適度な体脂肪は更年期の味方?トレーニングや食事制限…更年期で注意したい”極端な生活習慣”とは

 適度な体脂肪は更年期の味方?トレーニングや食事制限…更年期で注意したい”極端な生活習慣”とは
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更年期が始まる50代は代謝が落ちて体が痩せにくい傾向に。一念発起して糖質や脂質を制限したり、きつい運動を始めたりする人もいますが、ちょっと待って!その決断が更年期にはマイナスに働くことがあります。予約の取れない鍼灸師、若林理砂先生に更年期世代が気をつけたい生活習慣について聞きました。

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「痩せているのが美しい」信仰に注意!適度な体脂肪は更年期の味方

閉経前、女性ホルモンは卵巣で作られますが、閉経すると脂肪細胞で産生されます。痩せていることが美しいと信じて疑わない人は多いですが、減少する女性ホルモンを補填するために更年期の痩せすぎは注意が必要。体脂肪率を21%~22%に保つように心掛けましょう。

「また、東洋医学では更年期のさまざま不調の原因は、気(生命エネルギー)と血(血液)のバランスの乱れと考えます。その両方を補い、バランスの調整役となるのが、穀物、そして動物性たんぱく質と脂質を含む食べ物です。特に体を温める陽の成分を含む獣肉類を摂ると、体が温まり気血の巡りが促進されます。臨床を通して見えてくるのは、肉や魚も食べてバランスの良い食事をしている人に比べ、ヴィーガンの人は更年期障害が重症化しやすく、また栄養不足により神経伝達物質が正常に分泌されず自律神経失調症になりやすいということ。宗教的な理由で動物性のものを食べないのは神様との契約であり不可侵な領域ですが、健康になりたくて制限している人はむしろ肉や魚を食べるバランスの良い食生活にシフトするべき。ヨガの教えから肉や魚を食べないと決めている人は、可能であれば乳製品や卵から動物性たんぱく質と脂質を摂取してください」(若林理砂先生)

割れた腹筋、体脂肪率20%以下は痩せすぎのサイン

更年期障害の代表的な症状のひとつ、女性ホルモンの減少が招く腟トラブルも体脂肪率を下げ過ぎないことで軽減できるそう。

「女性ホルモンの量が減って腟の粘膜が退縮すると、腟そのものが狭くなり性交痛が発生します。また粘膜が薄くなるため性交時に出血することもあります。患者さんを見ていると、性交痛を訴えるのはふっくらした体型の人より痩せ型の人に多いので、体脂肪率は前途した数値を保つことをおすすめします。腹筋が割れている人の体脂肪は20%を切っていることが多いので、トレーニングのやり過ぎと過度な食事制限に注意しましょう。性交痛はパートナーとの関係を左右するデリケートな問題です。食事改善や漢方薬でも良くならないときは婦人科を受診し、腟内に塗布して女性ホルモンを補充するクリームなどを処方してもらってください。腟の潤いが回復すると痛みが楽になります」(若林理砂先生)

教えてくれたのは…若林理砂先生

臨床家。鍼灸師。2004年に東京目黒区にアシル治療室を開院。2019年には「養生が一ヵ所で全部賄える場所」を目指して東洋医学や武術を学ぶStudio Libraを治療室に併設し、東京都品川区に移転オープン。心と体の自由を獲得する養生を主旨とし、古武術をもとに編み出した身体技法も好評。東洋医学に関する著書を多数出版。
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Edit & Text by Ai Kitabayashi

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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