【漢方薬剤師が伝授】賢く乗り切ろう!女性ホルモンの乱れ・更年期症状に役立つ「漢方&薬膳食材」

 【漢方薬剤師が伝授】賢く乗り切ろう!女性ホルモンの乱れ・更年期症状に役立つ「漢方&薬膳食材」
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常備薬として葛根湯を置いていたり、生薬効果のある食材を食べていたり、知らず知らずのうちに私たちが取り入れている「漢方」。更年期症状を「漢方」の視点からひも解くとどうなるのか?更年期症状を緩和する漢方の賢い取り入れ方とは? 株式会社氣生代表取締役、薬剤師、心理カウンセラーと幅広く活躍されている久保田佳代さんに伺いました。

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――漢方医学では、女性の体の変化と更年期についてどう考えるのでしょうか。

久保田佳代さん(以下、久保田さん):漢方医学は2000~3000年前に中国で発祥し、日本に伝わってからは日本漢方という形で独自に発展を遂げてきました。歴史を見ると、女性特有の病気にも昔から漢方薬が使われていました。

2000年程前の医学書「黄帝内経(こうていだいけい)」の中に、女性は7の倍数、男性は8の倍数で体に変調をきたすと書かれています。2000年も前から、女性の方が男性よりも1年早い数の倍数で身体に変調をきたしていく事がわかっていたというのは驚きです。

7歳で歯が生え変わる
14歳で初潮を迎え子を産めるようになる
21歳で身体が成熟する
28歳で筋骨がしっかりし充実する
35歳容姿が衰え始める
42歳で白髪が目立ち始める。

人生100年時代と言われる昨今と比べ数千年前の寿命は半分にも満たなかったでしょう。それでも現代においても結局は7の倍数の49歳前後で女性の身体には不定愁訴が起こりやすくなり閉経を迎えるのです。

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独自に発展を遂げてきた日本漢方/AdobeStock

更年期については勘違いしている人も多いのですが、閉経を挟んで前後5年程の計10年間という期間を指します。閉経の平均が50.5歳なので、45歳~55歳ころを一般的に更年期と呼んでいます。更年期の不調や辛さをほとんど感じず、この時期を通り過ぎてしまう人もいますが、日常生活に支障をきたすほど辛い症状を更年期障害と呼びます。また閉経前後の女性だけではなく、20代30代でもホルモンの乱れから生理不順や不定愁訴など症状がある人はプレ更年期の更年期様症状などと言われています。

女性ホルモンバランスが乱れやすいこの時期を上手に乗り越えて快適な生活を送るためには、日ごろからアンテナを張って、いろいろな情報から自分に合った方法を見つけておくことが大切です。漢方や薬膳も症状の緩和にとても役立ちます。

――漢方では人間の体は「気・血・水」の3つの要素で成り立っていると聞きます。更年期は気(き:生命エネルギー)、血(けつ:栄養素)、水(すい:体液、水分バランス)のどこに不調が出るのでしょうか。

久保田さん:全部が密接に関係しています。

気:生命活動の原動力
血:血液とその中に含まれる栄養素
水:リンパ液や汗・水・鼻水など管外の体液

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★イライラ、頭痛、動悸などの症状は、気のバランスの乱れ ⇒氣逆
★睡眠障害、疲労感、めまい、集中力低下、肌のくすみ、肩こり ⇒血虚・お血
★めまい、冷え、むくみ ⇒腎虚

気には推動作用といってモノを推し出す力があり、この力で血や水が流れています。気が充実していれば、血も水も動きますが、更年期にはイライラやヒステリーなど女性特有の症状が出ることがあります。普通“気”は下に向かって全身を流れているのですが、気や血が頭の方に流れ過ぎて(気逆)しまうと頭痛などの症状を引き起こします。人それぞれ幅広い症状(不定愁訴)が出て、程度も様々ですが、この時期は気を調えることがとても大切です。気を調える事で、気・血・水のバランスがとれ更年期症状を緩和することが出来ます。

――「気」を調えて元気になるためにはどうしたら良いでしょうか?

久保田さん:「気」のつく言葉は日本語にはたくさんありますよね。東洋人は感覚的に「気」の概念が備わっています。それだけ普段から「気」を身近に感じているのです。
皆さん、元気の作られ方って知っていますか?実は元気という気は、呼吸によって吸う清気(空気)と食べ物に宿る穀気(飲食物)が、いろいろな気に変化して最後に元気になります。
清気は肺に穀気は胃に入り宗気が出来上がり、今度は腎で真気という気が出来上がります。これが元気という形で蓄えられているのです。つまり、しっかり呼吸が出来ていて身体に良い食べ物を食べれば元気が出来るというわけです。

氣生薬局提供
提供:氣生薬局
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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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久保田佳代さん