休みの日は1日中横になっている…実は「休日無気力症候群」?なりやすい人の特徴は|臨床心理士が解説


「休日は何をする気も起きない」「休日になると寝てばかりで後悔」そんなお悩みを抱えていませんか?休日に何もできない背景には「休日無気力症候群」が隠れているかも。今回は頑張り屋さんが陥りやすい「休日無気力症候群」について解説します。
休みの日は1日横になっている…それって「休日無気力症候群」かも
まずは「休日無気力症候群」とは何か説明します。
休日無気力症候群とは?
「休日無気力症候群」とは、平日は何とか活動できているものの、休日になると何をする気も起こらずほぼ1日中横になってしまう現象を指します。
「週末うつ」と呼ばれることもあります。どちらも医学的な診断名ではなく、あくまで「休日になると意欲がなくなり、何もできない」状態を指す一般的な言葉として使われています。
休日無気力症候群チェックリスト
「休日無気力症候群かも?」と感じる方は、下のチェックリストを試してみてください。当てはまるものが多いほど、休日無気力症候群の可能性があります。
□休日になると何をする気も起きない
□休日になると頭痛や倦怠感など体調不良になる
□お昼過ぎまで布団から出られない
□これまでは楽しめていた趣味もやる気がしない
□やりたいことがあっても休日になると億劫に感じる
□ぼーっとしながらスマホを眺めている時間が長い
□頭の片隅で「やらなければ」と考えているが動けずイライラする
□休日が終わりに近づくと「何もできなかった」と強い後悔にさいなまれる

休日無気力症候群になりやすい人とは?
休日無気力症候群に陥るのは、主に「完璧主義」や「すべき思考」によって平日に頑張りすぎてしまう人たちです。もう少し詳しく見ていきましょう。
完璧主義の人
完璧主義の人は、100点満点の成果を挙げられないと満足できません。「ほどほどに手を抜く」「そこそこで満足する」といった対応ができず、何事も完璧な仕上がりを目指します。
そのため、平日の仕事や学業で力を使い果たし、休日には糸が切れたようにぐったりしてしまうのです。
「〇〇すべき」と考える人
「仕事は全力で取り組むべき」「もっと有意義に過ごすべき」など、「〇〇すべき」と考える傾向のある人も、平日の仕事や学業に多くのエネルギーを注ぎます。その結果、心身に疲労が蓄積し、休日には何もする気力がなくなってしまいます。
また、休日に関しても「家事をすべき」「勉強すべき」などやるべきことが次々に頭に浮かび、心身にプレッシャーがかかった結果、かえって動けなくなってしまいます。
休日無気力症候群の対処法とは?
休日無気力症候群の対処法としては、「休養の時間を確保する」「自分を追い込む思考を和らげる」「病院を受診する」の3つが挙げられます。
休養の時間を確保する
休日無気力症候群を予防するためには、平日の疲労をこまめに回復することが大事です。
そのため、平日に休養の時間を確保しましょう。余暇の時間は無気力・抑うつを軽減することがわかっています。(※1)
なかなか時間が取れなくても、
・湯船に浸かってのんびりする
・栄養バランスのとれた食事をする
・寝る前にストレッチをする
など、いつものルーティンに少し自分のケアを意識して過ごしてみると、休日まで疲労を持ち越さずに済みます。
自分を追い込む思考を和らげる
「完璧主義」や「すべき思考」のような自分を追い込む思考を和らげることも、休日無気力症候群を予防・軽減するのに役立ちます。これらの思考を和らげる方法としては、認知行動療法の「コラム法」がおすすめ。手順は以下の通りです。
■コラム法の手順
【1】 気持ちが動いた出来事を記述する(例:上司から書類作成を頼まれた)
【2】 出来事に伴う感情と程度を記述する(例:焦り50%、不安60%)
【2】 出来事に伴う思考を記述する(例:「完璧に仕上げなければいけない」)
【3】 【2】で浮かんだ思考の根拠を示す(例:100%の仕上がりでないと上司に迷惑をかけてしまう)
【4】 【3】で示した根拠を否定する反証を示す(例:90%の出来でも仕事に支障はない)
【5】 【2】で浮かんだ思考とは異なるバランスの良い思考(適応的思考)を探す(例:「仕事に支障がなければOK」「ミスを指摘されても修正すればいいだけ」)
【6】 適応的思考に伴う感情の変化を記録する(例:焦り10%、不安40%)
勘違いされやすいのですが、コラム法は無理やりポジティブ思考になるための方法ではありません。
出来事に対して多様な思考を浮かべる習慣をつくることで、自分を追い込む思考の影響力を軽減することを目指します。
病院を受診する
休日無気力症候群が長く続く場合、放っておくと、うつ病や適応障害などの精神疾患に発展してしまう可能性もあります。
□睡眠の問題がある:寝付けない、眠りが浅い、早朝に目が覚める、寝すぎてしまう
□食欲の問題:食欲がない、食べ過ぎてしまう
□気分の問題:悲しい、ゆううつ、イライラする、死について考える
□思考の問題:集中力が乏しい、物事の判断・決断ができない、考えがまとまらない
□行動の問題:ソワソワと落ち着かない、思うように動けない
上記のような状態を感じたら、医療機関(心療内科・精神科)を受診した方が良いでしょう。
参考文献
※1 松下宗洋・高橋将記・荒尾孝(2016)日本人成人における仕事・移動・余暇の身体活動と抑うつの関連: 横断研究 生涯スポーツ学研究 vol. 13 No. 2 pp.35-42.
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