【人気鍼灸師が教える】のぼせ、月経不順、イライラ…今すぐできる「更年期の養生法」

 【人気鍼灸師が教える】のぼせ、月経不順、イライラ…今すぐできる「更年期の養生法」
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更年期症状がつらいときは病院へ。でもその前に自分でできる対策があれば試してみたいもの。自宅で続けられる養生法や頼りになる漢方薬などについて、予約の取れない鍼灸師、若林理砂先生がレクチャーします。

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更年期の症状が楽になる! 今日から始められて、毎日続けられる養生法

生きている限り、病気や不調はかならずやってきます。女性は閉経の平均年齢にあたる50歳に近づくと、体の自然なサイクルとして更年期を迎え、それに伴い更年期障害と呼ばれるさまざまな不調が現れるもの。更年期という坂を越える助けとなるのが、東洋医学の「養生」という考え方。これは病気にならないためではなく、文字通り生命の力を養い、生老病死に伴う苦しみをなだらか乗り越えるための方法です。日頃から養生しておけば、いざというときの回復力に差が出るはず。更年期の諸症状の緩和が期待できる養生法をチェック!

上がった気を抑える「思い切り吐き切る呼吸法」

「東洋医学では体を構成するとされる3要素(気・血・水)のなかで、更年期は気(生命エネルギー)・血(血液)のバランス調整が必要。この呼吸法は上がった気を抑え、気・血のバランスを整える効果があります。加えて自律神経の乱れを調整し、自律神経失調症のひとつであるホットフラッシュの緩和にも役立ちます。人の肺は吐くときに筋肉を使い、力が抜けると空気が入るしくみになっているため、吸って吐くではなく、吐いてから吸うのがポイント。また多くの人は普段から呼吸が浅く回数が多いため交感神経が優位になりがち。長く吐くと呼吸回数が減り、交感神経優位の状態から副交感神経優位にスイッチして自律神経のバランスを整えることができるのです。行うタイミングは就寝前がベスト。ぐっすり眠れますよ」(若林理砂先生)

やり方

①口をすぼめて糸を吐き出すように息を完全に吐き切る。

②鼻から一気に「スッ」と音がするくらい息を吸う。

※回数を決めるとカウントすることに意識が向きがち。回数を決めず吐く息だけに集中し、終わりのタイミングは肩の力が抜けて心身が落ち着く感覚を目安にして。

お灸と同等の効果を手軽に再現「ペットボトル温灸」

「350mlのペットボトルを用意し、先に水を1/3注ぎ、次に沸かした湯を2/3入れてお灸と同じ70~80度の温度帯で行う温灸法。血管を拡張させて、血の流れを良くする効果があります。おすすめのつぼは、更年期にさしかかるあたりから『三陰交・帰来』に、更年期の最中なら『三陰交・血海・帰来・陽池』に施灸しましょう。ホットフラッシュには『三陰交・湧泉』が効果的です」(若林理砂先生)

ツボの位置

「三陰交」内くるぶしの骨の頂点から指4本分上。

「血海」膝の皿の上側から指3本分、大腿骨の内側。

「帰来」へそから指5本分下、へそから垂直に下ろした線から左右とも指3本分。

「陽池」左右の手首の関節、甲側の中央。

「湧泉」足裏の「人」形のくぼみの中央。

三陰交
湧泉/三陰交の位置

やり方

ペットボトルの側面か底のへりをつぼに3秒あてて離す。お灸の原理で間欠的に熱を与えるのがポイント(あて続けるのはNG)。それを3~5回繰り返す。

※体が凝っていてつぼが硬いと知覚が衰え、熱さを感じないことがあります。そのときは少し長めに(5秒程)あて、熱さを感じたら離す。長くあて過ぎてやけどを負わないように注意。

婦人科でも処方してもらえる漢方薬を上手に活用

植物、動物、鉱物など薬効のある天然の素材、生薬を組み合わせて作られる漢方薬。漢方薬局が近くになかったり、初めてだと敷居が高く感じたりしてまだ利用したことがない人もいるのでは。実は漢方薬を処方してくれる病院もあるので、服用したい人は婦人科の医師に相談してみましょう。ここでは婦人科三大処方と言われる更年期に効く漢方薬を紹介します!

加味逍遥散(かみしょうようさん)

更年期に伴うイライラ、不安感、焦燥感などの精神的な不調に効果的。ホットフラッシュの緩和にも◎。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

肩こりや締め付けられるような頭痛、更年期特有のイライラなどを緩和。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

足りなくなった女性ホルモンを補う働きがあり、PMSや流産防止、子宮の過剰な収縮を防いで月経痛の緩和にも効果的。

「天然由来成分の漢方薬は効き目がゆったりしているイメージですが、生薬の薬効と症状がぴったり合えばすぐに寛解する場合もあります。また漢方薬にも副作用はあります。症状が出るのは、使い方が間違っているか、症状に合っていない場合が多いので、異常を感じたらすみやかに医師に相談しましょう」(若林理砂先生)

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Edit & Text by Ai Kitabayashi

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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