「月経の有無と女性性とは無関係」更年期の心と体を軽くする心得【人気鍼灸師のアドバイス】

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「月経の有無と女性性とは無関係」更年期の心と体を軽くする心得【人気鍼灸師のアドバイス】

ヨガをして体に対する意識が高まるのはいいことですが、思い込みにとらわれて自分を苦しめていませんか。それは更年期に関してもしかりです。刷り込まれた更年期のネガティブイメージや固定概念を払拭するために、予約の取れない鍼灸師、若林理砂先生がアドバイスに耳を傾けてみて。

月経のあるなしと女性性は無関係。脱・子宮の神聖化!

月経がなくなると女性じゃない、産めなくなると女性としての価値がなくなる……。更年期にそんなイメージをいだいている人は少なくないはず。実は、こわい、辛い、女性性が失われるといった強いネガティブイメージが、更年期のイライラ感やうつっぽさの引き金になることがあります。まずそのイメージを改めてみましょう。

「閉経を女性性の喪失と結びつける考え方は、月経や月経に関わる子宮を神聖化しすぎるからではないでしょうか。確かに子宮は命を宿してはぐくむ、女性しか持ちえないものではありますが……。言ってみれば人間以外の哺乳類もみんな持っている単なる臓器ですし、体の構造的な男女の差を象徴するものではあっても男女の本質に関わるものではないですよね。特に神聖化する必要はないということ。月経も要は卵子を受け止める子宮内膜が使われなくなり、廃棄される現象。つまり出てくるのは廃棄物なんです!だから過剰なイメージを持たないで、食事、入浴、排泄と同じレベル、生活サイクルの一つと考えていいのではないでしょうか」(若林理砂先生)

女性としての幕が下りるような感覚が根強くある閉経についても、考え方次第でネガティブイメージを一変できます。

「現在、日本人女性の平均年齢は87.45歳です。初潮を迎えるのは平均12歳、閉経するのは平均50歳。そう考えると、閉経後の人生は約37年もあるんですね。しかも初潮を迎えるまでの12年をプラスすると月経がない期間は49年になります。月経が止まると女性じゃなくなると言うけれど、そもそも月経がある期間よりない期間のほうが長いんです。月経のあるなしや子どもを産む産まない程度のことは、女性性にはなんの関係もありません。もちろん、月経があるかないかで女性性が増えたり減ったりすることもありません。閉経を迎え、生殖可能な期間を終えても女性であるという連続性になんら変わりはなく、生まれたときから死ぬまで女性は女性、あなたはあなた。それを忘れないでくださいね」(若林理砂先生)

そもそもこうした概念の根底には、「若い=美しい」という日本独特の美の基準があるのでは。男女は同じように年を重ねるのに、男性は年齢が増すほど渋くてかっこよくなると言われ、女性のエイジングには「劣化」のイメージがつきまといます。しかし成熟した女性には若いときにはない魅力が備わっているもの。室町時代、世阿弥という能のトップスターが書いた『風姿花伝』という本には、花の種類はさまざまあると記されていて、年を取ると衰える「時分の花」と「まことの花」があると。まことの花は年を取っても散らずに残る花。人生の時々で咲かせる花は違っていいし、最高に美しいまことの花を咲かすために今を懸命に生きれば、年齢を重ねることへの恐怖心から解放されるはずです。

ホルモン充填療法でも解決しない心の不安定さの原因とは

ホルモン充填療法により、気分が優れないないなどの精神的な不調が改善する率は3割から5割程度です。イライラ感や重たい気分の原因は、かならずしも女性ホルモンの量に起因するとは限りません。

「精神的な症状をはじめ関節の痛み、頭痛、吐き気などは自律神経失調症と呼ばれるもので、ストレスであったり、前途したような更年期に対するネガティブイメージが起因している場合があります。更年期は大人の思春期です。10代で迎えた思春期に経験したのは、なんとも言えない焦燥感や何を言われてもイライラする感覚、それに対して上手く対処できない自分への苛立ち……。大人の思春期で味わう不安定さも類似するものがあり、まずは閉経=女性性の喪失という刷り込まれたイメージから自分を解放し、その先の人生を前向きに捉え、ストレスを軽減することが自律神経失調症から楽になる手立てとなります」(若林理砂先生)

教えてくれたのは…若林理砂先生

臨床家。鍼灸師。2004年に東京目黒区にアシル治療室を開院。2019年には「養生が一ヵ所で全部賄える場所」を目指して東洋医学や武術を学ぶStudio Libraを治療室に併設し、東京都品川区に移転オープン。心と体の自由を獲得する養生を主旨とし、古武術をもとに編み出した身体技法も好評。東洋医学に関する著書を多数出版。

Edit & Text by Ai Kitabayashi

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。

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