大人になってかかると不妊症の原因になることも?意外と知らない【おたふくかぜ】について医師が解説

 大人になってかかると不妊症の原因になることも?意外と知らない【おたふくかぜ】について医師が解説
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おたふくかぜとは、ウイルス感染によって耳の下にある耳下腺が腫れる病気です。子どもによく見られ、3~6歳でかかることが多いとされています。一般的に症状は軽く自然に回復していくことがほとんどですが、大人になってかかると重症化しやすく難聴や不妊症を引き起こすことも報告されています。そこで今回は、大人が注意すべきおたふくかぜの症状や予防法などについて詳しく解説します。

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おたふくかぜにかかるとどんな症状が出る?

おたふくかぜの代表的な症状は耳下腺の腫れや痛みですが、この感染症はさまざまな症状を引き起こします。まずは、おたふくかぜの症状について詳しく見てみましょう。

おたふくかぜの一般的な症状

おたふくかぜは、正式には「流行性耳下腺炎」と呼ばれる感染症です。その名の通り、発症すると唾液を作る耳下腺という器官が腫れて痛みを伴うようになります。耳下腺は左右にひとつずつありますが、両方腫れることもあれば片方だけ腫れることも少なくありません。

その他、同時に発熱、のどの痛みも現れます。

大人がかかるとどうなる?

通常、おたふくかぜは1~2週間程度で後遺症を残すことなく自然に回復していくことがほとんどです。しかし、大人になってかかるとウイルスに対する抵抗力が強く現れるため重症化しやすく、髄膜炎、膵炎、難聴などを合併することがあります。また、男性では20~30%で精巣炎、女性では7%程度で卵巣炎を引き起こすのも特徴の一つです。その結果、特に男性では精子を作る機能が低下して将来的な不妊症の原因になることも報告されています。

おたふく風邪
おたふく風邪にかかると。耳下腺が腫れて痛むほか、発熱、のどの痛みといった症状が。
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おたふくかぜを予防するには?

おたふくかぜは大人になってかかると重症化しやすく、まれに子どもでも難聴などの後遺症を残すことがあるため注意すべき感染症の一つです。

おたふくかぜを予防するにはどのようなことに注意すればよいか詳しく見て見ましょう。

おたふくかぜはどうやって感染するの?

おたふくかぜは、ムンプスウイルスによって生じる感染症です。感染経路は、感染者の咳やくしゃみのしぶきに含まれたウイルスを近くに人が吸い込む「飛沫感染」、手などに付着したウイルスを口から摂り込んでしまう「接触感染」とされています。

特に症状が現れてから48時間以内は感染力が強いウイルスが排出されるため、近くにおたふくかぜにかかっている人がいる場合は注意が必要です。

おたふくかぜを予防するには

おたふくかぜを予防するには、日頃から手洗いや消毒などの基本的な感染対策をしっかり行うことが大切です。特に家族に発症者がいる場合は、感染するリスクが高いため家庭内であっても感染対策を徹底して下さい。

また、おたふくかぜにはワクチンがあります。ワクチンを接種することで90%程度の人に抗体ができ、髄膜炎などの重症な合併症のリスクを大幅に低くすることが可能です。

今までおたふくかぜのワクチンを接種したことやおたふくかぜにかかったことがない人にはワクチン接種が勧められています。ワクチンは28日以上の間隔を空けて2回接種が必要です。該当する方は医師に相談して接種を検討して下さい。

大人のおたふくかぜは重症化しやすい!感染対策とワクチン接種を

おたふくかぜは子どもの間で流行しやすい感染症ですが、大人がかかるケースも少なくありません。子どもがかかると軽度な症状しか生じないことがほとんどですが、大人がかかると重症化しやすいとされています。場合によっては難聴や不妊症などの後遺症を残すこともあるため注意が必要です。

おたふくかぜはムンプスウイルスによって引き起こされる感染症であり、手洗いや消毒などの基本的な感染対策を行うことで予防することができます。また、有効なワクチンもありますのでこれまでワクチンを接種したことがない人やおたふくかぜにかかったことがない人は接種することを検討しましょう。

参考文献

国立感染症研究所「流行性耳下腺炎(ムンプス、おたふくかぜ)」
東京都感染症情報センター「流行性耳下腺炎 Mumps」
日本生殖医学会「Q5.どんな人が不妊症になりやすいのですか?1)女性側 2)男性側」

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AUTHOR

成田亜希子

成田亜希子

国立大学医学部卒。総合診療医。 総合診療医として多岐に渡る疾患の治療に従事している。 国立保健医療科学院や公益財団法人結核予防会結核研究所で研修を積み、保健所勤務経験から感染症、医療行政に詳しい。 現在は美容クリニックに勤務し、美容の悩みも含めてトータルケアを手掛けている。



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