頭痛・めまい・だるさ…気象病と自律神経の深い関係|原因は「姿勢」にあり?5000人を診た専門医が教える改善法

頭痛・めまい・だるさ…気象病と自律神経の深い関係|原因は「姿勢」にあり?5000人を診た専門医が教える改善法
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増田美加
増田美加
2026-05-02

“健やかで美しい体と心”を手に入れるための最新情報を女性医療ジャーナリストの増田美加がお届けします。 気圧や気温、湿度の変化などの影響で心や体に不調が現れる“気象病”に悩んでいる人が増えています。気象病は、自律神経の乱れと関係していますが、自律神経の乱れをなくすにはどうしたらいいのでしょう? 気象病・天気外来や自律神経失調症外来を開設し、5000名以上の診療にあたっている久手堅司先生にお話を伺いました。

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 “自律神経の乱れ”と気象病の関係

自律神経が乱れていると、気象病になりやすいとのことですが、それはどうしてなのでしょうか? 

「気象病が出やすい人のなかには、不規則な生活や睡眠不足の人がいます。自律神経の乱れは、不規則な生活によって起こりやすいからなのです。自律神経はおもに、交感神経と副交感神経からなり、体の緊張状態とリラックス状態を自動的に調節しています。交感神経は活動するときによく働き、副交感神経は体を休めるときに働きます。この2つの神経がバランスよく、シーソーのように交互に働くことで心身の状態を良好に保っているのです。

けれども、不規則な生活が続いたり、過度のストレスがかかり続けたりすると、自律神経のバランスが乱れて、不調が出やすくなります。環境の変化によるストレスや、パソコンに長時間向かう生活が増え、自律神経が乱れて不調を訴える人が増えているのではないかと思います」と久手堅司先生。

自律神経が乱れることで心身の不良が現れるものには、“自律神経失調症”がありますが、自律神経失調症と気象病は、同じ病気なのでしょうか?

「近い関係にはあるものの、異なる病気です。気象病は、気圧や気温、湿度などの変化に伴って、さまざまな症状が現れる病気です。

それに対して、自律神経失調症は気象の変化にかかわらず、不調が起こります。自律神経のバランスの乱れは、交感神経と副交感神経のどちらか一方が優位になりすぎて、スイッチがうまく切り替わらない状態。自律神経のバランスの乱れで起こる不調を自律神経失調症と言います。

しかし、自律神経失調症の患者さんは、気象の変化によって症状が悪化することが少なくありません。このように、気象病と自律神経失調症とは切っても切れない関係といえるでしょう」(久手堅先生)

自律神経の乱れで起こる不調とは?

自律神経の乱れで起こる不調には、頭痛、めまい、肩こり、だるさ、多汗、動悸、不整脈、手足のしびれ、不眠、全身倦怠感などがあります。ほかにも自律神経の乱れは、下記のような病気にも影響します。

【自律神経の乱れが影響する病気】

過敏性腸症候群
起立性調整障害
神経性胃炎
逆流性食道炎
過呼吸症候群
うつ症状
更年期障害

医療機関では、自律神経失調症をどのように診断しているのでしょうか?

「不調があるからといって、すぐに自律神経失調症と結論づけるのは避けたほうがいいです。自律神経失調症かどうかは、それぞれの不調に対して原因を突き止める検査を行います。その結果、原因が見つからず、それぞれの症状に該当する病気がないときに、はじめて自律神経失調症と診断されます。医療機関によっては、原因が見当たらないときに、簡単に自律神経失調症と説明してしまう可能性がありますが、きちんと検査してほかの病気がないことを確認してもらうことは大切です」(久手堅先生)

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自律神経の乱れは、姿勢の悪さから

自律神経失調症は、更年期世代やPMSなどの問題を抱える女性に多く見受けられます。どうしてなのでしょうか?

「更年期世代は、卵巣からの女性ホルモンの分泌が急激に低下します。そのため女性ホルモンの分泌の司令塔である脳の視床下部、下垂体が混乱します。この視床下部、下垂体は自律神経の司令塔とも近いため、更年期は自律神経がバランスを崩しやすい状態にあるのです。また、生理周期の女性ホルモンの変動にまつわるPMSなどのトラブルがある人も、自律神経が乱れやすいといえます。ですから女性は、自律神経失調症や気象の変化で不調が起こる気象病にもかかりやすいのです」(久手堅先生)

女性ホルモンの変動以外にも、自律神経がバランスを崩しやすい要因はストレスが関係するのでしょうか?

「自律神経の乱れをストレスのせいだと思っている人も多いのですが、それだけではありません。実は、骨格の歪みや姿勢の悪さから起きている可能性が高いのです。交感神経も副交感神経も脊椎に守られた脊髄を通って、全身の各器官や臓器に繋がっています。姿勢が悪いと、脊椎に歪みやズレが生じて、脊髄を通る神経ケーブルが圧迫され、正常に働かなくなるのです」(久手堅先生)

そのため、骨格の歪みが少なく、姿勢が良い人は、気象病や自律神経失調症になる可能性が低いと言われています。

「医学的には証明されていませんが、患者さんを診ていると、姿勢が良くなると気象病が改善する人が多いです。骨盤の歪みがなくなって、姿勢が良くなると、自律神経の乱れが改善され健康状態がよくなるため、気象変化のストレスに耐えられる体になるのではないかと考えています。

休んでも疲れが取れない、と訴える人がいますが、こういう方も姿勢の悪さと関係していると思います。姿勢が悪く、骨格が歪んでいると、首や肩の血流も悪くなります。すると自律神経の乱れにもつながります。また、良質の睡眠がとれていない可能性もあります。寝ても疲れが取れないというのは、睡眠の質が悪い証拠です。自律神経の乱れや気象病を改善するには、良い姿勢で過ごし、良質な睡眠をとることが大切です」(久手堅先生)

「骨格が歪む、姿勢が悪い→自律神経が乱れる→気象病になる」という流れがあります。壁を使って、骨格の歪みや姿勢の悪さをチェックする方法を紹介します。

【壁で骨格チェック】

壁に背中をつけて立ってみます。無理せず楽に、壁に頭、両肩、お尻、かかとが壁につくかをチェックします。腰には指1本分のすき間があいていることが大切です。

「壁に正しくつかない部位があったら、骨格が歪んでいる可能性が高いです。自律神経は老化していきますので、ケアしていくことが大切です。まずは、骨格の歪みを整えることから始めましょう。骨格が歪んでいると、まず首、肩、腰、ひざなどの痛みが現れます。この時点でケアすると自律神経失調症状も早く治ります。正しい姿勢で立ち、骨盤を立てて座るなど、日常生活で姿勢を意識していくことが大事です」(久手堅先生)

自律神経を整えるための呼吸法

自律神経を整えるために、セルフケアでできる呼吸法を紹介します。

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「呼吸は、自律神経をコントロールできる唯一の方法です。腹式呼吸と胸式呼吸を組み合わせて、自律神経を整えましょう」(久手堅先生)

一般的に、腹式呼吸は副交感神経を優位にして、胸式呼吸は交感神経を優位にすると言われています。けれども、交感神経が優位に働いている人にとっても、胸式呼吸は大切です。呼吸が浅くなっている人は、呼吸をしっかり行って、胸郭の動きをよくしましょう。

「腹式呼吸と胸式呼吸を両方行うことで、気象病をはじめ、自律神経失調症などさまざまな不調に効果があります。

骨格と呼吸は連動していますので、正しい姿勢で深い呼吸を行うと、呼吸のたびに骨格もリセットされます。胸式呼吸と腹式呼吸どちらも、気づいたときに1日3~4回行いましょう。自律神経の乱れを感じているときは、腹式呼吸を多めに行います。

また、ストレッチやウォーキングなどの有酸素運動で、じんわり汗をかく、運動習慣を取り入れることは、骨格の歪みをケアし、自律神経を整えることに繋がります。また、規則正しい生活、食事、睡眠、ストレスケアも大事です。私のクリニックでは、痛みやしびれ、疲れなどに対処療法的な薬を処方することもありますが、自律神経のバランスを整えるための方法をアドバイスして手助けすることを大事にしています。治すのは、患者さん自身です」(久手堅先生)

セルフケアは重要ですね。呼吸やウォーキングならできる人も多いと思います。気象病や自律神経失調症の不調が改善されるのなら、やってみる価値アリです。

お話を伺ったのは…久手堅司(くでけんつかさ) 先生

せたがや内科・神経内科クリニック院長  
医学博士。東邦大学医学部医学科卒業。東邦大学医療センター大森病院等を経て現職。気圧予報・体調管理アプリ「頭痛―る」監修。自律神経失調症外来のほか、気象病・天気病外来を開設し5000名を超える患者を診察。著書に『面白いほどわかる自律神経の新常識』(宝島社)、『気象病ハンドブック』(誠文堂新光社)ほか多数。

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