頭痛・だるさ…気象病をマッサージで治す!5000人を診た専門医が教える低気圧対策

頭痛・だるさ…気象病をマッサージで治す!5000人を診た専門医が教える低気圧対策
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増田美加
増田美加
2026-04-25

“健やかで美しい体と心”を手に入れるための最新情報を女性医療ジャーナリストの増田美加がお届けします。 気圧や気温、湿度の変化の影響で心や体に不調が現れる“気象病”。天気が悪い日に、頭が痛くなったり、体がだるくなったりしていたら気象病かもしれません。女性に多いと言われるこの病気は、日常生活での予防と対策が可能です。日常生活での改善やマッサージ、ストレッチ法などを気象病・天気外来を開設して診療にあたっている久手堅司先生に聞きました。

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気象病は治療で治る?

気象病のおもな症状は、頭痛が最も多く、倦怠感、肩こり、めまい、耳鳴り、ときにはメンタルに支障をきたす人もいます。久手堅司先生のクリニックでは、どのように治療しているのでしょうか?

「気象病の症状の中でも、最も多いのが頭痛で、当院を受診する患者さんの8割以上に頭痛がみられます。頭痛の中でも緊張型頭痛がいちばん多く、次に片頭痛の方が多いです。緊張型頭痛は、頭の両側が締めつけられるような痛みが特徴です。片頭痛は、予兆があったり、血管が拍動するガンガンした痛みが起こったりする頭痛で、吐き気を伴うこともあります。特に天候の悪い時期に、頭痛の患者さんが増えています。

片頭痛の患者さんには、鎮痛薬、トリプタン製剤(片頭痛の薬)、予防薬などから患者さんの状態に合わせて処方します。緊張型頭痛には、鎮痛薬が比較的効果があります。また、漢方薬の「五苓散(ごれいさん)」は、気象変化に伴う頭痛に対して、使用頻度も高く、効果を感じる方が多いので、まず使用してみてもいいと思います。いずれにしても、病院を受診してご自分の症状にあった薬を処方してもらってください」(久手堅先生)

気象病では、ほかにも倦怠感や首・肩こり、めまい、耳鳴り、うつっぽさや不安感などの症状が現れるケースもあります。これらの症状にはどのような治療があるのかが気になります。

「背景に隠れた病気がないかを確認することが大切。そのうえで、それぞれの症状を抑えるために、症状によって漢方薬、鎮痛薬など、対症療法的な薬を処方することがあります。当院では、治療として漢方薬を処方することが多いです。頭痛で処方することがある「五苓散」は、頭痛以外にもめまい、むくみなどにも広く使われています。

東洋医学では“気(き)・血(けつ)・水(すい)”という考え方に基づいて、体の状態を捉え、血液以外の体液を“水”と呼びます。気象病の人は、水のバランスが乱れた“水滞(すいたい)”や“水毒(すいどく)”であることが多く、水のバランスを整えることで症状が改善するケースも少なくありません。「五苓散」には、水のバランスを整えて気象病の症状を和らげる効果が期待できます。漢方薬と運動を組み合わせることで、気象病の症状が大幅に改善した方もいるほどです」(久手堅先生)

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生活習慣&マッサージで気象病を治す方法

気象病の症状をできる限り抑えるためには、薬だけでなく、規則正しい生活をして、自律神経を整えることが効果的です。

「朝起きて太陽の光を浴びること、栄養のある食事を規則正しく食べる、日中は適度な運動をすることが大切です。夜は睡眠の質を高めるために湯船に浸かり、副交感神経を優位にすることもおすすめです。特に、これまで運動習慣がない人は、運動に取り組むことで不調が改善するケースも少なくありません。

また気象病では、低血圧によって動けなくなるくらい不調が現れる人もいます。気圧の変化などの気象によって、どの程度血圧に変化があるかを把握し、自分の体調を自分で管理できるよう工夫することも大切です。今は、便利な気象予報アプリがありますので、気圧変化による体調不良が起こりそうな日時を知らせてもらい、体調管理をすることも有効です。当院の患者さんの8割が使っていたのは、「頭痛―る」というアプリです。マッサージが効果的な場合があります。自分でできる方法を紹介しましょう」(久手堅先生)

【耳のマッサージ】

耳のマッサージは血行がよくなり、自律神経が整います。手のひらで耳を温めながらマッサージするのも効果的です。

 ① 両耳を持って水平に伸ばして10秒キープ。さらに斜めに引っ張り10秒キープ
 ② 耳たぶを持って、前に5回・後ろに5回ゆっくり大きく回す

【顔・頭周りのマッサージ】 

頭痛のある人は、顔周りのマッサージで筋肉のコリをほぐします。

①食いしばったとき、あごの外側で硬くなる筋肉(咬筋)をほぐす。頬骨の下を内から外へ3本の指で軽く押す
②両手を熊手のような形にして、耳の上からこめかみ(側頭筋)を軽くマッサージ。側頭筋はこめかみの辺りに広がる扇状の筋肉で、咀嚼や頭部の安定に関係。ストレスや緊張で食いしばることでコリやすい筋肉

食事や睡眠も気象病対策に!

食事でのケアは、ヨーグルトがおすすめ。“脳腸相関”と呼ばれる脳と腸の関連性が明らかになり、慢性的な便秘や下痢などの腸の不調があると、自律神経にも悪影響を及ぼすと言われています。

「腸内環境を整えるヨーグルトに、セロトニンを増やすバナナを加えて、バナナヨーグルトにしてはどうでしょう。幸せホルモンと言われているセロトニンが増えると、心の安定と睡眠の改善につながります。これからの季節、疲れを改善し、自律神経を整えるためには、冷たいものを摂り過ぎないように心がけましょう。野菜でビタミンBやCをしっかり摂る。タンパク質もしっかりと摂ってください。糖質が多くなりやすい人は、注意が必要です」(久手堅先生)

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これから台風が増えたり、気温の変化が激しくなってくると、寒暖差と気圧の変化で倦怠感や不眠などの不調が出やすくなります。

「質のいい睡眠のために、38~41℃のぬるめのお湯に首まで10~15分くらい入りましょう。また、歩く量を少し増やすだけで、股関節を動かす機会が増え、血行が良くなり、脳に送られる酸素量が増えます。自律神経が整い、心もリフレッシュします。無理のない範囲で、軽く汗をかくような運動を行なってください。

診察を続けるうちに、梅雨時や台風の時期に頭痛、めまい、倦怠感などの症状が悪化する人が多くいることがわかりました。それらの症状が天候に関連していることを実感し、“気象病・天気病外来”を開設しました。気象病の改善には、薬を処方するだけでなく、生活習慣を整えるアドバイスをすることが多いです。すると、つらい不調がよくなって笑顔になる患者さんが増えています。近年、気象病や天気病外来が少しずつ増えています。悩んでいる人は、受診して相談してみてください」(久手堅先生)

【久手堅先生からの自律神経を整えて気象病を予防する生活習慣】

① 規則正しい生活。朝起きて太陽の光を浴び、栄養のある食事を規則正しく食べる。
② 日中は軽く汗をかく程度の適度な運動をする。
③ 夜は睡眠の質を高めるために湯船に浸かり、副交感神経を優位にする。
④ 骨格を整えて、背筋を伸ばして正しい姿勢で座る、立つ。
⑤ 耳や頭部のマッサージをする。

お話を伺ったのは…久手堅司(くでけんつかさ) 先生

せたがや内科・神経内科クリニック院長 
医学博士。東邦大学医学部医学科卒業。東邦大学医療センター大森病院等を経て現職。気圧予報・体調管理アプリ「頭痛―る」監修。自律神経失調症外来のほか、気象病・天気病外来を開設し5000名を超える患者を診察。著書に『面白いほどわかる自律神経の新常識』(宝島社)、『気象病ハンドブック』(誠文堂新光社)ほか多数。

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