性ホルモンの分泌も低下します。
卵巣機能の低下は、体のさまざまな機能に悪影響を及ぼします。生理不順というだけでなく、冷える、疲れる、肌が荒れる、精神的に不安定になるなど、体調全般が悪くなるのです。
また、無月経の多くは、強いストレス、過激な運動、無理なダイエットによって起こります。しかしそれだけでなく、まれに下垂体や甲状腺、卵巣などの病気が隠れている可能性もあります。
閉経がまだまだ先なのに、30代や40代前半で、閉経してしまう早発閉経というケースもまれにあります。卵巣が老化し、機能が低下してしまい、若くても閉経と同じ状態になってしまいます。その場合は、女性ホルモンの分泌が減少してしまうので、ホルモンを補充する治療が行われます。
いずれにしても、放置しておいては治りません。すぐに婦人科を受診しましょう。放置する期間が長引けば長引くほど、治療にも時間がかかります。
婦人科を受診するときには?
婦人科を受診するときには、「最終の生理はいつ、何日間生理が続いたか、生理痛はあるか、生理の出血量は多いか少なめか」などをメモしておきましょう。基礎体温表をつけていれば、大事なデータになりますので持参します。
生理周期の安定のためには、「無理なダイエットをしない」「アスリートのような激しい運動を継続し過ぎない」「ストレスはこまめに解消する」などを心がけましょう。そして、心配になったときには、すぐに婦人科を受診するようにしてください。
AUTHOR
増田美加
増田美加・女性医療ジャーナリスト。予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。 新刊『もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択』(オークラ出版)が話題。 もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択 | 増田美加 |本 | 通販 | Amazon
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