「身体が重くて起きられない」「よく寝たはずなのにだるい」4つの原因と対処法とは?臨床心理士が解説


毎朝「身体が重くて起きられない」「よく寝たはずなのになんだかだるい」と悩んでいませんか?今回はそんな悩みに潜む4つの原因と対処法についてお話しします。
身体が重くて朝起きられない原因
身体が重くて朝起きられない背景には4つの原因が考えられます。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に10秒以上息が止まる「無呼吸」を繰り返す病気です。呼吸が止まることで睡眠の質が悪くなり、「睡眠時間は確保しているのに朝がだるい」という状態になります。
睡眠相後退症候群
睡眠相後退症候群とは、就寝時間と起床時間が遅くなる病気です。本来寝るべき時間に眠ることができず、明け方近くにようやく眠り、昼頃になって起床するような状態を指します。無理やり朝起床しようとすると、眠気やだるさに悩まされます。
起立性調節障害
起立性調節障害とは、立ち上がろうとすると血圧が急激に低下し、めまいや失神などの症状を引き起こす病気です。私たちの身体は自律神経によって全身の血圧がコントロールされています。
しかし、自律神経のバランスが乱れ、血圧をコントロールできなくなると、朝身体を起こすべきタイミングで血圧が上がらず、起き上がれない…といったことが起こります。
うつ病
うつ病も、朝になると身体がだるく起き上がれないことがあります。一方で、午後になるとだるさが取れ、気分が晴れてきます。これを日内変動といいます。
自分がうつ病かどうか気になる方は下のチェックリストを試してみてください。当てはまるものが多いほど、うつ病の可能性があります。
【チェックリスト:PHQ-9 (Patient Health Questionnaire-9)日本語版 (2018)より】
□物事に対してほとんど興味がない、または楽しめない
□気分が落ち込む、憂鬱になる、または絶望的な気持ちになる
□寝つきが悪い、途中で目が覚める、または逆に眠りすぎる
□疲れた感じがする、または気力がない
□あまり食欲がない、または食べ過ぎる
□自分はダメな人間だ、人生の敗北者だと気に病む、または自分自身あるいは家族に申し訳ないと感じる
□新聞を読む、またはテレビを見ることなどに集中することが難しい
□他人が気づくぐらいに動きや話し方が遅くなる、あるいはこれと反対に、そわそわしたり、落ちつかず、ふだんよりも動き回ることがある
□死んだ方がましだ、あるいは自分を何らかの方法で傷つけようと思ったことがある

身体が重くて朝起きられない時の対処法
身体が重くて朝起きられない時には、次のような対処法が考えられます。
睡眠時無呼吸症候群の対処法
「睡眠時無呼吸症候群かも?」と思ったら、睡眠時無呼吸症候群を扱う医療機関を受診しましょう。
・CACP療法:気道に空気を送り続けて開けておくことで、無呼吸を防ぐ
・マウスピース療法:マウスピースで気道を広げ、無呼吸を防ぐ
といった治療が受けられます。
睡眠相後退症候群の対処法
睡眠相後退症候群では、まず睡眠の状況を記録する「睡眠日記」をつけ、10〜15分ずつ起きる時間を早めていきます。
また、毎日同じ時間に強い光を浴びて体内時計をリセットする「高照度光療法」を受けたり、覚醒に役立つ「メラトニン」を投与したりといった治療が実施されます。
起立性調節障害の対処法
起立性調節障害では、
・高照度光療法:睡眠相後退症候群の対処法としてもご紹介した通り、強い光を浴びて体内時計をリセットする治療法
・食事療法:1日3食決まった時間に食事をして、生活リズムを整える治療法
・運動療法:自宅でできるスクワットや縄跳びなどの運動を実施し、自律神経のバランスを整える治療法
・薬物療法:血圧を高める薬を服用する治療法
といった方法で治療を進めていきます。
うつ病の対処法
うつ病の場合、精神科や心療内科を受診して、根底にある病気をしっかり治療すれば、朝の身体の重さや起きられなさは解消します。
うつ病の治療としては、
・休養:ストレスがかかる環境から離れ、たっぷりと休養をとる
・薬物治療:SSRIやSNRIと呼ばれる「抗うつ薬」を服用する
・認知行動療法:ネガティブになる考え方・捉え方のクセを改善する
といった方法が挙げられます。
おわりに
身体が重くて朝起きられない背景には、身体的・心理的な様々な問題が潜んでいることがあります。症状が長引く場合には、ぜひ一度医療機関を受診してみてくださいね。
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