「セックスレスになりにくい寝室環境」についての様々な意見を受けて臨床心理士が思ったこと
性の悩みは、こころと身体が影響しあう問題であるにも関わらず、悩んでいても「誰にも言えない」そんな人が多いようです。SNSを中心に性の悩みに関する情報を発信する臨床心理士の西田めぐみさんが、心と性にまつわる大切なお話を連載形式で綴ります。
前回、「パートナーと一緒に寝る?別々に寝る?心理学的に見た“セックスレスになりにくい寝室環境とは」という内容の記事を書かせていただいたのですが、某匿名掲示板でその記事がトピックになっていました。まさか自分の記事がトピックになっているとは思いもよらなくてびっくりしたのですが(最初は他の方も同じような記事を書いてるんだなーと思いました笑)、たくさんの方の忖度のない意見(コメント)を聞くことができるいい機会になりました。今回はそれらの意見を踏まえて、セックスの問題について見えてきたことをお伝えします。
それぞれの意見
ちなみにそのトピックにどんなコメントがついていたのかというと・・・
・(記事の内容に対して)そんな簡単なもんじゃない
・同じベッドだけどレスじゃない
・結局夫婦の相性
・一生セックスレスで大丈夫
・一緒に寝なかったら尚更セックスレスになる気がする
・人による
・睡眠環境的に寝室は別々がいい
・寝室は別にして、夫婦生活は週末にしている
・アラフォーの女性は性欲強いみたいなイメージやめてほしい
・私は全くセックスしなくなるのも嫌だ
・中年になったからって、急速に男女の愛が冷めるわけでも性欲が落ちるわけでもない
・一度セックスレスになるとどうにもならない
・別々のベッドだとレスを乗り越えるハードルがあがる
などなど。
実際のコメントは100件以上あるので細かく上げるともっといろんな意見があります。ただ、ここにあげたコメントを見ただけでも、夫婦やカップルのセックス事情もセックスに対する価値観もみんなちがう。画一的に語ることはむずかしい、ということが改めてわかりますね。私自身これらの意見を目にすることができて、改めて参考になりました。
だからこそ手段のカードはたくさん持っておきたい
前回の記事で私がお伝えしたかったのは、単純に「セックスレスを防止するには一緒に寝るより別々に寝る方がいいよ!」ということではありません。それはあくまでも手段の1つで、お伝えしたかったのは「問題解決の手段は1つでも多いほうがいい」ということ。
そのためにはベッドの数は1つよりも2つの方が応用はしやすいのですが、別々の部屋にすれば自然にセックスレスが解消するわけではありません。むしろ同じベッドだとしても、手段を増やすための工夫をすれば大丈夫。例えば、いつも同じ場所や時間帯にしているならそれを変えてもいいし、使うコンドームや潤滑剤でエフェクトを効かせてもいい。ちょっとした言動やセックスのやり方自体に工夫することもできる(ちなみにこういう掲示板もそれぞれのやり方を知れて参考になるなぁと思いました)。
でも具体的に知らない・もしくは知っていてもチャレンジすることに抵抗があると、どうしても手段は限られてしまいます。これ1つ知っていればどんなセックスレス問題でも大丈夫!というオールマイティな方法はありません。だからこそ、知識とコミュニケーションに応用を効かせて、自分たちに合うものやその時々に合う方法を選んでいけるといいですよね。
カテゴリーが同じでも文脈は異なる
コメントを見ていると、性欲に対してもいろんな価値観があることがわかりました。性欲がある人もいればないという人もいる。でも単純に分けられるかと言えばそうじゃない。単純に性欲があるからというよりもパートナーと触れ合いたいからセックスしたい、という人はその間と言えるかもしれません。
でもそれを「(触れ合いたいから)セックスしたい」と言葉にしたときに、「セックスしたいなんて、性欲が強いんだね」とちがう文脈で捉えられると、もやもやを感じてしまうこともあると思います。
AUTHOR
西田めぐみ
臨床心理士 / マインドフルネス認定講師。性のお悩みについて臨床心理士の視点から発信、カウンセリングを行う。オンライン心理カウンセリング「amariカウンセリングルーム」主宰。
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