【更年期世代、赤いシミには要注意】早期がんの可能性も?!シミと病気の見分け方を専門医が解説
“健やかで美しい体と心”を手に入れるための最新情報を女性医療ジャーナリストの増田美加がお届けします。 顔や手の甲にできる赤いシミに心当たりはないですか? 皮膚科を受診すべき赤いシミと、特に治療しなくてもよいものとの見極め方を紹介します。早期の皮膚がんの可能性を皮膚科専門医に聞きました。
赤いシミは早期の皮膚がんかも!?
「顔や手の甲にできる赤いシミに気づいたら、皮膚科に行きましょう。早期の皮膚がんの可能性があります!」と話すのは、皮膚科専門医の赤須玲子先生。
年齢を重ねるとともに増えていくシミ。そのシミのなかで特に、赤いシミは要注意です。
「最初、見た目にはあまり目立ちませんが、実は皮膚がんの初期(日光角化症)の可能性があるのです」と赤須玲子先生。
以下の症状チェックリストは、日光角化症の特徴を表しています。
こんな症状があったら皮膚科へ!
☑湿疹のように赤くてカサカサしている
☑痛み、かゆみはない
☑湿疹の薬をつけても治らない
☑体にはなく、顔や手の甲だけにある
☑触ると表面がザラザラする
☑かさぶたがついている
☑かさぶたを取ると出血する
特に、湿疹のように赤くてカサカサしていて、湿疹の薬をつけても変化がなく治らなければ、日光角化症の可能性が高いです。皮膚科をすぐに受診しましょう。
早期の皮膚がん、日光角化症とは?
早期皮膚がんである日光角化症とはどのような病気なのでしょうか?
「日光角化症は、皮膚がん(悪性)のごく早期の病変です。悪性腫瘍の初期状態に血管の変化をともなうため、赤いシミのように見えるのです。
日光(紫外線)を浴び続けてきたことによって発症する、悪性の皮膚疾患です。紫外線を浴びやすい、顔、頭部、手の甲に多く現れます。最初は、大きさ1~2㎝ほどの赤くまだら状のシミで、皮膚表面はカサカサしています」(赤須先生)
それが自然に消えることなく、1年くらい経つと盛り上がってかさぶたをともなったり、湿疹のように赤みが強くなってきます。原因は紫外線でしょうか?
「日光角化症は、屋外のスポーツを長年やっている人や、農業や漁業に従事する人など、紫外線に多く当たっている人に発症しやすい病気です。肌タイプとしては、紫外線に当たるとすぐに赤くなって、黒くなりにくい、比較的色白の人がなりやすいです。18歳までに、紫外線対策をきちんとしていたかどうかも発症に影響します」(赤須先生)
赤いシミの病気はおもに3種類、日光角化症以外の病気とは?
赤いシミになる病気は、日光角化症だけなのでしょうか?
「日光角化症のほかに、赤いシミで考えられるのは、毛細血管拡張症と脂漏性角化症です。この2つとも良性の病気ですので、特に痛いなどの症状がなければ、治療の必要はありません。毛細血管拡張症、脂漏性角化症とも、加齢で起こりやすくなりますが、毛細血管拡張症の原因は、急激な温度差による寒冷刺激、アルコールや刺激物などによる血管拡張が原因です。脂漏性角化症は、若いころニキビができやすく、オイリー肌の人に起こりやすい傾向にあります」(赤須先生)
【毛細血管拡張症】
両頬や鼻の下にヘビのように赤く血管が目立ってくる状態で、加齢によって起こります。過度の飲酒でも起こるため、「酒さ」とも言います。寒い地方で生まれ育った人にも見られるため、毛細血管の収縮機能の悪化が発症に関与していると考えられています。
【脂漏性角化症】
皮膚の良性腫瘍のひとつで、老人性イボとも言われています。これ自体は、加齢にともなうもので治療の必要はありませんが、炎症をともなうと赤く、かさぶたを付けることもあります。顔や頭にできやすいですが、体にたくさんできることもあります。はじめはシミのような平らな斑ですが、だんだん盛り上がってきます。首にできるものは茎をともなって盛り上がることが多いです。色調は肌色から赤みをともなうもの、茶褐色などさまざまです。
赤いシミには日ごろからの紫外線対策が重要
3種類の赤いシミの原因はそれぞれ異なりますが、どのように対処すればいいのでしょうか?
「毛細血管拡張症、脂漏性角化症、日光角化症ともに、一度できてしまったものは自然には治りませんし、セルフケアでも治りません。予防法として重要なのは、紫外線対策(UVケア)です。日ごろからUVAとUVBをカットする日焼け止めを使うことは予防になります。もし、赤いシミがあったら、まずは皮膚科を受診してください。早期の皮膚がん、日光角化症は、治療で治せます。また、毛細血管拡張症と脂漏性角化症は、気にならなければ治療しなくても大丈夫です」と赤須先生。
皮膚科での検査と治療法は?
毛細血管拡張症と脂漏性角化症を治療したい場合は、皮膚科でどのように治療できますか?
「毛細血管拡張症の場合は、レーザー治療がおもですが、ある種の塗り薬が有効なことがあります(保険適用あり)。脂漏性角化症は、液体窒素による凍結、あるいは手術で治療します。レーザー照射も有効なことがあります。
いずれにしても、日光角化症(皮膚がん)との見極めが重要ですから、赤いシミが見られたら、皮膚科をまずは受診してください」。
日光角化症の見つけ方と進んできた治療法
日光角化症かどうかの診断と治療は、どのようにするのでしょうか?
「診断は、ダーモスコピーという拡大ルーペを使った検査機器で見ればほぼわかります。ダーモスコピーは、皮膚の表面を10~30倍に拡大する特殊なルーペです。色素分布だけでなく、細かな血管の様子も観察することができます。
日光角化症の治療は、塗り薬としてイミキモド(ベルセナクリーム)が2011年、健康保険適用になりました。1日1回 週3回、自分で患部に直接塗ります。塗布後、赤み、かさぶた、乾燥、皮膚がフケのように剥がれるなどの副反応が起こりますが、3~4週間は使い続けることが大切です。
また、ごく初期の日光角化症は、液体窒素やケミカルピーリングが有効な場合があります。ただし、基本はメスを用いた手術で、切除した組織は病理検査で取り残しがないことを確認する必要があります」(赤須先生)。
日光角化症は皮膚がんの始まりで、がんが表皮内にとどまった状態です。この段階なら治すことが可能です。しかし、進行して表皮の基底膜を破ってしまうと、扁平上皮がんとなり、治療が大変になります。日光角化症のうちに早期発見、治療することが重要です。
お話を伺ったのは…赤須玲子先生
赤須医院 院長。皮膚科、美容皮膚科医。医学博士。東海大学医学部卒業。山梨大学医学部皮膚科ほかを経て現職。確かな臨床経験と美容に精通したきめ細やかな診療が定評。専門はシミ、シワ、ニキビ、ホクロ、皮膚がんなど。皮膚科専門医。
AUTHOR
増田美加
増田美加・女性医療ジャーナリスト。予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。 新刊『もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択』(オークラ出版)が話題。 もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択 | 増田美加 |本 | 通販 | Amazon
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