肺がんのサインは咳だけじゃない?知られざる初期症状は|医師が解説


女性や非喫煙者が肺がんに罹る割合はおよそ半分程度を占めると言われています。医師が解説します。
「肺がん」とは?
これまでの統計によれば、男性は大体10人にひとり、女性はおよそ21人にひとりの割合で、一生のうちに「肺がん」と診断されています。
肺がんと新たに診断される人の数は年々増加しており、男女別では、男性の方が女性の約2倍程度多く罹患しており、年齢が上昇すればするほど罹患率も高くなり、特に60歳以降になると急激に増加すると指摘されています。
肺がんは、腫瘍が認められる患側はもちろんのこと、その反対側の肺実質やその他の臓器である脳、骨、肝臓、副腎、リンパ節などに転移しやすいと考えられています。
転移形態は、肺で構成されたがん細胞が血液やリンパ液の循環に乗じて、他臓器に移動して増殖するために引き起こされますが、特に肺では多くの血管やリンパ管が構造的に張りめぐらされて存在するため、悪性腫瘍が他の臓器に波及しやすいと考えられます。
●肺がんの分類
その組織型の違いによって、「小細胞肺がん」と「非小細胞肺がん」に分類されています。
その中でも、大多数を占めているのは「非小細胞肺がん」であり、さらに「腺がん」、「扁平上皮がん」、「大細胞がん」に分けられています。
●腺がん
腺がんというのは、唾液が分泌される唾液腺や胃液を分泌している胃腺など腺組織とよく類似した形状を呈しているがんのタイプであり、多くの場合には肺の比較的末梢に位置する肺野部に認められます。
一般的に、腺がんは女性やタバコを吸わない非喫煙者にできる肺がんの種類であり、その割合は肺がん全体のおよそ半分程度を占めると言われています。
●危険因子
肺がんは一般的に喫煙歴と深い関係にあることが多く、本疾患を予防するうえで禁煙は欠かせません。
何より見逃してはいけない事実として、喫煙は肺がんの危険因子の重要な要素であることです。
喫煙者は非喫煙者と比べて男性で約4倍、女性では3倍近く肺がんになりやすいと言われています。
さらに、喫煙行為を始めた年齢が若ければ若いほど、また喫煙量が多ければ多いほど肺がんを発症するリスクが高くなります。
そして、受動喫煙(周囲に流れるたばこの煙を吸うこと)も肺がんのリスクを2~3割程度高めることが知られてきました。
肺がんは早期発見が非常に重要な観点となります。
肺がんでは、慢性的な咳嗽、痰(特に血痰)、胸痛、呼吸困難などの症状が認められることが知られていますので、このような症状を自覚した場合には早期的に呼吸器内科、あるいは呼吸器外科に受診して、精密検査を受けるように相談しましょう。
肺がんのサインは咳だけじゃない?知られざる肺がんの初期症状
肺がんに伴う症状としては、大きく分けて原発巣やリンパ節転移による症状、あるいは遠隔転移に合併する症状に分類することができます。
肺がん自体が他の悪性腫瘍と比較して自覚症状が出現しにくい疾患として代表的ですが、特に早期的な段階であるステージ1では無自覚で経過することが多く、時に症状として咳だけでなく、血痰、食欲減退などが認められることがあります。
病状が進行すれば、慢性的な咳嗽のみならず、息切れ、血が混じる痰、顔面や頸部領域の腫脹、体重減少などが挙げられます。
さらに、がんの病変が進行してくると、慢性的に継続する咳嗽、胸部から腕や肩にかけての痛み、長期的に続く血痰、声が枯れる嗄声症状、喘鳴、呼吸困難などを引き起こします。
まとめ
日本人の二人に一人ががんになると言われている時代です。
肺がんの主な発症原因は、タバコの喫煙習慣ですが、それ以外にも、周囲の環境、食生活、放射線、薬品などがリスク因子として挙げられます。
肺がんは、初期段階では自覚症状が乏しく、発見が遅れがちですが、早期発見および予防対策が非常に重視されています。
万が一、咳嗽だけでなく、息切れ、血痰、体重減少などのサインがある場合には、肺がんを疑って、呼吸器内科など専門医療機関を受診しましょう。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
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