【麻疹(はしか)】大人が麻疹にかかるとどうなる?予防接種してもかかる?医師が解説
麻疹は「はしか」と呼ばれるウイルス感染症の一つです。肺炎や脳炎などの重い合併症を引き起こす感染症であるため、日本では乳児期にワクチンが定期接種と定められています。そのため、発症者は減少しましたが今でもワクチンを受けていない人や抗体がなくなった大人を中心に流行することがあります。子どもより重い合併症が生じるリスクは低いとされていますが、妊婦さんなど免疫力が低下している人が感染すると重症化するケースも少なくありません。 そこで今回は、大人になってからするべき麻疹への対策について詳しく解説します。
麻疹ってどんな病気?
麻疹とは、麻疹ウイルスに感染することによって引き起こされる病気です。高熱など重い症状が現れやすく、子どもが感染すると肺炎などの合併症で命を落とすこともあります。
まずは麻疹の特徴について詳しく見てみましょう。
麻疹にかかるとどんな症状が現れる?
麻疹にかかると、38℃前後の発熱、だるさ、喉の痛み、鼻水、咳、下痢、腹痛などの風邪症状と目の充血が生じます。症状は少しずつ強くなりますが、多くは5日以内に改善します。しかし、麻疹は熱がいったん下がった後に再び39℃以上の高熱が生じるのが特徴であり、同時に顔、首、胸、背中、腕など赤い発疹が生じて徐々に全身に広がっていきます。発疹が出た後は3日程度で自然に回復していきますが、肺炎、脳炎、中耳炎などの合併症を引き起こすこともあるため注意が必要です。
大人が麻疹にかかるとどうなる?
麻疹は大人になってかかっても重症化するリスクが高いわけではありません。しかし、麻疹は空気感染(発症者から排出されたウイルスを吸い込むことで生じる感染経路)で拡がり、ウイルス自体の感染力も強いため大流行することがあります。その結果、重症化しやすい赤ちゃんや子どもにも感染が拡がってしまうこともあるのです。
麻疹を予防するにはどうすればいい?
麻疹の感染経路は空気感染であり、手洗い、消毒、マスク着用などの一般的な感染対策のみでは予防することができません。同じ空間の中に発症者がいると、空気中を漂うウイルスを吸い込んでしまう可能性があります。また、ウイルスの大きさは非常に小さいため通常のマスクでは感染予防になりません。
では、麻疹はどのように予防すればよいのか詳しく見てみましょう。
麻疹の予防にはワクチン接種を!
麻疹には有効なワクチンがありますので、予防にはワクチン接種をする必要があります。現在、日本では1歳児と小学校入学一年前の幼児に対して計2回の接種が定期化されています。ワクチンの効果は非常に高く、2回接種することで97~99%で抗体ができるとされています。また、万が一かかった場合でも重症化のリスクを大きく減らすことが可能です。
大人になってもワクチン接種できるの?
ワクチンの2回接種が定期化されたのは2006年以降であり、これまで麻疹にかかったことがなく1回もワクチンを接種していない人は抗体がありません。また、1回しか接種していない人も抗体が不十分な可能性があります。
該当する人は、大人になってからワクチンを接種することが可能です。ワクチン接種の回数などが分からない場合は、抗体の量を血液検査で調べることもできますので医師に相談して下さい。
ワクチン接種をして麻疹を予防しよう!
麻疹は肺炎や脳炎などの重い合併症を引き起こし、赤ちゃんや子どもがかかると命を落とす危険もある感染症です。大人になってからかかっても重症化するリスクが高まるわけではありませんが、赤ちゃんや子どもに感染させてしまうことも少なくありません。
麻疹は空気感染するため一般的な感染対策では予防することができず、唯一効果的な予防法はワクチン接種です。2回のワクチン接種をしていない人は麻疹にかかる可能性がありますので、医師に相談してワクチン接種を検討しましょう。
参考文献:
AUTHOR
成田亜希子
国立大学医学部卒。総合診療医。 総合診療医として多岐に渡る疾患の治療に従事している。 国立保健医療科学院や公益財団法人結核予防会結核研究所で研修を積み、保健所勤務経験から感染症、医療行政に詳しい。 現在は美容クリニックに勤務し、美容の悩みも含めてトータルケアを手掛けている。
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