恥かしくて相談できない…自分では見えない場所「お尻」がかゆい…!原因は?どんな病気の可能性が?

 恥かしくて相談できない…自分では見えない場所「お尻」がかゆい…!原因は?どんな病気の可能性が?
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増田美加
増田美加
2021-07-16

“健やかで美しい体と心”を手に入れるための最新情報を女性医療ジャーナリストの増田美加がお届けします。 人の皮膚の感覚は、痛みをかゆみと、とらえることもあります。肛門周辺のかゆみや痛みには、さまざまな病気が考えられます。でも肛門周辺は、自分の目では確認しづらい場所。肛門周辺のかゆみ、痛み、あるいは出血を生じるような女性に多い病気を紹介します。人にも相談しにくい部位…。何科を受診したらいいか、迷うところです。人に言えない症状を解き明かします。

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肛門周りのかゆみ、痛みは多種多様

 肛門周りの症状は、痛がゆい、血がにじむ、おりものがある、排便時だけ痛い、下痢や便秘があるなど、さまざまです。 注意すべきお尻周辺の症状をチェックしてみましょう。

【こんなかゆみは何かのサインかもしれません!】

✓  肛門周囲から血がにじむ

✓ 排便時に痛いことがある

✓ お尻が冷えていると感じる

✓ 下痢や便秘をすることが多い

上述に当てはまる症状があったら、そのお尻のかゆみは、何かの病気のサインかもしれません。

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お尻周辺の症状をチェックしてみましょう。どんなかゆみですか?/GettyImages

また、以下のような生活習慣は、お尻のトラブルを生じる可能性があります。

✓ 長時間同じ姿勢で過ごすことが多い

✓ 入浴をシャワーだけで済ませることが多い

お尻周りがかゆい病気はこんなに!

以下の病気に当てはまるものはないか、確認してみてください。お尻周りがかゆい病気の特徴と、それぞれ行くべき診療科を紹介します。

□水虫 

かゆみがある。冷え、ムレ、免疫力低下で起こる。 → 皮膚科へ

□あせも 

皮疹がありかゆい。下着が密着することで起こりやすい。  → 皮膚科へ

□臀部皮下膿瘍 

血の混じった膿が出て、長時間座っている人に多い。 → 皮膚科へ

□カンジタ腟炎

粕状のおりものがあり、疲れ、免疫力低下、抗生剤がおもな原因。 → 婦人科へ

□細菌性腟症

臭いのあるおりものがあり、洗いすぎや免疫力低下で起こる。 → 婦人科へ

□バルトリン膿瘍

腟の後方、肛門寄りの外陰部が腫れて痛む、性感染症。 → 婦人科へ

□臀部の粉瘤 

角質や皮脂が溜まった袋状の良性腫瘍。破裂することも。 → 婦人科へ

□痔 

排便時に痛む。出血を伴うことも。 → 外科へ

上述を、あくまで参考にして、自己判断できないことも多いため、病院を受診して相談しましょう。では、まず何科で相談すればよいのでしょう?

迷ったら婦人科へ

何科を受診するかは、迷うところです。もちろん、お尻周りのことは皮膚科でもいいですが、デリケートな部分のため、女性は婦人科や女性泌尿器科が相談しやすいでしょう。婦人科医は、感染症の検査も慣れています。ただし、痔を疑う症状の場合は、外科が専門になりますので、外科を受診しましょう。

ほとんどが薬で治療可能です

上にあげた病気は、外用薬で治療できるものがほとんどです。水虫、カンジタ腟炎、細菌性腟炎は、抗菌薬。 あせも、臀部皮下膿瘍、バルトリン膿瘍、粉瘤などは、抗生剤で治療されています。そのほか、じんましんやアレルギー性のものなら、抗炎症剤(非ステロイド系、ステロイド系)が使われています。

痔は大腸がん、大腸ポリープとの見極めが大事。

では、恥ずかしくて、女性が受診しにくい痔については、どうしたら? 痔は、大きく“痔核(いぼ痔)”、“裂肛(切れ痔)”、“ 痔瘻 (あな痔)”の3種類に分けられます。痔は、大腸がんや大腸ポリープと間違えやすいので、自己判断せず、受診して確認することも大切です。

肛門がうっ血して痔になる女性もいます!

女性は、女性ホルモンの黄体ホルモンの影響で便秘になりやすく、妊娠、出産時も肛門に大きな負担がかかります。筋力がなく、冷えやすいのも要因です。“痔核(いぼ痔)”“裂肛(切れ痔)”“ 痔瘻 (あな痔)”が地のおもな3大症状です。

●痔核(いぼ痔)… 内痔核は排便時の出血のみで痛みはないが、進むと肛門の外に出て痛みを生じる。外痔核は出血は少ないが、強い痛みを伴う。

●裂肛(切れ痔)… 下痢も便秘も悪化の原因。排便時や排便後にもズキズキとした痛みに、出血を伴うことも。

●痔瘻(あな痔) … 細菌が入り化膿し、膿がたまることが原因。排便時以外にも痛み、発熱を伴うことも。

痔の治療は、軽いうちならお薬で

3大症状のうち、いぼ痔が男女ともに多く、大半を占めます。あな痔は、手術が必要になりますが、痔全体では少ない傾向です。痔の治療は、進行したら手術という可能性もありますが、軽いうちは、ほかの治療法もあります。ひと昔前まで“痔=手術”と思われていましたが、今は手術だけではなく、保存療法として薬物療法と、ライフスタイルを改善する生活療法で治療することも増えてきています。

薬には、座薬、注入軟膏、塗り薬、内服薬などがあり、便通を改善する薬が使われることもあります。また、漢方薬が処方されることもあります。漢方薬は、冷えを解消して、血流の滞りを改善する薬や便通改善の薬が使われています。

たとえば、いぼ痔や切れ痔には「乙字湯(おつじとう)」や「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」。痔瘻には「排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)」などが使われているようです。

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痔の薬には、座薬、注入軟膏、塗り薬、内服薬などがあり、便通を改善する薬が使われることも/GettyImages

いきまない習慣や冷えない工夫も大事

生活習慣の改善は、とても大切です。朝食をしっかり食べ、食物繊維と良質の油(DHA、EPA、オメガ3の油)、たっぷりの水を摂るようにします。長時間いきまないようにする排便習慣や定期的な運動、冷えない生活の工夫も大切です。肛門に使える殺菌、消毒剤もドラッグストアで売られています。二次感染を防ぐ殺菌成分のほかに、炎症を抑え、痛みや傷が治るときのかゆみを和らげ、皮膚の傷の修復を促進します。シュッと吹き付けて痔の肛門の殺菌・消毒にも使いやすいタイプもあります。

 薬用入浴剤で、タオルや布に沁み込ませ、体の洗浄・清拭にも使えるものもあります。入浴効果を高め、「つかる、洗う、拭く」ことで皮膚の荒れを防ぎ、整える有効成分の薬用入浴剤。あせも、乾燥性しっしん、おむつかぶれも防ぎます。

おしも(デリケートゾーン)の悩みの解決法。外陰部や腟のかゆみ、乾燥、頻尿、尿もれ、性交痛のケアについては、『もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択』(オークラ出版)でも詳しく紹介しています。

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増田美加

増田美加

増田美加・女性医療ジャーナリスト。予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。 新刊『もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択』(オークラ出版)が話題。 もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択 | 増田美加 |本 | 通販 | Amazon



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