【天然のエストロゲン】大豆イソフラボン由来「エクオール」が更年期症状の不調対策に!賢い摂り方は?

 【天然のエストロゲン】大豆イソフラボン由来「エクオール」が更年期症状の不調対策に!賢い摂り方は?
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増田美加
増田美加
2022-05-28

“健やかで美しい体と心”を手に入れるための最新情報を女性医療ジャーナリストの増田美加がお届けします。

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エストロゲンに似た作用がある大豆イソフラボン

自然界の中には、女性ホルモンのエストロゲンに類似した物質がいろいろあります。そのひとつが「大豆イソフラボン」です。

「大豆が女性の美容と健康にいい!」ということは、私たち日本人にはよく知られています。大豆に含まれている大豆イソフラボンという成分が、女性ホルモンのエストロゲンとよく似た働きをして、更年期の症状が和らぐと言われています。

アメリカでも大豆イソフラボンはホットフラッシュ、自律神経失調症状を緩和し、更年期症状に効くとされ、サプリメント業界は大きな市場になっています。

「日本女性は大豆製品をよく食べるから更年期障害が軽い」「欧米人に比べ、日本人の骨粗鬆症の発症率が低いのは、大豆製品をよく食べることと関係している」と、イギリスの医学専門誌に取り上げられたこともあります。

大豆イソフラボン
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大豆イソフラボンの恩恵を受けられない人が50%も!

近年の研究で、大豆イソフラボンのことがさらによくわかるようになってきました。腸内細菌によって、大豆イソフラボンが「エクオール」という物質に変わり、これがエストロゲンとよく似た働きをしていることが解明されたのです。また、この腸内細菌を持たず、大豆イソフラボンがエクオールに変わらない日本人が約50%もいることもわかりました。

この50%の人は、納豆や豆腐などの大豆製品を一生懸命、食べても、エストロゲンに似た作用の恩恵を受けられないのです。欧米人は、日本人以上にエクオールを産生できる人が少なく、70~80%も作れない人がいます。

エクオールを作れるかどうかは、検査で

エクオールを産生できるかどうかは、尿検査でチェックすることができます。エクオールは、体で作用した後、尿から排出されるため、尿検査で測定が可能です。

専用の採尿キット「ソイチェックR」で、前の晩に大豆製品(納豆なら1パック、豆腐なら半丁)を食べて翌朝一番の尿を採取します。返信用封筒に入れ郵便ポストへ投函すれば、検査結果は約1週間後に届きます。ソイチェック|ヘルスケアシステムズのエクオール検査 (karadano-monosashi.jp)

大豆製品を食べても、このエクオールを作る腸内細菌を持たなかったら、どうすればいいのでしょうか? 大豆製品や大豆イソフラボンでなく、エクオールそのものをサプリメントで摂るという方法があります。大豆を乳酸菌で発酵させることで作られた、エクオール含有サプリメントがさまざま販売されています。成分は、大豆胚芽とほぼ同じです。

骨粗鬆症予防やシミ、シワにも

検査で、エクオールを作れることがわかったら、大豆製品を食事から摂ればOKです。1日の必要量の目安は、木綿豆腐なら3分の2丁、納豆なら1パック程度です。エクオールを産生できる人でも、大豆イソフラボンは体内にとどまっていないため、毎日、大豆製品を食べる必要があります。毎日、必要量を摂るのが大変だったり、更年期ケアの基本としてエクオールを摂りたい人は、サプリメントを利用する手もあります。

最近、エクオールの体内での作用やメカニズムが急速に解明されてきています。更年期症状をやわらげ、骨粗鬆症の予防や改善、シワの改善効果が報告されています。また、抗酸化作用によるシミの改善、美白、血管の健康を保つ、乳がんの抑制など、女性に嬉しい作用が期待されています。

骨
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油断大敵、顔面の骨は40代から減ってくる

さらに、骨への影響もわかってきました。更年期以降、エストロゲンの低下によって骨密度が減少し、骨粗鬆症になりやすいことは知られています。これまで、顔面の骨密度を注目することはあまりありませんでした。ところが肌を支える顔面骨の骨密度も例外ではなく、40代から減っていくのです。

米国のある研究で、年代別に、腰椎(腰の骨)と顔面骨(上あご、下あご)の骨密度を比較しました。その結果、腰椎よりも顔面骨のほうが、骨密度の減少が激しいことがわかりました。

さらに、腰椎の骨密度減少は、61歳以上で起こるのに対し、顔面の骨密度減少は41歳~60歳の更年期世代で起こっていることが明らかになっています。

アゴ
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顔面の骨が減ると老け顔に!

顔面骨は、顔の筋肉、脂肪組織、肌組織の全ての土台です。その土台が萎縮すれば、必然的に、肌はたるみます。特に、目の周りの骨が萎縮すると、くぼんで老け顔に見えます。骨粗鬆症や老け顔予防のために、骨密度の減少を抑えるためにも、エストロゲンに似た作用のある大豆イソフラボンを摂ることで、低下したエストロゲンを補えます。

大豆イソフラボンに含まれる成分ダイゼインが腸内細菌で代謝され、産生されるのがエクオール。これがエストロゲンに近い働きをするのです。大豆イソフラボンを意識して摂ることで、全身はもちろん、顔面の骨密度減少を防ぐ効果が期待できます。

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増田美加

増田美加

増田美加・女性医療ジャーナリスト。予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。 新刊『もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択』(オークラ出版)が話題。 もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択 | 増田美加 |本 | 通販 | Amazon



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