閉経は寂しい?それともホッとする?閉経前に訪れる「心と体の変化」にどう向き合うべきか

 閉経は寂しい?それともホッとする?閉経前に訪れる「心と体の変化」にどう向き合うべきか
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性の健康に関するアクティビストでありメノポーズカウンセラーの小林ひろみさんに、40歳からの性生活や更年期をより良いものにするためのアドバイスをいただきます。

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閉経は「寂しい」?それとも「ホッとする」?

閉経について感じていたことが、40代と50代のときでは、変化したと実感しています。順調に生理があった頃は、毎月使っている生理用品とサヨナラなのかと寂しさを感じていました。ところが今は真逆で、不安定な生理に悩まされ「早く閉経したい」と思うようになり、寂しさもすっかり消えました。まわりの同年代はどうなのか気になり聞いてみると、「とくに何も感じない」「早く終わって欲しい」など自分と似た答えや、閉経を迎えた方は「解放されて嬉しい」といううらやましい声や、「もう一人くらい子ども産んでおきたかったな」という方も。閉経に関する感じ方は、人それぞれですね。これらは閉経前後の方に聞いているので、もっと時間が経過すれば、また違った意見もでてくるのでしょう。現代の女性は生涯450回も月経があるといわれているので、さすがにそろそろ終わって自由にさせてくれ、と思います。閉経は一年以上月経がないこと。閉経と判断できた時点で、これだけの生理の回数をこなした自分に「お疲れ様でした」と労いの言葉をかけたいくらいです。生理用品の出費がなくなる喜び、ムレや締め付けで苦しかった生理用ショーツとお別れできる幸福感。経血でシーツを汚さないかと夜中にトイレに起きる煩わしさもなくなる。他にも妊娠する心配がないなど、皆さんそれぞれの解放感があるかと思います。

新たに浮かび上がった2つの悩み

それから皆さん共通して悩みが2つ上がりました。それは見た目の変化と健康の不安。通勤電車の窓に映る自分の顔に「これは私?」と別人並みの疲れ顔に驚いたと知人談。「閉経近くから女性は独特の老けた感じがでてくる」といった意見もありました。エストロゲンの分泌の低下によりお肌の水分やコラーゲンが減ることで、肌の乾燥や弾力が低下して見た目に変化がでやすくなるせいかと思います。他には白髪が増えはじめた、老眼が進行したなど、自分自身で気づく変化が、寂しさを感じさせるようです。

健康の不安では、疲れやすくなり、体力もなくなったから、運動をはじめるべきか考え始めているという方も。健康に気を付けているが、比較的健康意識が高い先輩方から乳がんになった、骨量が減ったなど、と聞き不安にもなるそう。年を取るのは問題ないけど、健康的に過ごしたい、それにはどうすればよいのか、という課題が浮かび上がりました。これまで私たちの健康を支えてくれたエストロゲンは、生殖機能以外にも骨の代謝や自律神経系、心血管系、脂質代謝、脳機能系、肌や粘膜をみずみずしく保つなど、その役割は多岐にわたります。閉経以降はエストロゲンの支えを失うので、その分バランスのとれた食事や運動などの改善が求められます。また健康管理をしていても、乳がんや子宮体がんなどの病気のリスクも高まります。自己管理できること、医療機関での定期的な検診で管理できること、を両立させて、この年代以降の健康管理が成り立つのだと感じます。

女性の誰もが「いつか生理が来なくなる」と、心の準備があるかと思います。でも目に見える自分の変化や体力の衰えは、たとえ覚悟をしていても、多少なりとも驚きがあることも。顔の美容に関しては専門外なのでよくわかりませんが、閉経して落ち着くとイキイキしたお顔に戻る方を見かけるので、女性ホルモンの変化が著しい閉経前後が一番印象が変わる時なのかもしれません。閉経以降の健康維持は、エストロゲンからバトンタッチを受けて、自分が中心となって行なっていきましょう。健康管理や病気のリスクの理解、体力に合わせた活動量の見直しなどを、自分が主体となって行うーー今までにない生き方のスタート地点ではないでしょうか。体の変化を理解して、上手に管理しながら健やかに過ごしたいですね。今回は更年期症状について触れませんでしたが、女性ホルモンの影響を受けやすい時期ですので、不調がなくても必ず定期的に婦人科を受診するように心がけて下さい。

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小林ひろみ

小林ひろみ

メノポーズカウンセラー。NPO法人更年期と加齢のヘルスケア会員。日本性科学会会員。性と健康を考える女性専門家の会 理事。デリケートゾーンブランドYourSide、潤滑ゼリーの輸入販売会社経営の傍ら、更年期に多い性交痛について情報発信を行う。幅広い性交時の痛みに関する情報サイト「Fuan Free (ふあんふりー)」を運営。



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