【性交痛に苦しむ女性たち】性的なことに対してポジティブなイメージを持てない理由
性の悩みは、こころと身体が影響しあう問題であるにも関わらず、悩んでいても「誰にも言えない」そんな人が多いようです。SNSを中心に性の悩みに関する情報を発信する臨床心理士の西田めぐみさんが、心と性にまつわる大切なお話を連載形式で綴ります。
性行為で感じる痛み、性交痛。性交痛には器質性(身体的問題からくるもの)と心因性(精神的な問題からくるもの)の2種類があり、それぞれが密接に連動している場合もあります。今回は心因性のなかでも、「性に対してポジティブなイメージをもてない」とう方々のメカニズムをご紹介します。
性に対してポジティブなイメージを持てないのはなぜ?
「ポジティブなイメージを持てない」とはどういうことかというと、性的な話題をすることや考えること、自分(もしくは他者)が性的な行為をすることに対して嫌悪感や罪悪感を抱いたり、極度の恥ずかしさを感じたり(恥じらいとは少しニュアンスがちがいます)することを言います。そのような考えを強く持っている人は、どうしても性行為時にリラックスすることがむずかしくなります。それはそうですよね。だって罪悪感を感じるような行為をしているときにリラックスするなんて、どんなことであれとてもむずかしいものです。そしてリラックスできない状態での性行為は身体的にも精神的にも気持ちよさを感じることがむずかしく、むしろ痛みを生んでしまうことがある。これが性にポジティブなイメージを持てない人が性交痛を感じてしまうメカニズムです。
ではなぜ、その人たちは性に対してポジティブなイメージを持てないのでしょうか。考えられる理由は複数あります。
①過去のトラウマ
過去に性的な虐待を受けた経験や過去の性行為で怖い経験や痛い経験をしたことがある。
怖い経験となってしまった性行為を再体験することで自分がどうなってしまうのだろうという想像がつかない不安を抱えていたり、行為時に過去の記憶がフラッシュバックしてリラックスなんてできないという場合も。
②性に対する価値観の植えつけ
養育者やまわりの人たちが抱いていた「性的なものや行動=恥ずかしいもの、汚らわしいもの」という価値観から強い影響を受けている。
これは性行為やパートナーとの交際に限ったことではなく、例えば女の子が思春期に化粧をしたり女性っぽい格好をすることや、生理が始まったりブラジャーをつけることに対して、両親やまわりの人からネガティブな言動を受けたというような場合も含みます。他にも、例えばドラマを見ていてラブシーンになったとき、両親に「そんなものを見てはいけない」ときつく言われたり、両親のどちらかが不倫をしていたなどいろんなパターンがあります。
「そんなことで」と思う方ももしかしたらいるかもしれません。でも性が確立していく途中段階で誰かに否定される、もしくは自分自身で否定せざるを得なかった経験は、とても大きな傷つき体験につながってしまいます。そして、本来であれば自然になされるはずの性行為時の振舞いや行動が(気持ちよくなる、声をあげる、足を開くなど)に対しての罪悪感につながってしまう可能性もあります。
AUTHOR
西田めぐみ
臨床心理士 / マインドフルネス認定講師。性のお悩みについて臨床心理士の視点から発信、カウンセリングを行う。オンライン心理カウンセリング「amariカウンセリングルーム」主宰。
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