「セックスで本音を言いづらい…」パートナーとの話し合いのコツは?【ラブライフカウンセラーが解説】

 「セックスで本音を言いづらい…」パートナーとの話し合いのコツは?【ラブライフカウンセラーが解説】
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「セックスに関してパートナーに思っていることを伝えられていない」という人は少なくないでしょう。パートナーとの話し合いのコツや、性に関する価値観のズレを解消する方法をラブライフカウンセラー®のぽかべさんに伺いました。

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「パートナーに思っていることを伝えられない/パートナーの本音がわからない」こういった悩みは珍しくないですし、特に性に関することですと、ハードルが高く感じる人は多いでしょう。

ですが、「本当はこうしてほしい」「これは痛いと思っている」「こういうこともしてみたい」など意見を伝えあわなければ、お互いモヤモヤを抱えたままになってしまいますよね。

ラブライフカウンセラー®として活動するぽかべさんは、「日本のQOS(Quality of Sex)の底上げ」を掲げ、ブログやTwitterを通じて、性・セックス・パートナーシップに関する発信を行っています。今回はぽかべさんに「性やセックスに関してパートナーと話し合うこと」をテーマにお話を伺いました。

セックスの話し合いの前に日頃のコミュニケーション

——ラブライフカウンセラー®として活動するなかで、よく寄せられる悩みにはどのようなものがありますか。

セックスに関して相手への伝え方がわからない・やめてほしいことや要望をなかなか言い出せない、そもそも「性に関する話し合いってどうやってすればいいのですか」など、セックスの行為そのものよりも、話し方・伝え方に関する相談・質問がとても多い印象です。

ただ、私は性に関する話し合いは日頃のコミュニケーションの延長線上にあると考えています。お話を伺っていると、そもそも普段からカップルでのコミュニケーションが不足していることも多く、セックス以外でも、自分が思っていることを相手に伝えられていないという人も少なくないようです。

共同生活を送るにあたってのちょっとしたルールや、言葉の選び方など、双方の価値観のズレは無数にあると思いますが、コミュニケーションとは二人の価値観をすり合わせて「落としどころをつける」作業だと考えています。

もともとセックスは普段は隠されている身体の部分や、心の面でも無防備な部分を見せる行為です。「落としどころをつける」練習が日頃からできているカップルですと、性の話になってもハードルが低くなりやすい傾向が見えます。一方で、コミュニケーションによって信頼関係を築く土台がなければ、いきなり性のテーマについての話し合いをするのは難しいと考えます。

「セックスは日頃の信頼関係の延長線上にある」「性に関する話し合いは日常的なコミュニケーションの延長線上にある」ことを強調したいですね。

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——そもそも自分の本音を把握できていない人も少なくないように感じます。

おっしゃる通りで、まずは自分の感情をよく観察することから始めてほしいと考えています。

例えば、「パートナーは頑張ってくれているのに、相手に不満を感じるのはダメだろう」「本当はこう思っているけれど、言ったら傷つけてしまうからそう思わないほうがいいよね」など、感情を抑圧してしまうことがよくあります。でも、「ダメ」とジャッジをする前に、自分がどう感じているかを、いったん事実として受け止めてあげる、あきらめのような感覚も大事だと考えています。

特に真面目で頑張り屋さんな人ほど、「自分のことは置いておいて、相手が心地良く」と意識が向きがちだと思うのですが、まず自分がどういうときに喜怒哀楽を感じるか、何かされたときにどう感情が動くかを、そのまま受け止めてみてほしいです。

自分が実際に感じていることと、「こうあらねば」のセルフイメージがかけ離れている人は、なかなか自分の本心が探りにくい状態になっているかもしれません。予想していたよりも、クズな自分が次から次に出てくるかもしれません(笑)でも、それもいったん受け止めてあげましょう。

最初に優先することは、自分の身体と心を心地良くすること。ですので、相手にしっかりと向き合う元気がないときには、その場で無理に意見を伝えるのではなく、「少し一人で考えたい」と一旦距離をとるという選択肢もあります。しっかりと自分の感情を認識したうえで「この感情を相手に伝えてみようかな」と初めて自発的なコミュニケーションが始まるんです。

もし仮に、やりとりする言葉が多くても、お互いに本心が分かっていない状態で話し合いをしても、結局は「相手が何を考えているかわからない」とか、「本心はどうなの?」と探ってしまいますし、実は話し合いのスタートラインにも立てていない...なんてことになっているかもしれませんよね。伝え方のテクニック的な面では、自分の考えも相手の考えも尊重する「アサーティブコミュニケーション」を活用し、対話を図ることをおすすめします。

話し合うのは「仲良く関係を続けていきたいから」

——交際するなかで「性に関する価値観のズレ」に気が付くこともあると思います。

そもそも最初から話し合いが必要なく「相性ピッタリ!」というのは奇跡的です。簡単に解決することはごく稀ですし、一般的に時間をかけて地道にすり合わせる必要があるものだと捉えていてください。

話し合う際にはまず「お互い、長期的に仲良く関係を続けていきたいからこそ話し合う」という確認をすることが一番大事です。まだまだ性に関して話すことにタブー視のある人も少なくないですし、自分のコンプレックスと向き合う必要も出てきて、自分の弱い部分を見せるのが苦手な人には負担の大きい行為だと思います。

また、「自分は頑張ってるのに」「我慢しているのに相手が合わせてくれない」などズレが生じている原因を相手のせいにしてしまいがちです。価値観が合わないことは、どちらかが悪いわけではありません。争うのではなく、一つのチームとして落としどころを見つけていくイメージで話し合ってみてください。

ただ、現実には「全くする気が起きない人」と「毎日でもしたい人」のカップルのように、価値観の幅が大きい場合には、話し合いを行ってもすり合わせが難しいことはあります。それは「性の話だから」というわけではなく、他のテーマでも話し合いの結果、価値観のすり合わせが困難ということはありますよね。

たとえ価値観のすり合わせ自体が上手くいかなかったとしても、話し合いをせずに「きっと相手はこうだろう」と思い込みで諦めてしまう場合と、「お互いにベストを尽くしたうえでお別れを選ぶ」場合では、やはり後者の方が人として成長できますし、後悔も残らないと思いますよ。

——話し合いの環境やタイミングはどうすればいいでしょうか。

自分をさらけ出すテーマですので、とにかく安心して話せる環境を整えることが大事です。ベッドやソファで隣に座り、手を握りながらなど、安心感を伝えつつ話せば、気持ちも緩みやすいですよ。

セックス中に、言葉で要望を伝えたり、行為後のピロートークでしたら、希望を伝えやすくなることもあります。

「パートナーの性格を考えると、自分のしてみたいことはとても言い出せない・言ったら嫌われてしまうのでは」という悩みのケースもあります。先日、私が主宰している「エロラボ」のセミナーに知人夫婦が参加してくれて、「妻と一緒に勉強できた」と話していました。講習やアダルトコンテンツの視聴など、物の力を借りて話し合いのきっかけを設ける方法もありますね。

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あくまでセックスは愛情表現の手段の一つ

——あまりにも価値観が離れている場合にはすり合わせが難しいこともあるとのことですが、別れるほど価値観が離れているわけではないものの、片方が「パートナーのことは好きだけれど、セックスにはあまり前向きになれない」ケースもあると思います。

よくある相談としては、「パートナーに性的に求められていること=愛情表現」と受け取っている人も少なくなくて、セックスレスになると、「自分に魅力を感じなくなったのでは」「他で浮気しているのでは」と関係そのものに不安を感じてしまう人がいます。

ですので、自分がしたくない側ならば、「セックスによって愛情表現をしているのではなく、自分はあなたを愛しているし、こういう方法で伝えていきたいと思っている」と伝えることで、誤解を避けられると思います。

信頼関係を築いたり、愛情を感じたりする方法は当然セックスに限りません。親密なスキンシップをするとか、ご飯を一緒に作って食べるとか、様々な手段があり、そのうちの一つにセックスがあるという位置付け。「自分はどういう方法で愛情を表現しているか」を見つめ直してみるのもおすすめです。

セックスのお誘いを断わる方も「今はちょっと疲れててする気になれないのだけれど、また今度しよう」「今日は挿入はしたくないけれど、ここまでならできるよ」など代替案を提案できると、相手も希望を失わずに済むでしょう。パートナーに配慮した言葉選びをすることで、セックスの頻度にかかわらず、長く関係を続けていきやすくなると思います。

また、片方が「パートナーを好きだけれども、セックスはまったくしたくない」場合、セックスしたい方がセルフプレジャーで満たすパターンもありますし、同意を得たうえで複数のパートナー、もしくはセックスをパートナーとの間だけで完結させない選択をするカップルもいます。

ただし、パートナーとは別でセックス相手を作る場合は、パートナーからの愛情が感じられている前提で検討し始めたほうがいいです。空虚感を埋めようとしてほかの相手を作っても、結局自分のメンタルがぼろぼろになってしまうので、おすすめしません。

別のコミュニケーション手段できちんと愛情を確認出来た上で、それでもパートナーがセックスしたくないのであれば、「その部分をどうするか」というステップがあるという話です。

人間ひとりひとりの感覚がまったく異なっているわけですから、それが2人以上組み合わさったパートナーシップの形は、びっくりするほど多種多様になるものです。ましてや、希望のセックススタイルをしっかり話し合ったら、一生じゃ足りないかもしれない!と思うくらいです。

もしかしたら、ベストな形は、道なき道を行くようなものになるかもしれません。諦めずに、根気よく話し合いを続けていきましょう!

*インタビュー後編:性の話は恥ずかしいこと?マンネリ・思い込み・自分本位「性生活のすれ違い」を解消する話し合いヒント

【プロフィール】ぽかべ

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ぽかべさんよりご提供

「日本のQOS(Quality of Sex)の底上げ」を理念に、セックスカウンセリングや発信活動を行う認定ラブライフカウンセラー®︎。自身がもともと依存体質、束縛で苦しい恋愛をしていたが、コミュニケーションやセックスを学び、幸福な恋愛と性生活を実現した経緯がある。運営する個人ブログは月間14万PV、年間100個以上ラブグッズを試す研究家でもある。ほかにも講演、メディアでの執筆など幅広く活動している。

●公式サイト
https://pokabe-official.com/

●Twitter
https://twitter.com/pokabe_com

●instagram
https://instagram.com/pokabe_com

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雪代すみれ

雪代すみれ

フリーライター。企画・取材・執筆をしています。関心のあるジャンルは、ジェンダー/フェミニズム/女性のキャリアなど。趣味はヘルシオホットクックでの自炊。



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