【更年期を正しく理解しよう】おなかが張る、痛い…これも更年期!?「胃腸機能低下症状」の対処法
“健やかで美しい体と心”を手に入れるための最新情報を女性医療ジャーナリストの増田美加がお届けします。
更年期には胃腸機能が徐々に低下していく…
便秘ではないのに、おなかが張って、ひどくなると腹痛が起きることは、ありませんか?更年期になると、胃腸機能も少しずつ低下しています。体が冷えたり、疲れたりすると、胃腸の調子が低下します。以前と同じように、冷たいものを食べたり、冷たいものを摂ったりしていると、胃腸の調子がすぐ悪くなると感じます。
食事量も以前のようには、たくさん食べられなくなったりします。「前はこのくらい美味しく食べられたのに…」と自信をなくし、落ち込むこともあります。
また、おなかが張って苦しい、便秘ではないのにおなかが張って、ひどくなると腹痛も起きるという人もいます。これらは年齢を重ねることで、胃腸機能が低下してきたためと言われています。更年期世代は、胃腸機能の曲がり角でもあります。
胃腸機能が低下しているときに、冷えや疲れが重なると、おなかの張りや腹痛を起こしやすくなります。この胃腸機能の低下も、女性ホルモンの低下により、胃腸粘膜や自律神経が弱くなることも要因のひとつです。プレ更年期や更年期から起こりやすい胃腸機能低下の症状への対処法はどうしたらいいのでしょうか?
排卵後から生理前に起こりやすい痛みも
まだ生理がある時期に、下腹部の脇がチクチク痛むという人もいます。病院に行くほどの痛みではないので、気になるけれど、そのままにしているという声を聞きます。
月経周期が28日の人であれば、月経開始から13~15日目くらいの時期が排卵期と考えられます。この時期に、下腹部の張りや痛み、腰痛などの症状があれば、「排卵痛」の可能性があるかもしれません。
排卵後、卵巣全体が少し腫れたようになります。これによっておなかの張りや痛みが出やすくなることがあります。また、同時に卵巣から多量の女性ホルモンが出るので、この影響で腸の動きが悪くなり、おなかが張りやすくなるのではないかと考えられています。
排卵痛は、生理的なものなので心配はいりませんが、いつもは軽い排卵痛ですぐに治まるのに、今回は立ち上がれないほど痛い、出血が伴う、あるいは痛みが1週間以上続くという場合は、すぐに受診しましょう。通常の排卵痛なら、1~2日ですぐ治まります。1週間以上痛みが続く場合は、卵巣出血や黄体出血の可能性が考えられます。
また、若いときには感じなかったのに、更年期になってから…という場合は、排卵の時期がずれてきたり、ホルモンバランスが乱れ始めているせいかもしれません。ほかには、PMS期の症状に変化が起こっていたり、PMS(月経前症候群)が少し重くなってきているのかもしれません。
いずれにしても、しばらく婦人科を受診しておらず、心配な場合は婦人科を受診して、卵巣や子宮の様子を経腟超音波で診てもらいましょう。
更年期のおなかの症状は、漢方薬も得意
PMSや更年期の症状による、おなかの張りや痛みを抑えるには、漢方薬が得意分野です。体力が落ちていて、おなかが冷えたりすると、張りやすくなります。
女性のおなかの張りに効く漢方薬は、桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)のほか、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)なども使われることがあります。
ひとりひとりの体質や症状にあわせた漢方を処方してもらうと、おなかの症状だけでなく、その他の不調も一緒に改善できる手立てになります。漢方薬は、下痢、便秘、吐き気を感じる人にも、即効性があります。長く飲み続けなくても、2~3服で効果を感じる人もいますので、婦人科や漢方専門の医師に相談して試してみるといいと思います。
更年期は食生活を見直すチャンス!
おなかの張りや痛みは、体全体の調子や体力の低下、疲れが大きく影響している症状です。更年期以降は、今までと同じ食生活をしていては、血圧や血糖値、悪玉コレステロール、中性脂肪の上昇などの生活習慣病、骨密度の低下による骨粗鬆症リスクなど、さまざまな病気の原因にもなってきます。食生活を見直すいい機会と考えてください。
少しすると、自分のおなかの調子と体調がわかってきますので、冷たいもの、脂っこいもの、甘いものを加減すれば、それなりに美味しく食事を楽しめるようになります。
おなか周りを温めて、適度な運動も大切
おなかが弱い人は、体調を整えるために、体を温めることは大切です。薄手の腹巻きを着用したり、簡易カイロをおへその下や腰に使ったり、するのもいいでしょう。湯舟でゆっくり体を温めて、お風呂上りに、やさしくそっとおなかをマッサージしてみましょう。
ほかには、整腸剤、乳酸菌製剤などを飲むのもいいと思います。消化のよいものを食べて、適度に運動をすることもおすすめです。体全体の血行をよくして、全身を温めます。セルフケアは自分の体を見つめて、自分の体をいたわるきっかけになりますね。
更年期世代の更年期の不調や更年期障害には、40代前半までなら低用量ピル、更年期世代になったらホルモン補充療法(HRT)を行ってみるのも方法だと思います。婦人科のマイドクターを作って、相談しながら、いろいろ試して自分に合う対処法を見つけていきましょう。
AUTHOR
増田美加
増田美加・女性医療ジャーナリスト。予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。 新刊『もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択』(オークラ出版)が話題。 もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択 | 増田美加 |本 | 通販 | Amazon
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く