【不眠、寝つきが悪い、眠りが浅い…】更年期によく起こる「不眠トラブル」の乗り越え方
“健やかで美しい体と心”を手に入れるための最新情報を女性医療ジャーナリストの増田美加がお届けします。
更年期以降、起こりやすい眠りの悩み
「寝つきが悪く、やっと眠れたと思ったら、夜中に目が覚めてしまう」「寝たのが遅かったのに、明け方、早くに目が覚める」「疲れているはずなのに、ぐっすり眠れない。眠りが浅い」などの不眠の訴えは、更年期以降によく起こる症状です。
不眠は、更年期の症状として、代表的なもののひとつ。みんなが悩む不眠と、その乗り越え方をまとめました。
不眠を軽く見ないで! 更年期症状ではないことも
心配事やストレスが溜まると、睡眠障害になりやすくなります。たまに起こる不眠は、誰にでもよくあることですが、今までになく頻繁に起こり、普段の生活にも支障をきたすようなら不眠症かもしれません。
うつ病など、心の病気の一症状として起こることもあります。不眠を甘くみてはいけません。不眠が続くと、昼間疲れやすく、だるさ、頭痛、イライラなどが生じて、思考力や集中力だけでなく、さまざまなパフォーマンスが低下します。逆に、不眠がよくなれば、ほかの不調も楽になることがよくあります。
自分の不眠パターンを知りましょう
更年期に起こりやすい不調のために、不眠が起こることもあります。たとえば、夜、寝入ってから、急にのぼせや寝汗をかいて目覚めたり、手足の冷えがひどくて眠れなくなるなどです。
不眠には、いくつかのパターンがあることが知られています。
1 入眠障害 … 寝つきが悪い。
2 中途覚醒 … 夜中に目覚めて、長時間眠れなくなる。
3 早期覚醒 … 朝方目覚めて、そのまま眠れない。
これらが重なることもあります。また、これらに加えて、寝ても熟睡感がもてないという場合もあります。特に、うつ病では、早朝覚醒型が多いと言われています。
不眠は、早いうちに、医師に相談しましょう。これらの不眠パターンのうち、自分がどれに当たるかを医師に伝えることは、大切な情報になります。睡眠薬を処方してもらう場合も、役立ちます。
こんな病気が原因のことも
更年期には、うつ症状が出やすいのですが、うつっぽくなると、不眠も一緒に起こりがちです。うつ病の場合は、更年期でなくても不眠を起こしやすいと言われています。また、不眠に、睡眠時無呼吸症候群が隠れていることもあります。
まずは、医師に相談しましょう。更年期のほかの症状があれば、婦人科へ。精神科や心療内科でもよく診てくれます。
更年期障害の治療でよくならなければ…
不眠が更年期による不調と考えられる場合は、婦人科ではホルモン補充療法(HRT)など、更年期障害に対応した治療が選択できます。
ホルモン補充療法などの更年期障害の治療で、あまり効果が感じられないなど、不十分なら、もしかしたら、更年期の症状ではないかもしれません。また、睡眠薬など向精神薬が提案されることもあります。場合によっては、精神科を受診したほうが良いこともあり、婦人科から紹介してもらうこともできます。
向精神薬の服用には、信頼できる医師と相談しながら行うことが大切です。服用して心配なこと、不安なことがあれば、医師に遠慮なく尋ねることが大事です。自己判断で医師に相談なく、薬の量を減らしたり、止めてしまうのはよくありません。
向精神薬はよく効くことが多いですが、薬で少し元気になったところで、自分の生活を振り返り、無理していたこと、こだわりの強すぎたことに気づき、生活や考え方を変えることも大切と言われています。
医師、カウンセラーなどの専門家のカウンセリングを受けることもいいでしょう。また、友人、家族などに話を聞いてもらうことも大切です。
寝る前のリラックスタイムを上手に過ごす7つのヒント
不眠が気になるという人は、次のことも試してみましょう。日常生活のこまめなケアも思っている以上に有効です。
・日中の過ごし方も大切です。軽い運動は、夜の眠りを促します。ウオーキングやヨガ、ピラティスなどの有酸素運動を習慣にしましょう。30分散歩するだけでも違います。
・夜眠れずに睡眠時間が短くなって眠くても、同じ時間に起き、カーテンを開けて朝日を浴びましょう。体内時計を整えることが大切です。
・昼間どうしても眠いときは、15分くらい昼寝をします。デスクにうつ伏せて休むだけでもスッキリします。くれぐれも昼寝は、長すぎないように。
・夜、寝る前の準備も大切です。就寝の約1時間前にぬるめのお風呂にゆっくりとつかり、体温を少し上げて、心身をリラックスさせると、眠りにつきやすくなります。アロマオイルなどを湯舟に数滴たらして入浴し、アロマオイルの香りで寝室を満たして、眠りのための準備を整えるのもいいですね。
・気にしすぎない、焦らない。眠れないことを気にしすぎると、ますます眠りが妨げられます。横になっているだけで、体は休まると考えて、気持ちをゆったり構えることで、不眠の悪循環から抜け出せることがあります。
・テレビやパソコン、スマホなどは、早めにオフに。パソコンやスマホのブルーライトは良質の睡眠を妨げます。
・夜はカフェインのある飲み物は避け、温かいハーブティ(眠りを誘うカモマイル、セントジョーンズワート、パッションなど)をゆっくり飲みます。寝酒のようなアルコールは体を冷やし、飲みすぎると眠れなくなるので控えましょう。アルコールは、夕食のときに適度に楽しむ程度にするのがコツです。
AUTHOR
増田美加
増田美加・女性医療ジャーナリスト。予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。 新刊『もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択』(オークラ出版)が話題。 もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択 | 増田美加 |本 | 通販 | Amazon
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