【今年の花粉は平年を上回る!?】先手必勝がカギ!効果的な治療対策を専門医に聞く

【今年の花粉は平年を上回る!?】先手必勝がカギ!効果的な治療対策を専門医に聞く
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増田美加
増田美加
2026-02-08

“健やかで美しい体と心”を手に入れるための最新情報を女性医療ジャーナリストの増田美加がお届けします。 2026年春のスギ花粉の飛散量は、東海から北海道では例年より多く、非常に多い所もある見込みです。一方で九州から近畿では例年並みの所が多い見通し。飛散開始時期は、福岡2月上旬、広島、高松、大阪、名古屋、東京が2月中旬、金沢、松本、新潟、仙台が2月下旬、秋田が3月上旬の予想です(日本気象協会データより)。花粉症治療の第一人者、耳鼻咽喉科専門医の大久保公裕先生に効果的な治療対策を伺いました。

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花粉が多く飛ぶ前に薬を飲み始めるが重要!

つらい花粉症をなんとかしのぎたいですが、効果的な治療法として知っておきたいのは、薬を飲み始めるタイミングです。

「花粉症治療薬の最大の効果が現れるのには、飲み始めてから1週間程度かかり、ひどい症状が出てからでは効果が出にくいのです。そのため、花粉がたくさん飛ぶ直前から、薬を飲み始める「初期療法」が非常に有効です。症状を軽くし、症状が出る時期を先延ばしできて、薬の量も減らせます」と大久保公裕先生。

今、症状をあまり感じてなくても、花粉情報で飛散開始が告げられたら、すぐに飲み始めたほうがいいということです。

「病院での治療は、まず、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状がアレルギーなのかどうかを調べます。アレルギーだとわかったら、花粉症なのか、ダニやハウスダストなどのほかのアレルギーなのかを調べます。花粉がアレルゲンだとしても、スギなのか、そのほかの植物(ブタクサ、ヒノキほか)なのか、も特定します。アレルゲンの特定の仕方は、「皮膚反応検査」で調べます。また「血中IgE検査」で抗体を調べると、将来発症するかどうか、いつごろ発症するかどうかもわかります。花粉症は何歳でも、突然発症することがあります。なぜ、発症する人としない人がいるかはわかっていません。アレルギーは、体質遺伝的な要素が大きいので、両親ともに花粉症の人は6~7割が花粉症を発症します。ただし、両親ともに花粉症がなくても、約3割の人が発症します。ですから、花粉症を発症していなくても、将来、発症する可能性は誰にでもあります。今、花粉症でない人も気をつけるに越したことはありません」(大久保先生)

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第2世代の抗ヒスタミン薬は、副作用がかなり軽減

薬局、薬店、ドラッグストア(以下、薬局)で買える市販薬(スイッチOTC)と、病院の処方薬では、効果が違うのかが気になるところです。

「医師から処方される医療用医薬品のうち、副作用が少なく安全性の高いものを市販薬(OTC医薬品)に転用(スイッチ)したものを「スイッチOTC医薬品」と言います。現在、医療用医薬品と、薬局で買える市販薬(スイッチOTC)の成分は、同じものが多いのですが、数多くある花粉症の薬の中から、副作用を最小限にして、自分に合った薬を選択するには、まず耳鼻咽喉科で診断を受けることが大切です。病院では、症状の度合いや出方、ライフスタイルを総合的に判断し、最適な薬を処方しています」(大久保先生)

眠気、口の渇きなどの副作用が気になることもありますが、近年、花粉症治療薬は、どんどん進化しています。くしゃみ、鼻水、目のかゆみを抑える「抗ヒスタミン薬」は、以前はよく効く半面、口の渇きや眠気の副作用が気になりました。

「今は、第2世代の抗ヒスタミン薬が出て、これらの副作用がかなり軽減されて、鼻水、鼻づまり、目や皮膚のかゆみ、喉の不快感、咳、じんましん、湿疹にも効果があります。また「遊離抑制薬」というヒスタミンを出にくくする薬は、副作用がさらに少なく、くしゃみ、鼻水に効きます。このほか、鼻づまりに効く「抗ロイコトリエン薬」、点鼻として使う「血管収縮薬」、症状が強いときに使う「鼻噴霧用ステロイド薬」などを組み合わせることで、症状をさらに軽減できます。また、2019年に医師処方の医療用医薬品で、皮膚に貼るタイプの薬「アレサガテープ」があります。この薬は、血中濃度の上昇が飲み薬に比べて緩やかなため、眠気の副作用が出にくく、効果が安定して長い効き目が期待できるという特徴があります。皮膚に貼るタイプのアレルギー性鼻炎、花粉症治療薬は世界初です」(大久保先生)

参考資料/『シリーズ専門医に聞く「新しい治療とクスリ」4花粉症』(論創社)大久保公裕著

皮下免疫療法と舌下免疫療法は?

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花粉症を根本的に治したい人には、根治療法があります。根治療法には、「皮下免疫療法」と「舌下免疫療法」があります。これらは花粉が飛び始める前に行う必要がありますから、来シーズンのための治療になります。

「皮下免疫療法は、アレルゲンを含んだエキスを皮下に注射する治療法で、初めの3か月ほど週1~2回の通院が必要ですが、それ以降は1か月に1回の注射による治療です。効果が出るまで約半年ほどかかり、治療は2~3年続けます」

スギ以外にもブタクサなど複数のアレルギーがある人にも有効。皮下免疫療法のみの費用の目安は1回あたり約600円(3割負担の場合。診察料などは別)で、ほかの治療と比べると比較的安価です。

「舌下免疫療法は、スギ花粉のアレルゲンを含んだ薬剤を毎日、舌の下に置き、口の中に1分そのまま溶けるまで放置しておく治療法です。ほかにダニアレルギー用もあります。治療開始時期は、花粉シーズンが終わった後の夏、秋口からが目安です」

最初は2週間後に、その後は月1回通院し、3~5年間継続することが必要。費用の目安は、診察料、薬剤料で年間2万4千円程度です。

「舌下免疫療法のこれまでの臨床試験では、症状が全く消えた、大幅に軽減した人は、併せて80%を超え、鼻だけでなく目の症状も改善されました。一方で、効果がなかった人が10%以下いて、いくらかでも症状が残る人がいることも確認されています。しかし、患者さんの中には、症状が完全になくならなくても、飛散量がピークのときの重い症状をなんとかしたい人もいます。舌下免疫療法の登場によって、抗ヒスタミン薬の対処療法だけでない選択肢が増えたことは確かです。ほかには、鼻の粘膜をレーザー照射し、1シーズンだけ症状を抑える「レーザー手術」などもあります。これも花粉が飛び始める前に行うと効果的な治療です」(大久保先生)

自分の症状を見極めて、対処療法か、根治療法かを賢く選択できたらいいですね。同時にセルフケア(花粉症治療の第一人者が勧める今年の花粉対策とは? 花粉量は平年を上回る!?)もしっかり行うことが、最先端の花粉症の撃退方法です。

お話を伺ったのは…大久保公裕(おおくぼきみひろ)先生

日本医科大学名誉教授 寄附講座花粉症学講座教授 日本医科大学卒業、同大学院耳鼻咽喉科卒業後、アメリカ国立衛生研究所留学、日本医科大学医学部講師、准教授、大学院教授を経て現職。花粉症、特に舌下免疫療法など新しいアレルギー性鼻炎の治療、研究を進めている。著書に『シリーズ専門医に聞く「新しい治療とクスリ」4 花粉症』(論創社)ほか多数。

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