まぶたが落ちてくる【眼瞼下垂】自然に治ることはない?なりやすい人の特徴は?医師が解説
知っているようで知らない「眼瞼下垂」について、医師が詳しく解説します。
眼瞼下垂とはどのような病気か
眼瞼下垂とは、上瞼が下がって目を開いても十分に瞼が上がらずに、瞳孔の一部分が隠れる状態を指しており、瞼の下がり具合によって軽度・中等度・重度に分けられます。
眼瞼下垂の主な症状は、瞼が重い、視界が遮られて物が見えづらくなった、頭痛や肩こりが起こりやすくなった、目が開けづらい、目が小さくなって細くなるなどが挙げられます。
眼瞼下垂になると瞼が上がりにくくなるため、目が小さく見えてしまうケースが多いですし、いつも眠そうに見えると周りから指摘される場合もあります。
また、眼瞼下垂の場合には、瞼が下がり、症状が重いと瞳孔を覆ってしまって瞼にさえぎられて物が見えにくいといった症状が出現して、以前よりも頭をぶつけやすくなったというエピソードも考えられます。
眼瞼下垂で起こる頭痛や肩こりは、瞼を上げようとして無意識のうちに前頭筋や上眼瞼挙筋を使ったりあごを上げたりすることが原因であると推察されていて、瞼を上げるために目の周辺の筋肉が緊張することに伴って頭痛などの症状が起こりやすくなります。
眼瞼下垂になりやすい人とは
眼瞼下垂を引き起こす原因としては、生まれつきのもの、加齢性変化、あるいはコンタクトレンズの長期間装着などが考えられます。
生まれつきの場合には、片目だけに眼瞼下垂が生じる人もいて、慎重な経過観察が必要です。
眼瞼下垂の原因として比較的多くを占めているのは加齢によるものであることから、眼瞼下垂の症状は年齢を重ねるとある程度誰にでも起こりうると考えられます。
コンタクトレンズ(特にハード)の長期的な装着が眼瞼下垂の発症原因のひとつと認識されているため、ハードコンタクトレンズを長く使用しすぎている人では眼瞼下垂の症状が引き起こされやすく注意が必要です。
コンタクトを使用している方が必ずしも眼瞼下垂になるわけではありませんが、コンタクトをしなくても大丈夫な日は眼鏡に変えるなど、コンタクトレンズの装着時間を減らす対策を行いましょう。
眼瞼下垂の治療予防策は?
眼瞼下垂を自分で治したいと考える方もいるかもしれませんが、残念ながら基本的には自分で治すことはできませんし、通常は自然に治るということもありません。
ただし、眼瞼下垂の程度が軽症の場合には、二重のりと呼ばれる瞼用の接着剤やアイテープなどを使って一時的に対処することは可能です。
また、クラッチ眼鏡と呼ばれる眼瞼下垂矯正用の眼鏡を使用して対処する方法もあります。
これらの方法は一時的なものなので、根本的に治療をしたい場合には専門医の診察や治療を受ける必要があるでしょう。
眼瞼下垂を根本的に治療するためには、手術を行うのが一般的であり、視界が遮られて日常生活に支障をきたしている場合や、美容面が気になる場合には手術を検討しましょう。
眼瞼下垂の手術にはいくつかの方法があって、腱膜性の眼瞼下垂の場合は、ゆるんだ挙筋腱膜を縫合する手術が行われます。
自力では治せず通常は自然にも治らないため、眼瞼下垂だと思われる症状が出たら早めに受診して対処しましょう。
重症筋無力症や脳腫瘍、動眼神経麻痺などの病気によって眼瞼下垂が生じて目が小さく見えることもあるため、気になる症状がある際には早めに医療機関を受診する必要があります。
意識して目を開けても目の前のものが見えづらい、瞳孔が遮られてしまうという場合には中等症や重症の眼瞼下垂が疑われるので、早期的に医師の診察を受けましょう。
また、物が見えづらくなるのは眼瞼下垂だけが原因ではないことも想定されるため、他の眼疾患が存在するかどうかも含めて早めに医療機関を受診してください。
まとめ
これまで、眼瞼下垂とはどのような病気か、眼瞼下垂になりやすい人の特徴や治療予防策などを中心に解説してきました。
眼瞼下垂とは、上瞼が上がりにくくなった状態のことであり、目が小さくなる、眠そうに見える、おでこにしわができるなど外見にも変化が現れるため、周りからの指摘で発見される場合もあります。
眼瞼下垂が重度になると瞳孔が隠れてしまうので、瞼で遮られて物が見えにくくなり、頭上に何かがあっても気付かず頭をぶつけてしまうことも考えられます。
できれば眼瞼下垂を自分で治したいと考える方もいるかもしれませんが、自分で根本的に治す方法はありませんし、マッサージなどは逆効果になることもあるため、自己判断で行わないようにしましょう。
眼瞼下垂の治療では手術が行われるのが一般的であり、眼瞼下垂の原因によって手術方法が異なります。
いざ手術となると不安になる方も多いと思いますので、実際に手術方法の詳細を調べる、あるいは手術を受ける施設を検索するなど事前に対策を講じて、適切なタイミングで専門医療機関を受診することが重要です。
AUTHOR
甲斐沼 孟
大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。
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