繰り返す咳!大流行の「マイコプラズマ肺炎」にはどれくらいの頻度でかかるもの?

 繰り返す咳!大流行の「マイコプラズマ肺炎」にはどれくらいの頻度でかかるもの?
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山口華恵
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2025-01-16

冬の季節になると、インフルエンザ、新型コロナウイルスの流行が心配されるが、このところ、“歩く肺炎”とも呼ばれる「マイコプラズマ肺炎」の症例が急増している。

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マイコプラズマ肺炎とは?

マイコプラズマ肺炎は、「肺炎マイコプラズマ」という細菌が原因で、通常の肺炎に比べて進行が遅く、比較的軽度な症状から始まり、症状が数日かけて悪化する。米オハイオ州にあるクリーブランド・クリニックの感染症の専門医ドナルド・ダムフォード医師によると、「最初の数日で気分が悪くなり、咳や発熱が出始め、3~5日ほどで、発熱、頭痛、筋肉痛、ひどい咳が現れ始める」とPBSニュースに語っている。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は、「喘息の発症や悪化、重篤な肺炎、脳炎など、入院が必要となるような深刻な合併症を引き起こすこともある」と警告している。初期症状が風邪と似ているため、軽視してしまうことが多いが、放置すると症状が悪化し、さらに長引く場合がある。例年、マイコプラズマ肺炎は3~5年ごとに流行が見られるが、昨年から特に幼児に大きな影響が出ている。これにはいくつかの要因が考えられる。まず、新型コロナウイルスの大流行中に免疫が十分に培われなかったことが挙げられる。そのため、今年は特に幼児や小さな子どもが感染しやすく、過去の流行時よりも多くのケースが報告されている。

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マイコプラズマ肺炎はどれくらいの頻度でかかるのか?

マイコプラズマ肺炎は、人生で3回程度かかることが一般的だ。具体的には、1回目は幼児期、2回目は成人期(20代~40代)、そして3回目は高齢期に再度感染することが多いとされている。しかし、これはあくまで一般的なケースで、マイコプラズマ肺炎は、非常に感染力が強く、家庭内での感染拡大がよく見られる。例えば、家庭で1人の子どもが感染すると、他の兄弟姉妹の約80%が感染し、大人にも約40%が感染する可能性があると言われている。このように、マイコプラズマ肺炎は一生のうちに何度もかかる可能性もあり、特に免疫がまだ十分でない幼児や、過去に感染していない人にとっては、より感染しやすいと考えられる。

その他の呼吸器系疾患の増加傾向

今年はマイコプラズマ肺炎だけでなく、百日咳など、その他の呼吸器系疾患も増加している。これもおおよそ4~5年に一度流行する病気だが、今年はその頻度が例年の3~4倍に達しており、これも新型コロナウィルスの影響によるものと考えられている。予防接種が十分に行き渡らなかったことも原因のひとつだ。

気を付けるべき症状とは?

マイコプラズマ肺炎は風邪に似た症状から始まるが、一般的な風邪と違って、発熱や体調不良が長引くことが特徴だ。長期間、咳が続いたり、体がだるかったり、高熱が続いたりする場合、マイコプラズマ肺炎の可能性を考えた方が良いだろう。風邪の場合、熱は軽度であり、元気がなくても数日内に回復することが多いが、マイコプラズマ肺炎では、発熱が続き、次第に咳がひどくなっていく。症状が長引く場合には、早めに医師に相談し、適切な診断を受けることが大切だ。

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冬場でもこまめな換気は忘れずに

マイコプラズマ肺炎の予防には、手洗いや咳エチケットが最も効果的だ。特に、感染者との接触を避けるためには、家庭内での感染拡大を防ぐことが重要だ。手洗いを徹底し、咳が出る場合はマスクを着用する、また室内の換気をこまめに行うことが推奨される。

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出典:
What to know about a surge of walking pneumonia cases among young children
What’s Behind the Rise in Pediatric Cases of Walking Pneumonia

Walking pneumonia cases are picking up pace

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山口華恵

山口華恵

翻訳者・ライター。大学卒業後、製薬会社やPR代理店勤務を経て10年間海外(ベルギー・ドイツ・アメリカ)で暮らす。現在は翻訳(仏英日)、ライフスタイルや海外セレブリティに関する記事を執筆するなど、フリーランスとして活動。趣味はヨガとインテリア。



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