「体のニキビ跡、赤み、色素沈着が治らない…」背中とデコルテのケアと治療法を美容皮膚科医に聞く

 「体のニキビ跡、赤み、色素沈着が治らない…」背中とデコルテのケアと治療法を美容皮膚科医に聞く
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増田美加
増田美加
2025-03-08

“健やかで美しい体と心”を手に入れるための最新情報を女性医療ジャーナリストの増田美加がお届けします。 体にできたニキビ跡や赤みが治らず、どうしたら?と悩んでいる人は少なくありません。ボディのニキビ跡に対するケアの方法と、美容皮膚科で行われている治療法を取材しました。

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顔とボディのニキビは違う!?

ボディにできるニキビは、背中やデコルテにできることが多いと言われています。顔にできるニキビとボディにできるニキビでは、性質が違うのでしょうか?

「背中やデコルテにできるニキビも、顔と同様に、何らかの原因で毛穴が塞がり、過剰に分泌された皮脂が毛穴内に溜まることでニキビになります。まず発生するのがニキビの初期段階である「白ニキビ」。白ニキビの中で、アクネ菌が増殖すると、炎症を伴った「赤ニキビ」へと進行していきます。背中やデコルテは、顔の T ゾーンと同じくらい皮脂腺が発達していて、皮脂分泌が多いことや、汗腺も豊富で汗をかきやすいことがニキビの発生原因です。さらに、常に衣類に包まれているため、通気が悪く蒸れやすいことや、衣類や下着による刺激があることによって、ニキビが発生・悪化しやすくなります。

ただし、背中やデコルテには、赤ニキビのように見える「マラセチア毛包炎」も発生しやすい場所です。マラセチア毛包炎は、ニキビではありません。ニキビケアをしていても治らない、悪化する場合は、マラセチア毛包炎の可能性があるので、皮膚科を受診してください」と山屋雅美先生。

マラセチア毛包炎とは、マラセチアという真菌(カビ)が原因となって発生します。このマラセチアは、顔よりも背中やデコルテに多く存在する常在菌で、皮脂と高温多湿を好むため、衣類で蒸れやすい背中に繁殖しやくなります。春先から夏にかけて増えた赤いポツポツがなかなか治らない場合は、マラセチア毛包炎の可能性があります。

ボディの正しい洗い方と保湿法

これから春に向かいニキビができやすい季節がやってきます。ボディにニキビができたときの正しい対処法を知っておきましょう。

「背中は汗をかきやすく、蒸れやすい部位なので、洗浄不足によってニキビができることがあります。しかし、皮脂を落とそうとして過剰に洗いすぎたり、擦りすぎたりすると逆にニキビを招く恐れがあるため注意が必要です。正しい洗い方と保湿の仕方を紹介しますね」(山屋先生)

ボディの洗い方

ナイロンタオルやボディブラシなどでゴシゴシ洗うことはNGです。また、スクラブのやりすぎも注意が必要。ナイロンタオル、ボディブラシ、スクラブのやりすぎは、角質層を傷めて毛穴の詰まりを招き、ニキビが発生しやすくなるので避けましょう。体を洗うときは、ナイロンタオルやブラシを使わずに、たっぷりの泡を手にのせ、優しくなでるように洗ってください。体を洗う前に湯船に浸かると、毛穴が開いて汚れが落ちやすくなります。シャンプーやトリートメントの洗い残しも毛穴を詰まらせる原因になります。体を洗う前に洗髪を先に済ませるようにしましょう。

保湿ケア

また、肌の乾燥を防ぐため、入浴後は背中も保湿をしましょう。ただし、クリームやオイルなど、油分の多い保湿アイテムが背中のニキビの原因になることもあります。ボディローションやボディジェルのような油分の少ないアイテムを選ぶようにしましょう。

 
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なぜボディにニキビ跡の赤みができる? 

ボディにニキビ跡の赤みや色素沈着が起こるのは、なぜなのでしょうか? 

「ボディに限らず、ニキビの後にはニキビ跡が残ることがほとんで、ニキビの炎症が関係しています。特に、体の皮膚は顔よりもターンオーバーが遅いため、ニキビ跡の赤みや色素沈着が長引きやすくなっているのです」(山屋先生) 

ニキビ跡の赤み

ニキビの炎症によるダメージを修復する過程で、炎症部位の毛細血管が集中的に作られ、毛細血管中のヘモグロビンの赤い色素が透けて見えることで赤みが生じます。

ニキビ跡の色素沈着

ニキビによる強い炎症の刺激でメラノサイトが活性化され、メラニンが過剰に生成されます。このメラニンが表皮内に蓄積することで、炎症後に色素沈着が起こります。

どういう人がボディのニキビ跡、赤み、色素沈着が起こりやすいのでしょうか。特徴はあるのでしょうか? 

「日焼けをする機会が多い人、肌のトーンが暗い人、肌のターンオーバーが悪い人(血行が悪くなる生活習慣の人)などです。また、ナイロンタオルなどで摩擦している人は、皮膚炎を起こして、色素沈着になることも多く見られます」(山屋先生)

年齢的には、ニキビによる症状は皮脂分泌の多い10〜20代に多く、ストレスなどのニキビは30~40代に多いです。しかし、乾燥による皮膚炎の赤み、色素沈着は40代以降、高齢者でも多く見られます。

ニキビ跡にしないために紫外線対策も 

ボディのニキビ跡や赤み、色素沈着をセルフケアで防ぐためには、まずはニキビ跡を作らないことが最も重要です。 

「ニキビ跡は、ニキビの炎症が原因で起こるため、炎症のない白ニキビの段階で治しましょう。もし、炎症をもつ赤ニキビができたら、早めにクリニックで治療を受けて、炎症を早期に鎮めるようにすることです。もちろん、ニキビができたときは、触ったり、潰したりしないことが大前提です」と山屋先生。 

また、紫外線は、ニキビ跡の色素沈着の原因になりますか?

「はい。紫外線は、色素沈着となるメラニンの生成を促すだけでなく、ニキビの悪化を進行させ、ニキビ跡が残るリスクを高めます。特に、これから春に向かって薄着になる季節には、ニキビができたら、日焼け止めをしっかり塗るなど、紫外線対策を徹底することが、ニキビ跡予防にもつながります。内服薬やサプリメントを活用するのも効果的です。また、炎症の抑制やメラニン生成の抑制の効果が期待できる成分として、トラネキサム酸やビタミンB群、ビタミンCなどがおすすめです」(山屋先生) 

皮膚科クリニックで、保険診療でできる治療には、どんなものがあるのでしょうか?

「アダパレンや過酸化ベンゾイルが配合された外用薬があります。また、炎症を抑える抗菌薬、内服薬、漢方薬も処方されることがあります。ニキビの状態や重症度によって、治療にかかる時間や通院頻度は、個人差があります」(山屋先生)

自由診療でできること

 
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画像提供:美容皮膚科タカミクリニック

ニキビ跡の赤み・色素沈着は、セルフケアで徐々に薄くなります。しかし、時間がかかることも多く、完全に消すことは難しい場合もあります。

「早くニキビ跡を消したい方は、美容医療を頼ってみてください。たとえば、肌再生効果の高いボディ用ピーリング治療(ミラノ・リピールボディ)などを当院では行っています。顔の肌と比較してターンオーバー周期が長く、皮膚が厚いボディ特有の肌の性質を考慮して開発された、ボディ専用のピーリング剤を使用する治療です。古い角質細胞を溶解・剥離させて、表皮の再生を促進することで、背中やデコルテのニキビ跡の赤みや色素沈着を改善し、同時になめらかな肌質へと徐々に改善していきます」(山屋先生)

まずはニキビを作らない生活習慣、ニキビ後にしない洗い方や保湿でセルフケアを心がけましょう。それでも季節柄、炎症をもつ赤ニキビができてしまったら、皮膚科を受診しましょう。

お話を伺ったのは…山屋雅美(やまやまさみ) 先生

プロフィール

美容皮膚科タカミクリニック 副院長 https://takamiclinic.or.jp
埼玉医科大学卒業後、東邦大学医療センター大橋病院皮膚科、三井記念病院皮膚科ほかで勤務。2011年タカミクリニックに勤務開始。2021年より現職。ニキビ・毛穴など美肌治療から、シミ・しわ・たるみなどのエイジングケア治療まで、全診療の監修を行う。日本皮膚科学会、日本抗加齢医学会、日本小児皮膚科学会、日本美容皮膚科学会。

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