【婦人科医に聞く】PMSの症状…眠気、食欲増加、ニキビ・吹き出物の対策は?

 【婦人科医に聞く】PMSの症状…眠気、食欲増加、ニキビ・吹き出物の対策は?
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増田美加
増田美加
2023-12-23

“健やかで美しい体と心”を手に入れるための最新情報を女性医療ジャーナリストの増田美加がお届けします。「眠気がひどく仕事がはかどらない」「食欲が抑えられずダイエットがうまくいかない」「生理前にニキビが増える!」などのPMSのよくある悩みを、どうしたら解決できるのか? 対策を産婦人科医の八田真理子先生に伺いました。

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眠気で仕事も家事もはかどらない…どうしたら?

PMSの時期に「眠くて、眠くて仕方がない」という声をよく聞きます。PMSの時期は、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌によって、基礎体温が高温相に入ります。排卵後は受精卵を待って、妊娠の準備をしている状態です。眠いのは当然。妊娠に向けてエネルギーを蓄え、体力を温存しているわけです。

「ひと月の中で、PMSの時期は充電期。だから、たっぷり寝ていいんです」と八田真理子先生。

妊娠に備えるための体の状態だとわかると、眠気を覚える理由も理解できます。勉強、仕事、家事がはかどらないのは困りますが、家族や社会の理解も必要です。PMSの時期の眠気に対するセルフケアは、ありますか?

「自分でできる対策としては、特に生理前には、眠りの質を良くするように気をつけるといいと思います。朝起きたら太陽の光を浴びて体内時計を整えます。夜はいつもより1時間でもいいので、早くベッドに入るようにしましょう。生理前に眠くなるのがわかっていたら、勉強や仕事をある程度前もって片づけておくなど、体のサイクルを考えてスケジュールを立てることも大切です。そのうえで、家族や周囲の人に、女性の体の周期(生理周期)を理解してもらうことも必要。たとえば、PMSで調子が悪いから早く寝るといったことを伝えて、協力してもらいましょう。少しずつ、社会も変化してきています。周りの理解を得るためには、まず私たちが不調を秘密にしないことが大切です。女性が声をあげれば、生理周期による体の変動をもっと温かく受け入れられる世の中に変わっていくと思います。男性にも広く、PMSをはじめとする女性の体のサイクルを理解してもらえる社会にしたいですね」(八田先生)。

眠気
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PMSになると食欲が増して、体重が増える!

PMSの時期に、

「生理前は食欲が増して、ダイエットがスムーズにいかない」
「生理前は夜中でも甘いものが食べたくなる」
「ダイエットしても体重が減らない」
「食欲が出て、つい食べてしまう。食べたあとは罪悪感がひどい」
「生理前はおなかが出て、体がむくむ。パンツのウエストがキツイ」 

といった悩みをよく聞きます。生理前のイライラと食欲はリンクしているようですが、対策を知りたいです。

「生理前は、女性の体は妊娠のための準備をしているのですから、食欲が増すのは当然です。また生理前は、水分を貯留する作用のあるプロゲステロン(黄体ホルモン)が多く分泌されるのでむくみやすく、体重も増えやすいのです。生理が来れば、むくみもひいて、体重も減っていきます。ですから生理前にダイエットをしても、成功せずイライラのもとになるだけ。PMSの時期は、ダイエットをお休みしましょう」(八田先生)。

PMSの時期は、むくみの悩みもよくあります。サイズが変わるほど脚がパンパンにむくんで靴下の跡がついたりします。

「むくみの対策としては、有酸素運動をして汗をかくのがおすすめ。動けば、食べても太りません。なるべく薄味にして、塩分を控えましょう。湯船につかって汗を出すことも、むくみの対策になります。ちなみに、無理なダイエットは、骨密度が減って、骨粗鬆症になってしまう危険があります。骨密度が最大量になるのは20歳ころ。その後は骨密度が増えることはなく、更年期以降は顕著に減っていきます。今、骨密度を増やして貯金を作っておくことが大事です。バランスのとれた食事をしっかり摂りましょう。タンパク質を摂って、運動すれば、筋肉もついて、食べても太らない体になります」(八田先生)

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PMSのニキビ・吹き出物の対策は?

PMSのニキビ、吹き出物、肌荒れに悩む人もよくあります。

たとえば、

「ニキビが生理前は倍以上に増える」
「生理前にニキビができ、毛穴の開きが目立ち、メイクのノリが悪い」
「生理前はニキビができるのでメンタルが下がる」

女性にとって、ニキビや吹き出物など肌の悩みは、表面に現れるだけに深刻です。

「生理前は、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が多くなり、皮脂が増えるので、ニキビや吹き出物ができやすくなります。これは女性ホルモンの働きが活発な証拠ですから、どちらかというと若いときにニキビがある人のほうが、更年期以降はシワが少なく、肌がきれいです。ニキビや吹き出物の対策には、洗顔が大事。PMSの時期は、洗顔料でやさしくダブル洗顔しましょう。洗顔後は、化粧水、保湿剤をつけてUVケアをしっかり。洗顔料できちんと落とせば、メイクをしても大丈夫。低用量ピルは、ニキビや吹き出物を改善するひとつの方法です。低用量ピルでプロゲステロンの分泌を抑えられるため、ニキビが少なくなります。また、ニキビや吹き出物に効く漢方薬もありますので、いずれも婦人科で相談してみてください。健康保険が使えるニキビ治療クリームは、皮膚科でも婦人科でも処方できます」(八田先生)。

しっかり食事を摂って&体を温める

PMSの対策として、食事で気をつけることは?

「添加物が入ったスナック菓子やスイーツ、ファーストフードをたくさん食べていると、肌荒れしやすいと思います。ニキビや吹き出物が出やすい時期は、ナッツ、チョコレート(カカオ)、カフェインはお休みしましょう。皮脂が出やすくなります。皮膚は内臓の鏡。内臓のためにも皮膚のためにも、味噌、豆腐、納豆などの発酵食品がおすすめ。昔ながらの日本食は、肌にもいいですね」(八田先生)。

PMSのセルフケアとしては、しっかり食事を摂ること、適度に運動することが大切。食事は、ご飯、お味噌汁、おかずといった和定食風がおすすめ。炭水化物も食べましょう。炭水化物抜きの食事は、血糖値が下がりすぎるために、メンタルが不安定でうつっぽくなりやすいです。ビタミンB群、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルを摂ることも大切。サプリメントのエクオールも、PMS軽減作用があると言われています。

「また、痛みのときに、腰周りを温めるのはいいと思います。体を冷やさないことは、病気を遠ざけるという言葉もあるくらい保温は大事です。温めて血行がよくなると、痛み物質の発生も抑えられます。血の巡りがよくなると、ホルモンの巡りもよくなりますね。温かいと精神的にも安心できますから、湯船で温まるのも大切です。リラクゼーション効果も期待できます」(八田先生)。

PMS対策にセルフケアでできることは、いろいろあります。もちろん、つらい人は躊躇せず、婦人科で相談してください。婦人科医は、低用量ピルや漢方薬、鎮痛剤、サプリメントなど、ひとりひとりの悩みを聞いて、対処法をアドバイスしてくれます。

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PMSの時期は充電期間でもある

「PMSは、女性の体が妊娠の準備をするために起こる症状です。水分や栄養を体にため込み、活動量が減って内向的になるなど、外界から体を守ろうとする原始的な女性の本能のひとつです。一方でPMSの時期は、感情が豊かになるときでもあります。ネガティブにとらえず、メンテナンスや充電をするときと前向きに考えて、本を読んだり映画を観たり、リラックスできることをして過ごしてはどうでしょう。PMSは、症状の種類も程度も千差万別。人と比べるのではなく、自分自身がどう感じているかが重要です。つらいと感じたら、我慢しないで。まれに病気が隠れている場合もあるので、つらい症状を抱えている人はぜひ、婦人科を受診してください」(八田先生)。

お話を伺ったのは…八田真理子(はったまりこ)先生

聖順会ジュノ・ヴェスタクリニック八田 理事長・院長。産婦人科専門医。聖マリアンナ医科大学医学部卒業。順天堂大学、千葉大学産婦人科学教室に入局後、関連病院での研修を終え、松戸市立病院産婦人科勤務。1998年「ジュノ・ヴェスタクリニック八田」を開院。地域密着型クリニックとして思春期から更年期まで幅広い世代の女性の診療・カウンセリングを行っている。著書に『思春期女子のからだと心 Q&A 資料ダウンロード付き』(労働教育センター)、『「産婦人科医が教える オトナ女子に知っておいてほしい大切なからだの話」』(アスコム)ほか多数。

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増田美加

増田美加

増田美加・女性医療ジャーナリスト。予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。 新刊『もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択』(オークラ出版)が話題。 もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択 | 増田美加 |本 | 通販 | Amazon



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