「胸がドキドキする」「すぐに息切れ」それ病気のサインかも?考えられる病気は|医師が解説


危険な動悸症状や息切れとは?医師が解説します。
「胸がドキドキする」「すぐに息切れ」それ病気のサインかも?考えられる病気は?
「胸がドキドキする」、「すぐに息切れする」など、動悸や息切れの原因となる病気はいろいろ考えられます。
更年期障害
例えば、更年期障害もそのひとつです。
多くの女性は40代頃から更年期と呼ばれるフェーズに入り、この時期には体が火照って疲労を感じやすいなど辛い期間であると考えられていますが、実は更年期には動悸症状の発症とも関連があります。
更年期においては、周囲環境などで過剰なストレスを抱えているなど以外にも、女性特有の要因として更年期前後におけるエストロゲンの分泌量低下が挙げられます。
女性ホルモンのひとつであるエストロゲンには様々な健康リスクから女性の身体を守る働きがあることが知られていて、エストロゲンの分泌量は女性の場合にはおよそ40代頃から更年期の訪れとともに減少し始めて50代の閉経期になれば急激に落ち込みます。
特に更年期を過ぎるとエストロゲンの分泌量が低下して、動悸の症状が出現する危険性が増します。
高血圧
高血圧自体が、動悸や息切れなどの症状を引き起こす場合もあります。
現在のところ、高血圧症は我が国において約4000万人以上にも及ぶ国民が罹患していると言われており、高血圧を制御することによって本邦における脳血管障害や心臓病の発症を抑制することが大いに期待されています。
高血圧症が長期的に持続することで動脈硬化が知らぬ間に進行して、脳卒中や心筋梗塞が引き起こされる、あるいは心機能が低下して心不全に罹患しやすいと考えられているため十分に注意を払うことが重要な視点となります。
軽度の高血圧であれば無症状で経過することも少なくないために本疾患は放置される傾向がありますが、様々な合併症を未然に防止するためにも早期から意識的に治療介入することが肝要です。
一般には、最高血圧(収縮期血圧)が140mmHg以上、あるいは最低血圧(拡張期血圧)が90mmHg以上であれば、「高血圧症」と診断されることになります。
多少の範囲であれば血圧が高くても、自覚症状を感じないのが通常ですが、血圧がかなり高い際には動悸症状、頭痛やめまい、肩こり症状などが典型的に認められます。
実際のところは、これらの代表的な症状は血圧とは無関係によく経験されるものですから、高血圧は自覚症状が意外と当てにならない病気と言えるがゆえに、症状の有無に関わらずに定期的に検査や治療を受ける必要があると言えるでしょう。
過度の緊張やストレス
日常生活において、過度の緊張やストレスで心臓の鼓動が速くなり、「ドキドキ」と動悸を感じた人も少なくないと思います。
緊張やストレスなど、外部から受けた刺激により交感神経が活発に働くことで、動悸や息切れの症状が出ることがあります。
これには自律神経が関わっていて、自律神経は、興奮した状態のときに働く交感神経と、リラックスしているときに働く副交感神経の2種類があります。
ストレスに伴って強い刺激を感じると、防御反応として交感神経が優位になり動悸が一時的に起こることがあります。
ストレスは自律神経のバランスを乱す大きな要因ですので、過大なストレスを感じている場合は、心拍数を高める交感神経の働きが強い状態になり易いので、常日頃からストレス管理はとても重要になります。

不安を伴うストレスが原因の動悸は、症状のコントロールが難しい場合がありますし、不安が動悸の原因となり、動悸がさらに不安を生むという悪循環に陥ることもありますので、場合によっては不安や動悸症状を緩和するための薬を処方することがあります。
「胸がドキドキする」「すぐに息切れ」する心臓病とは?
「胸がドキドキする」「すぐに息切れ」などの症状を引き起こす代表的な心臓病として、「心房細動」が挙げられます。
心房細動という不整脈は、本来は一定リズムの電気活動で動いている心房の部屋が、無秩序に痙攣している状態を呈するため、正常の規則的な脈ではなく、不規則な脈のリズムになってしまい、動悸やめまいなどの症状が認められることがあります。
近年では高齢者を中心に、知らないうちに心房細動と呼ばれる不整脈を罹患している方が増えており、この不整脈を患うと心臓の中に血液の塊が出来やすくなります。
心房細動と呼ばれる不整脈では、心房内に血栓を形成し、その心房内の血栓は血流に乗って全身へ飛ばされる恐れがあるため、脳梗塞の発症リスクも上昇すると考えられています。
心臓の中に出来た血液の塊が時に遊離して、不幸にも脳の動脈の方に流れていってしまうせいで脳の血管が詰まって閉塞してしまうことが原因で起こる脳梗塞のことを特に心原性脳塞栓症と呼んでいます。
この危険な不整脈と考えられる心房細動がありますと、毎年について約5%の方に脳梗塞が起こると言われています。
したがって、普段の生活で動悸や息切れを自覚するなどの症状が出現した際には、心房細動などの不整脈がないかどうか、専門医療機関で詳しく調べてもらった方がよいでしょう。
まとめ
一般的に動悸や息切れを引き起こす原因は、心房細動などの不整脈をはじめとして、心臓に原因がある場合、不安が強いなどの心因性、あるいは過労や睡眠不足に伴う場合などが挙げられます。
動悸症状のみならず、胸が苦しくて息切れがする、意識が飛びそうになるといった症状を伴うときは、すぐに救急外来を受診しましょう。
ほかにも、胸が痛くて圧迫感がある、冷や汗が出る、脈が極端に速い、あるいは遅い、30分以上ドキドキと動悸症状が続いているなどの際にも、早急に専門医療機関を受診する必要があります。
心配な方は、循環器内科など専門医療機関を適切に受診しましょう。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
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