【更年期になるとなぜ脂肪がつきやすくなるの?】更年期になると“太る!”をくつがえす生活習慣

 【更年期になるとなぜ脂肪がつきやすくなるの?】更年期になると“太る!”をくつがえす生活習慣
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増田美加
増田美加
2022-07-23

“健やかで美しい体と心”を手に入れるための最新情報を女性医療ジャーナリストの増田美加がお届けします。

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脂肪をつきにくくする作用が女性ホルモンにあった!

「更年期になって、太りやすくなった」というのは、多くの女性が感じることですね。実際に、更年期以降、女性ホルモンが減少してからの時期、肥満を予防することの重要性は、病気予防の観点からも言われています。

女性ホルモンに守られてきたのは、骨、脳、皮膚、泌尿器、血管、心臓、皮膚、粘膜…など、たくさんありますが、筋肉もそのひとつです。

脂肪をつきにくくするメカニズムも女性ホルモンにはあったのです。更年期以降の脂肪増加をどうすればいいのでしょうか? けれども、間違ったダイエットをすると、逆に筋肉を減らしてしまい、太りやすい体質になってしまうこともあります。更年期からの正しい肥満対策を知っておきましょう。

そもそも基礎代謝が減ってきます

更年期ころから「急に太り出した!」という女性が増えてきます。じっとしても消費するエネルギーのことを“基礎代謝量”と言いますが、この基礎代謝量は、年齢とともに少なくなります。

それなのに、若いときと同じように食べていては、エネルギーが供給過剰になって体重増加や肥満を招いてしまいます。しかし、間違ったダイエットをしては、筋肉はさらに減ってしまい、太りやすい体質になります。

また、努力して運動の機会を増やさなければ、若いころに比べると、運動量は自然と減ってきます。筋肉は、年齢と共に減っていき、何も運動をしなければ少なくとも年1%ずつは減ってしまうのです。筋肉が減ると、燃えにくい体になり、益々脂肪が増えやすい体になります。

女性ホルモンが減ると内臓脂肪がつきやすくなる

特に、更年期から注意したいのが、内臓の周りにつく“内臓脂肪”です。更年期になっておなかが2段腹、3段腹になってきた、ウェスト周りのお肉がダブついてきたという人は、内臓脂肪がついてきたサインなので注意が必要です。女性は、若いときは男性に比べて、内臓脂肪がつきにくく、皮下脂肪がつきやすい体質でした。それは、女性ホルモンが守ってくれていたからです。

更年期になって、女性ホルモンが減少して、女性ホルモンのバリアがなくなると、途端に内臓脂肪もつきやすい体質に変わります。内臓脂肪は、生活習慣病の原因になります。体脂肪のうち、この内臓脂肪が多いと、糖尿病、高血圧症、狭心症、心筋梗塞、動脈硬化などの生活習慣病の原因になることがわかっています。

体重計
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自分のBMIを知っていますか?

ダイエットの第一歩は、まず自分の適正体重をBMI(Body Mass Index=ボディ・マス・インデックス)で知ることです。BMIは身長と体重から体格を判定する方法です。標準範囲を超えている人は、1か月に1~2㎏程度の減量を目安にして食事と運動の二本柱で上手にシェイプアップしていきましょう。

体脂肪率は、成人女性の場合25%で肥満気味。30%以上が肥満。一見スリムに見えても、骨や筋肉が少なくて、体脂肪が高い人がいます。それでは、将来、骨粗鬆症やロコモティブシンドローム、フレイル、寝たきりへと向かってしまいます。

【BMIによる肥満度判定】

BMI = 体重(㎏)÷(身長×身長(m))

BMI 25以上⇒肥満気味

BMI 18.5~24.9⇒標準

BMI 18.4以下⇒痩せ気味

日本肥満学会のデータによると、BMI22が最も病気にかかりにくいとされています。また、体脂肪率もしっかりチェックしておきましょう。体重が減っても、体脂肪が減っていないということは、筋肉だけが減ってしまったことになります。筋肉が減ってしまうと、燃えにくい体になり、脂肪がさらに燃焼しにくくなります。

BMI
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糖質ダイエットは無意味。バランスが大事

更年期以前と同じ食事、生活習慣をしていたのでは、基礎代謝が落ち、女性ホルモンが減少しているのですから、太るのは当たり前とも言えます。更年期以降の病気予防、健やかな人生のためにも、食事と運動をまずは見直しましょう。これを食べれば、これを食べなければ、ではなく、和食の定食風のメニューで炭水化物、タンパク質、ビタミン、ミネラルをバランスよく、3食に分けて摂ることが大切です。

「バランスよく3食なんて、できない!」と、あきらめないで。自分なりに工夫しながら、徐々にでもできる方法を見つけていけばいいのです。

極端な糖質ダイエットは注意が必要。糖質ダイエットは、最初、体重は減りやすく結果が見えやすいのですが、糖質だけをカットした食事を続けると、よほど栄養管理をよくしないと、水分と筋肉が減っただけで、脂肪が減らないことになってしまいます。一時だけ体重は減っても、筋肉が減ったことで燃えにくい体になり、あとから体脂肪が増えていく結果になりかねません。

食事はあくまで、バランスよく食べて、筋肉を減らさず、燃えやすい体にすることが大事です。特に、筋肉のもととなるタンパク質は、更年期以降、年々摂りにくくなってきます。毎食20gを目安(意識しないと摂れません)に摂るようにしましょう。タンパク質20gは、卵なら約3個、納豆なら2.5パック、鶏のささ身100gくらいが目安です。

日本食事
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筋トレと有酸素運動で食べても太らない体に

運動は大切です。放っておくと年1%ずつ、特に更年期以降は加速度的に筋肉が減っていきます。益々、燃えにくい体になって、脂肪が増えていくのです。運動は、まずはウオーキングやヨガ、ピラティスなどから。体が慣れてきたら、少しずつスクワットなどの筋トレを加えていきます。

筋トレをして筋肉がつけば、カロリーの呪縛から離れられます。筋肉があれば、閉経しても、食べても太らない体になれます。ほかには、便秘、むくみも体重増加につながります。便秘、むくみに悩んでいる人も、バランスよい食事と運動で筋肉をつけることで、改善されます。更年期以降の肥満防止対策は、“筋肉”がキーワードです。

ヨガ
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増田美加

増田美加

増田美加・女性医療ジャーナリスト。予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。 新刊『もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択』(オークラ出版)が話題。 もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択 | 増田美加 |本 | 通販 | Amazon



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