「妻が応じてくれない」「夫は自分勝手」…男性と女性では何が違う?【更年期の性生活】
更年期と聞いてイメージするのは何でしょうか?イライラしている、のぼせて汗をかいている…そんなイメージを持つ人が多いと思いますが、実は肩こりや頭痛、疲れやすさも更年期症状なのです。そんな"知られざる更年期"について、更年期の方に向けたサービス「よりそる」を運営する高本玲代さんが綴るコラム連載です。高本さんご自身もまさに更年期世代。わかりやすい不調だけではない更年期の影響について、体験を交えてお話しいただきます。
更年期世代のカウンセリングをしているのですが、よく出てくるお悩みが夫婦の性生活についてです。そもそも男性と女性では性生活に関する考え方の違いがあるので、そのお互いのギャップをまずは知らないと、このことが夫婦関係において大きな影を落とす場合があります。
今日は互いの考え方の違いを知っていただいたうえで、どのように対処していくのかをお伝えしたいと思います。
男性と女性では何が違うのか
男性の多くは性生活を「愛情表現の場」と考えている方が多いです。わかりやすく言うと喧嘩をしていても、不満があっても性生活で解消できる、仲直りができる、そこで愛情が確認できると考える方が多いです。
他方、女性の多くは「日頃の愛情や信頼」が基礎にあり、自分に対する関心やケア、愛情を感じているからこそ性生活が成立すると思う方が多いです。特に更年期で悩みを抱える女性のほとんどはそういった考え方です。
だからこそ、パートナーの対応に不満があると、とてもじゃないけどその気になれない、という方が多くおられます。
増してや更年期は心身の不調が出ている時期ですから、いかにその自分をケアしてくれるかということが女性にとって大きな判断材料になるでしょう。もちろん不調がひどくていくらケアしてもらってもその気にはなれない、という方もおられるのがこの時期です。
外からは見えませんが、更年期の不調はイメージで言えば予防接種の副反応で体がだるくてしょうがない、みたいな状況なのです。そんな時に「なぜ応じてくれないのだ」という不満を言おうものなら女性には大きな心の傷となります。また「夫は自分のことしか考えていない」「愛情がない」と極端な発想が生まれてしまう場合もあります。
しかし、男性にとって「愛情表現の場」である性生活を断られるのは大変つらいことだということは女性にも知っていただきたいと思います。
しんどいけど断れないという女性も
他方、ご相談の多くは「体が辛くて断りたいのに断れない」という女性のお悩みです。断ったらパートナーの機嫌が悪くなる、というのです。しかしそれで無理に応じている中でどんどん不満がたまっていくということが後を絶ちません。問題は断る、ことではなく「なぜ今断わるのか」という説明をきちんとできるかです。
こちらが間に入って女性が断る背景を説明すると、男性の多くの方は「あぁ、そういうことなのか」と納得されます。むしろ「自分が嫌われているわけではないのだ」と安心する方がほとんどです。
またこの時期おススメしているのは会話やカジュアルなスキンシップです。心身に不調を抱える女性の愚痴を男性がうんうんと聞いたり、体調を気に掛けるということを繰り返していれば、女性の体調が落ち着いたときにはもっと深い絆が生まれます。つきあった当初は「会話・デート」⇒「軽いスキンシップ」と段階を追ったことを思い出すと良いかもしれません。そのような気持ちで新たな関係を構築していくのもおススメです。
女性も自分が断る背景を説明しながら、今パートナーにどう対応して欲しいのかということをきちんと伝え続けることが必要になってきます。一度では通じない場合は色々な形で、ときには当社のようなサービスで第三者を通じて伝えることも有効です。
夫婦はいろんな時期がありますから、その都度フォーメーションを変えていく必要があるでしょう。そこで重要になってくるのは「コミュニケーション」です。お互いの考え方が違うことを知れば「言わなくてもわかるでしょ」という言葉はタブーになることがわかると思います。
AUTHOR
高本玲代
フェムテック起業家・社会活動家。自身のウツや更年期の経験から更年期女性のケアプロ グラム「よりそる」を立ち上げる。東京都をはじめとする自治体やポーラをはじめとする 企業向けに研修を実施。NHKをはじめメディア掲載50社以上。「がんばらない更年期」 についてYoutube「更年期アカデミー よりそる」で発信中。
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