性交痛の専門医が考える「ミドルエイジのセックスレス」3つのパターンと中高年からのセックスのあり方

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性交痛の専門医が考える「ミドルエイジのセックスレス」3つのパターンと中高年からのセックスのあり方

子育てや生活に落ち着きができ、久々にセックスを再開する気持ちが出てくるのが40代以降のミドルエイジ。一方で、ブランクが原因ではないセックスレスが増えるのもこの世代です。セックスレスの原因には何があるのでしょうか。セックスレス解決のヒントについても富永ペインクリニック院長・麻酔科医 富永喜代医師にお聞きしました。

セックスレスとは「相手とセックスの感情がイコールではないこと」

セックスレスとは「カップル間で性交も性的接触もなくなっている状態」と日本性科学会では定義されています。男女間の差で言えば、特に女性は更年期以降、女性ホルモンの急激な低下に伴い、性生活の変化が目立つようになります。セックスレスの最大の原因としては「女性側の関心の喪失」が挙げられており、性交痛を原因とするセックスレスよりも多い結果となりました。原因には①会話の少ない夫婦関係、②男性主体の性関係、③性的コミュニケーションの不足および乏しい知識、④日常的な愛情表現の乏しさ、が挙げられています。

日本でも珍しい性交痛外来を掲げる富永ペインクリニック院長・麻酔科医 富永喜代医師はセックスレスには3つのパターンがあると語ります。

「まず1つ目は、お互いがセックスをしたくないパターンです。これはしたくない者同士のペアですので特に問題はありません。そして2つ目は、お互いがセックスしたいパターンもありますよね。問題となるのは3つ目、双方がセックスに対してイコールではない関係です。すなわち、自分はセックスをしたいけれど相手がセックスをしたがらない、または相手はしたいけど自分がしたくないパターンです。本来、セックスというのは愛情表現の一つです。ですがセックスレスというのは、『もうセックスから卒業させてもらいます』とどちらかが心の中で結論付けたときから起こるものだと考えています。子育てが大変だから我慢していたけれど、ひと段落して久々に求めたら完全拒否だったというカップルも多くいます。もともとセックスは好きではないけれど子どもが欲しいから行為を行う人もたくさんいますし、この場合、セックスの目的は愛情表現ではなく子作りですよね。

解決方法として、セックスをしたくない人に合わせるのも答えの一つです。たとえば、野菜が苦手な人にどれだけ『この野菜美味しいよ』と言っても無理ですよね。同じように、セックスを好きではない人にどれだけセックスを求めても、自然とできるようにはなりません」

パートナーとのセックスを楽しむために考え方を変えてみよう

セックスレスを解決する答えはパートナーに合ったそれぞれの形を探ることが大切だと富永医師は言います。どのようにすればパートナーとセックスを楽しむことができるのでしょうか。

「セックスに対するとらえ方は、人それぞれです。セックス=挿入ではありません。たとえば一緒にベッドに入って抱き合うだけでセックスと言う人もいれば、異性とじゃれあってセックストークをしただけでそれはもう前戯と言う人もいます。

それだけセックスに対する考え方がさまざまある中で、どうセックスレスを解決するかというと答えは一つではありませんよね。挿入しなければセックスじゃない、など、一方がセックスはこうと決めつけると、セックスレスを解消することは難しくなります。挿入したくない相手に挿入を強制しても、心は離れるばかりです。また、『勃起しなくなって挿入できなくなったからセックスは終わり』と一方的に終焉を告げられても、心も体も満たされませんよね。ですから、40代以降は、挿入しないセックスをお互いの愛を伝え合う表現として行うことも大切です。まずはパートナーと歩み寄って、2人にとってのセックスの形を探ることが一層重要になってきます。

でも、極論。セックスはお互いの性欲のぶつかり合いなので、楽しむことが何より大切です。もちろん、傷をつけたりやりすぎたりするプレイは控えてくださいね。自分が好きなことを自由に追求して、二人だけの秘密のコミュニケーションを成立させてください。

また、セックスのじょうず・へたは、お互いのコミュニケーションで解決できることもあります。女性はセックスに不満があっても、自らアクションを起こすことは少ない傾向にあります。そもそも、女性自身も自分の気持ちの良いところを知らないと、相手が気付けるはずがありません。してほしいことや気持ちの良いこと、いやなことを嫌だと言えるかどうかもセックスにおいて大切になってきます」

挿入だけじゃない、自分たちだけのセックスを作ることが大切

セックスレスにはさまざまな要因があり、特に中年期以降、女性ホルモンの低下から性欲低下や女性の異性への関心が薄れることもあることがわかりました。一方通行なコミュニケーションが、セックスへの意欲を下げていることもあり、それにはお互いの歩み寄りが大切とのこと。セックスレスに悩んでいる人は、自分たちのセックスとは何かをもう一度考え直してみるとよいかもしれません。

お話を伺ったのは…富永喜代先生
富永ペインクリニック院長。医学博士。日本麻酔科学会指導医。1993年より聖隷浜松病院などで麻酔科医として勤務、2万人超の臨床麻酔実績を持つ。2008年愛媛県松山市に富永ペインクリニックを開業。のべ23万5000人の痛みを治療し、性交痛外来では5000人のセックスの悩みをオンライン診断する。著書に『女医が教える性のトリセツ』(KADOKAWA、2022年)など。

参考文献:
荒木乳根子.中高年のセクシュアリティ―これまでの研究から見えてきたこと―.高齢者のケアと行動科学.25.2-24.2020
月刊TENGA45号『「フェムテック」「セクシャルウェルネス」「プレジャーギャップ」これひとつで丸わかり!』

Text by Midori Matsumura

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。

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