【自分を責めないで】やる気が起きない、疲れがとれない、だるい…「更年期特有の疲れ」の改善法
“健やかで美しい体と心”を手に入れるための最新情報を女性医療ジャーナリストの増田美加がお届けします。
疲れた、だるいと感じるのも更年期症状
更年期特有の疲れは、程度が軽くても、いつまでも続きます。若いころの激しい運動をしたあとや、根を詰めて仕事をしたあとの強い疲労感とは、違います。更年期女性の7割が悩まされるという疲れや倦怠感。更年期特有の疲れの改善法をお伝えします。
すぐに疲れる、疲れがなかなかとれない、体がだるい、体力が落ちているのを感じる、睡眠不足だと翌日に響く、などは更年期によく見られる症状です。寝不足でも、若いときはなんとかなったけれど、今は寝不足が続くだけで、風邪を引いたり、だるくなったり…、仕事の効率が上がらなくなることが増えてきます。
また、食べたあとに疲れが出ることもあります。食事後、眠くなって寝てしまうなんてことありませんか。食事をして胃腸が働くと、血流がそこにいって、エネルギーを使います。すると、だるくなるのです。夕食後、疲れてソファーから動けなくなって、「なぜそんなに寝てばかりいるの?」と家族から指摘されたことはありませんか? 疲れて、睡眠時間が長くなりがちなのも、更年期の疲れの表われです。
女性ホルモンの低下が原因
体力が低下して、疲れやすくなるのは、更年期の兆候です。更年期に女性ホルモンの分泌が低下することで、疲れやすくなって、疲労回復が遅れます。意欲まで減退して、やる気も出なくなります。
特に、更年期世代は、仕事でも家庭生活でも役割が多く、人生の中で忙しい年代。今までどおりに仕事や家庭生活がこなせないと、実際以上にすごく体力が落ちたように感じられます。
でも、疲れや倦怠感も、更年期による女性ホルモンの低下や自律神経の変調が原因なのです。ホルモンや自律神経の変調を調整しようとして、体全体が反応した結果なのです。疲れて、だるいときは、スローペースで過ごす時期と割り切って、焦らず無理をしないようにしましょう。更年期の不調は一過性ですから、更年期の時期が過ぎれば、体も心もまた元気になります。気長に、気楽に、構えましょう。
疲れや倦怠感は、病気が原因のこともある
疲れや倦怠感は、貧血や内臓の病気、甲状腺の病気、うつ病などでもおこります。病気が隠れていないか、内科や婦人科で検査を受けましょう。検査で病気が見当たらない場合は、更年期によるものと考えて良いでしょう。
検査で異常がないのに、症状が良くならない場合は、更年期障害が考えられます。婦人科で相談をしてみましょう。自律神経調整剤や精神安定剤、ホルモン補充療法(HRT)、漢方薬などによる治療が行われます。場合によっては、カウンセリングを受けるのもよいかもしれません。
減少した女性ホルモンを補う治療は、女性を元気にする!
女性ホルモンを補充する治療が、ホルモン補充療法(HRT)です。女性ホルモンのエストロゲンには、意欲を出す、気持ちを明るくする、集中力を高めるなどの心の作用もあることがわかっています。ヨーロッパでは、長年、女性の健康のために、女性ホルモン剤が使われています。
また、閉経前の女性なら、低用量ピルを使ってもよいとされています。1~2か月使ってみて、疲れなくなったら、女性ホルモンの低下による症状だという証拠にもなります。低用量ピルを飲み始めて、疲れなくなって、元気が出て、やる気も出てきたという人は少なくありません。
セルフケアできることも、たくさんある!
生活リズムを整えることは大切です。十分な睡眠を確保します。疲れやすい状態であることを家族にも伝え、家族の理解を得ることも大切です。夜は、できるだけ決まった時間に寝るようにして体調を整えましょう。
体調が悪いときは、仕事量はできるだけ少なめに工夫して、こまめに休みます。仕事も家事も1日の量を今までより、少な目にしてゆとりのあるスケジュールにしましょう。疲れは、更年期のほかの症状を強くすることもあります。頑張らずにいきましょう。更年期の一時を過ぎると、また元気になります。
体を動かして筋肉をつけることは、人生100年時代の一生の財産になります。疲れがとれないからと、休むばかりではなく、むしろ体を動かすと気分がすっきりして、メンタルにもいい効果が期待できます。手軽にできるウォーキングなど、長続きする自分に合った運動を見つけるには、更年期が最もいい時期です。
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