その眠気、「ただの疲れ」「睡眠不足」が原因じゃないかも?甲状腺機能低下症の初期サイン|医師が解説

その眠気、「ただの疲れ」「睡眠不足」が原因じゃないかも?甲状腺機能低下症の初期サイン|医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2025-04-20

甲状腺機能低下症の初期の段階では日中の眠気なども見受けられます。医師が解説します。

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「甲状腺機能低下症」とは?

甲状腺は首にある臓器で、蝶が羽を広げたような形をしている臓器です。

甲状腺の働きは甲状腺ホルモンを分泌し、身体の新陳代謝を調節することであり、体温や心拍数の調節、精神や自律神経の働き、骨の代謝など多くの臓器の働きに関与しています。

脳の直下にある下垂体から甲状腺刺激ホルモン(TSH)が分泌され、甲状腺を刺激することにより甲状腺ホルモンは分泌されています。

甲状腺機能低下症は、のど付近にある甲状腺のはたらきが低下して、甲状腺で生成・分泌される甲状腺ホルモンの分泌量が通常よりも少なくなる病気のことです。

甲状腺ホルモンは、全身の新陳代謝を活発にする作用があるため、甲状腺機能低下症では、疲労感、身体のむくみ、眠気、寒がり、便秘、脱毛などの症状が引き起こされる場合があります。

この病気を、治療せずに、放置すると、心不全や意識障害を引き起こす可能性も懸念されます。

甲状腺機能が低下する原因のひとつとしては、慢性的な炎症が生じることで徐々に甲状腺が破壊されていく慢性甲状腺炎(橋本病)が挙げられます。

甲状腺機能低下症の原因の多くは、自己抗体(例えば、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体、抗サイログロブリン抗体)が出現する慢性甲状腺炎(橋本病)です。

それ以外にも、亜急性甲状腺炎や無痛性甲状腺炎など、甲状腺に炎症が生じる病気によって一時的に甲状腺の機能が低下して、様々な不調サインが現れるケースもあります。

甲状腺
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「甲状腺機能低下症」の初期サイン

甲状腺機能低下症では、首のはれを自覚して、徐脈や便秘を認める場合があります。

また、日中の眠気、疲労感や倦怠感、顔や足のむくみ、抑うつ状態など多彩な症状をきたす場合があります。

甲状腺機能低下症の初期の段階では、以下の傾向が見受けられることがあります。

  • 疲れやすい
  • 寒さに弱い
  • むくみがち
  • 体重が増える
  • 動作が緩慢になるといった

また、皮膚が乾燥しやすく、よく毛が抜ける、認知機能低下や気分が落ち込む症状などを認めることがあり、甲状腺機能低下症と気づかずに、皮膚科や心療内科などで治療を受けて、初めて指摘される場合も考えられます。

まとめ

甲状腺は、のどぼとけの下にある内分泌臓器であり、甲状腺ホルモンを生成しています。

甲状腺ホルモンは、血液の流れに乗って心臓や肝臓、腎臓、脳など体のいろいろな臓器に運ばれて、身体の新陳代謝を盛んにするなど大切な働きをしています。

甲状腺ホルモンが少なすぎると、眠気や倦怠感、疲労感など、さまざまな症状が出現します。

心配であれば、代謝内分泌内科や甲状腺専門外来などの医療機関を受診しましょう。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

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