爪の色が濁る「爪水虫」は13人に1人!ペディキュアをしていると気づかない!?市販薬で治せない爪水虫の対策を専門医が解説
“健やかで美しい体と心”を手に入れるための最新情報を女性医療ジャーナリストの増田美加がお届けします。 足水虫から爪水虫に進行する人が増えています。国内で爪水虫は、約13人に1人という報告があります*1。特にブーツ、パンプス、ストッキングを長時間履く人や、ネイル(ペディキュア)で爪を長期間チェックできていない人は注意が必要。爪水虫の重症化で、靴が履けない、転倒、骨折…などに繋がることも。爪水虫の最新治療を皮膚科専門医の堀内祐紀先生に聞きました。 *1 「足白癬・爪白癬の実態と潜在罹患率の大規模疫学調査第1報」畑康樹ほか『日臨皮会誌』41(1)066~067,2024年
爪水虫を治さないと、水虫は退治できません!
「足の水虫は、市販の水虫薬で治すことができます(→足水虫の詳しい治療法についてはこちら)。しかし、爪水虫は残念ながら市販の水虫薬では治すことができません。爪水虫は、治しておく必要がある病気です。その理由は、水虫の蔵元が爪水虫だからです。足から爪、爪から足へと反復して感染します。ですので、爪水虫を治さないと、足水虫も退治できません。
足水虫は先に症状が改善することが多い一方で、原因となる白癬菌が爪に残っている場合があります。そのため、ほかの爪へ広がったり、再発を繰り返したりすることも少なくありません。さらに、自分の足や体だけでなく、家族など周囲の人への感染源になることもあります」(堀内祐紀先生)
爪水虫は、高齢者ほど罹患率が上がる疾患です※1。爪水虫を持っていると、爪の肥厚や変形が起こり、それが原因で靴が履けなくなったり、体のバランスが取りにくくなって、転倒や骨折、ロコモティブシンドローム(運動機能低下)、フレイル(老化による心身の衰弱)で歩けなくなるリスクが高まることも指摘されています※2。
爪が厚くなったり、スジが入っているのは爪水虫?
爪水虫は、どんな症状が出るのでしょうか?
「爪水虫(白癬菌)はカビの一種です。初期の自覚症状は少ないですが、爪の色や形、厚みに変化が現れます。かゆみや痛みなどの症状が少ないため、気づきにくいのです。
爪水虫にかかった爪は、爪が白または黄色くにごる、爪の裏側がもろくボロボロになる、爪にスジが入って割れやすくなる、爪が厚くなり変形するなどが起こります。
ペデュキュアをしたままにしていると気づかないことが多いので、ネイルを落としたときに爪にこのような症状がないか、きちんと見て確認しましょう」(堀内先生)
白癬菌は、湿気がある環境を好み、感染源は家庭内や公衆浴場(温泉も含む)、サウナ、スポーツジムなどのバスマット、スリッパ、床にいます。多くの場合、足水虫が爪の先端や側縁から侵入して、爪で増殖します。
夏前が治すチャンス!
爪を切ったあとの破片は、床に落としたままにしないよう注意が必要です。爪白癬のある爪の破片には白癬菌が含まれており、環境中でも比較的長く生存することがあります。床などに落ちた白癬菌が皮膚に付着しても、すぐに感染するわけではありませんが、高温多湿の状態で長時間付着していると、皮膚へ侵入し感染リスクが高まるとされています。特に、皮膚に傷やバリア機能の低下がある場合は、より感染しやすくなる可能性があります。
「日本には四季があるため、夏は高温多湿の影響で水虫の症状が悪化しやすく、乾燥する季節には症状が落ち着くことがあります。しかし、症状が軽くなっても、角質や爪の硬いケラチンの内部には白癬菌が残っていることがあります。そこで治療を中断してしまうと、再発を繰り返す原因になります。
特に爪水虫は、健康な爪に生え変わるまでに、早くても半年から1年以上かかります。症状が気になる場合は、悪化しやすい夏を迎える前に皮膚科を受診し、適切な治療を受けることをおすすめします」(堀内先生)
最近では、爪水虫の菌をチェックする検査キットも使われることがあります。
爪水虫の治療は医師処方の飲み薬で!
爪水虫の治療薬には、どのようなものがあるのでしょうか?
「爪水虫を治す市販薬で、効能・効果が認められているものは、現状ではありません。適切な治療で悪化を防ぎ、健康な爪に戻し、家族感染を防ぐためにも皮膚科を受診することが大切です。
皮膚科で処方される爪水虫の治療薬は、白癬菌の増殖を抑える抗真菌薬です。現在、日本では爪水虫に対して、飲み薬と塗り薬の両方が保険適用されていて、爪の状態や重症度、年齢、持病などに応じてお薬を選択します。複数の内服薬・外用薬が保険診療で使用可能であり、比較的幅広い治療選択肢があります」(堀内先生)
飲み薬は、有効成分が血流を介して爪に運ばれ、爪の内側から白癬菌に作用します。一般的に、爪の奥まで白癬菌が入り込んでいる場合は、飲み薬のほうが高い治療効果が期待できるとされています。『皮膚真菌症診療ガイドライン』でも、飲み薬による内服療法は重要な治療選択肢として位置づけられています。
「爪水虫の飲み薬の服用期間は薬剤によって異なりますが、数か月にわたる治療が必要です。そのため、症状が軽くなった段階で治療を中断してしまい、再発を繰り返すケースも少なくありません。
一方、塗り薬は、爪の表面から有効成分を浸透させて治療します。近年は、爪の内部まで浸透しやすい外用薬も登場しており、軽症例や飲み薬が使いにくい患者さんにとって重要な選択肢になっています。ただし、爪は伸びるのに時間がかかるため、改善までに半年~1年以上かかることもあります。
『皮膚真菌症診療ガイドライン』でも、爪の状態や重症度、年齢、持病などに応じて、飲み薬、塗り薬を適切に選択することが推奨されています。効果や副作用、治療期間、費用などを踏まえながら、患者さん一人ひとりに合った治療をアドバイスしています」(堀内先生)
新しい爪水虫治療は?
新しい爪水虫の治療法は、出てきているのでしょうか?
「自由(自費)診療ですが、爪水虫をレーザーで治療する方法があります。塗り薬や飲み薬の治療では時間がかかるので、すぐに治したい、内服ができない(肝機能が悪い、ほかの内服との相性が悪いなど)という方が希望することが多いです。
当院で使用しているレーザーの照射時間は、片側約12分間で痛みはありません。個人差はありますが、1~2週間に1回、合計4回で効果を実感する方が多いです。当院の費用は、片側1回¥11,000、両側1回¥16,500です」(堀内先生)
「爪水虫かもしれない」と不安な方は、皮膚科専門医のいるクリニックで正しく診断してもらい、自分にあった薬を処方してもらいましょう。症状がなくなっても自己判断で薬をやめず、医師のOKが出るまで使い続けることが大切です。
※1
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jocd/42/1/42_66/_article/-char/ja/
お話を伺ったのは…堀内祐紀(ほりうちゆうき)先生
秋葉原スキンクリニック院長
東京女子医科大学医学部医学科卒業。同年、東京女子医科大学病院皮膚科学教室入局。JR東京総合病院皮膚科、さいたま協同病院皮膚科ほかを経て、2007年現クリニック開設。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本医学脱毛学会理事、一般社団法人美容皮膚エキスパートナース育成協会代表理事、一般社団法人Aesthetic Medical Academy理事、Allergan Medical Institute Japan Faculty
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