命に関わることもある?「蕁麻疹(じんましん)」を甘く見てはいけない理由とは|医師が解説

 命に関わることもある?「蕁麻疹(じんましん)」を甘く見てはいけない理由とは|医師が解説
甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2023-03-10

知っているようで意外と知らない「蕁麻疹(じんましん)」について、医師がわかりやすく解説します。

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蕁麻疹とはどのような病気か

蕁麻疹とは、皮膚の一部に膨疹と呼ばれる少し膨らんだ発疹が現れる病気であり、原因の特定できない特発性が多いですが、食物やストレスをきっかけに発症するタイプもあります。

蕁麻疹の膨疹には掻痒感を伴いますが、多くの場合には数時間で膨隆疹は消失しますが、なかには慢性的に経過することもあります。

蕁麻疹は、アナフィラキシーショックと呼ばれる重篤なアレルギー反応として現れることもあって、命に関わることも想定されるために早急に医療機関を受診して迅速に治療する必要があります。

蕁麻疹では、急激に発症する膨疹が特徴であり、外表上は1cm程度の大きさの病変から地図状に広がることも存在し、蕁麻疹の膨疹は非常に強いかゆみを伴い、数時間のうちに体の至る所に広がった後、跡形もなく消失します。

多くの場合、一度発症しても繰り返すことはないのですが、なかには1か月以上が継続する慢性蕁麻疹に進行することもあって、その場合には夜間に出現することが多く、原因を特定するのが困難なケースも見受けられます。

蕁麻疹
蕁麻疹の様子 photo by Adobe Stock

蕁麻疹になりやすい人とは

蕁麻疹を誘発する原因は、ウイルスや細菌など感染症が挙げられる以外にも卵、牛乳、小麦、蕎麦、甲殻類など特定の食べ物に対するアレルギー反応も想定されています。

また、近年食べ物に関連したアレルギー反応として、原因となる食べ物を摂取してから十数分以内に口腔粘膜に腫れを伴う口腔アレルギー症候群と呼ばれる疾患が注目されています。

さらに、特定の食べ物を摂取した後、激しい運動を実施することで蕁麻疹やアナフィラキシーが誘発される食物依存性運動誘発アナフィラキシーと呼ばれるタイプのアレルギー反応も知られています。

したがって、昼食にアレルギー物質である小麦製品などを摂取したのち、午後の体育などの時間に蕁麻疹が出現する人も存在し、様々な発症様式が考えられます。

また、特定の抗生物質や造影剤、解熱鎮痛剤などを含む薬剤が原因で蕁麻疹を発症することもありますし、ラテックスゴム、寒冷刺激や温熱刺激、日光、ストレスなどに伴って蕁麻疹を発症する人も見受けられます。

全身性エリテマトーデス(SLE)やシェーグレン症候群を代表とする膠原病、リンパ腫などの血液疾患などが蕁麻疹の原因となる場合もありますし、遺伝的な要素で発症する人の場合には眼瞼部や口腔粘膜の浮腫性変化を伴うことが考えられます。

蕁麻疹を引き起こす原因は多岐にわたりますが、原因を特定できるケースの方が少なく、原因不明で経過する場合も多く存在します。

蕁麻疹の治療予防策は?

蕁麻疹の治療では、基本的には薬物治療と原因除去を行います。

薬物療法では、比較的副作用が少ない第2世代の抗ヒスタミン薬が主体であり、症状が出ている際に、再発や症状悪化を予防するために1週間程度内服を継続しますし、万が一抗ヒスタミン薬で症状が制御できない場合には、ステロイドを使用することもあります。

また、アレルギー反応である蕁麻疹症状を再発しないように特定の食物や薬剤などアレルギーの原因となっている刺激誘因を避けるように努めることも重要な観点となります。

蕁麻疹に伴って、アナフィラキシーショックを発症する場合には、迅速な医療機関への受診が必要であり、事前に注射薬を携帯することも経験されます。

本人以外にも、家族や周囲の方々がアナフィラキシーの症状がどのようなものか、どんなときに注射薬を使用するべきかなどの知識を事前に所有しておくことも併せて重要なポイントです。

まとめ

これまで、蕁麻疹とはどのような病気か、蕁麻疹になりやすい人の特徴や治療予防策などを中心に解説してきました。

蕁麻疹とは、皮膚の一部が突然に赤くくっきりと盛り上がって、しばらくすると跡かたなく消えてしまう皮膚の病気であり、多くは痒み症状を伴って皮膚が焼けるような感じを自覚することもあります。

蕁麻疹の基本的な治療は、できるだけ原因因子を特定して、それらを取り除く、または回避すると共に、抗ヒスタミン薬や抗ヒスタミン作用を有する抗アレルギー薬が用いられます。

心配であれば、皮膚科やアレルギー外来など専門医療機関を受診して相談しましょう。

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甲斐沼 孟

甲斐沼 孟

大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。



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