乾燥、くすみ、角栓…閉経で変化した肌に最適なケアとは?皮膚科専門医が教える「更年期世代のスキンケア」

乾燥、くすみ、角栓…閉経で変化した肌に最適なケアとは?皮膚科専門医が教える「更年期世代のスキンケア」
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増田美加
増田美加
2026-06-28

“健やかで美しい体と心”を手に入れるための最新情報を女性医療ジャーナリストの増田美加がお届けします。閉経すると、肌の状態はどのように変化するのでしょうか? 女性ホルモンが一気に減少することによって、経験したことのない変化を感じます。更年期以降の肌トラブル回避のためにどんなケアをしたらいいのか? 女性ホルモンの変化を意識したスキンケアについて、皮膚科専門医の慶田朋子先生に伺いました。

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エストロゲンの魔法が切れた閉経後の肌はどうなる?

更年期世代(45〜55歳)は女性ホルモンの低下にともなって肌の変化を感じることが増えます。どんなトラブルに注意すべきでしょうか?

「更年期世代は、おもに女性ホルモンのエストロゲンの減少が肌に大きな影響を与えます。エストロゲンには、創傷治癒(そうしょうちゆ=細胞が傷ついたときに元に戻ろうとする力)を高め、酸化ストレスから守り、コラーゲン崩壊の悪影響を抑制するという素晴らしい作用があります。これらのパワーがほとんどなくなってしまうのが、閉経(日本女性の閉経の平均は50.5歳)以降の肌です。

閉経は、女性ホルモンの魔法が切れる時期でもあるのです。エストロゲンパワーが切れると、コラーゲン、ヒアルロン酸、ケラチノサイト(角化細胞)の減少・質の劣化、皮膚保水性、皮膚弾力性、皮脂量の低下、傷の治癒の遅延、酸化ストレスへの抵抗性の低下、表皮、真皮の萎縮などが起こります。すると、シミ、シワ、たるみ、ハリの低下、乾燥、傷の治りにくさなどの肌トラブルが徐々に始まります」と慶田朋子先生。

閉経後、顕著に感じるのは乾燥!

更年期の女性ホルモンの低下は、心と体にいろいろな症状をもたらしますが、肌にも多くの変化を起こします。エストロゲンが低下することで、もっとも注意しなくてはならない肌トラブルはなんでしょうか?

「乾燥がいちばんです。エストロゲンは、傷を早く治す作用があります。ですから、エストロゲンがなくなることで、肌のターンオーバー(新陳代謝)が低下します。肌の回復力が低下するわけです。ケガをしたときの治るスピードだけでなく、肌のバリア成分ができるのも遅くなるため、バリア機能の低下につながります。そして、肌に生じてくるのが乾燥です」(慶田先生)

乾燥肌の原因はさまざまあります。閉経(エストロゲンの低下)、加齢、遺伝的体質、生活習慣(ストレス)、炎症、合わないスキンケア、環境(空気の乾燥、紫外線)などが、肌のバリア機能や水分保持機能に影響を与えて、乾燥肌に導いてしまう原因とされています。

更年期世代は化粧品を浮気せず、保湿を

女性ホルモンが低下する更年期の肌ケアのポイントは、乾燥対策がいちばん重要です。

「元々は、角層のバリアがしっかりしているノーマル肌の人でも、更年期にはバリアをつくる成分が衰えてきます。今まで感じなかった肌荒れや、化粧品かぶれなどのトラブルが起こってきます。今までのスキンケアを見直す時期が更年期なのです。自分でつくれなくなったバリア機能を補うためには、保湿をしっかりすることが大切です。保湿が更年期の肌ケアの大前提になります。

保湿の仕方としては、まずは今まで使っていた乳液、クリームなどの保湿化粧品の塗る量を多めにすることで対応しましょう。保湿の目安は、ツッパリ感がなく、手のひらが肌にピタッとくっつくくらいです。迷ったら、ティッシュペーパー1枚が肌に貼りつくくらいを目安にします。更年期対応などの新しいエイジングケア成分の入った化粧品を試したくなりますが、新しい成分を試すにはリスクがあります。今使っている化粧品でトラブルがないのなら、無理に変えなくてもいいのです。もし、新しい化粧品を使ってみたければ、肌の調子がいいときに、エイジングケアの機能成分が入ったものを試してみるのがいいかもしれません」(慶田先生)

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角栓や肌くすみにはピーリング、レチノールもOK

クリームなどの保湿成分の量を多めにすることは、すぐに実行できそうです。ほかに、やったほうがいいことはありますか?

「肌のターンオーバー(新陳代謝)が落ちてくるので、ターンオーバーを刺激するためのケアは、40代以降必要になってきます。ターンオーバーのスピードが落ちると、肌がくすみ、角質成分が固まって小さな角栓となります。徐々に毛穴が開いて見えたり、黒ニキビのようなものが毛穴に詰まっているのが目立ってきたりします。40代くらいから起こる症状ですが、これは通常の洗顔料では溶けません。そこで、肌のターンオーバーをあげるために、月1回程度ケミカルピーリングを行なうと肌の調子がよくなります」(慶田先生)

「乾燥しているのにピーリングをして大丈夫?」と思うかもしれませんが、ピーリングで角栓を溶かしてターンオーバーを整え、バリア成分が自分でつくれるようになることで、乾燥肌をフォローできるそうです。肌のターンオーバーを上げるピーリングは、若い世代だけでなく、更年期世代にもいいのです。

「ほかに知っておくといい化粧品成分としては、ビタミンAの一種のレチノールを使って、肌の代謝や抗酸化力を高めておくこともおすすめです。レチノールは、肌のターンオーバーやコラーゲン生成に役立つことで、シワやシミ対策などの効果が期待できる成分です。ただし、アトピー性皮膚炎や敏感肌の人は、赤みや皮むけなどレチノイド反応が強く出るリスクがあるため、皮膚科医にご相談ください。もしも使う場合は、かなり濃度を薄めてから、肌のトラブルのないところに数日間連用し、レチノイド反応の出方を確認してみましょう。肌の丈夫な方は、週2~3回を目安にレチノールを使ってみるのはいいと思います」(慶田先生)

【慶田朋子先生の更年期世代のスキンケア 3つの基本】

この3つをしっかり行っている人は、シンプルなスキンケアでも肌は綺麗。費用対効果と時間効率がいいスキンケアになります。乾燥と紫外線対策が更年期世代のポイントです。

1 乾燥を軽視しないで対策を

かゆみ、カサつきを感じない人でも、乾燥は厳禁。乾燥の状態を放置しておくと、軽微な炎症が持続して、ちりめんジワにつながります。ちりめんジワは、表情を寄せるクセによりさらに深くなるので要注意です。

2 機能性化粧品より、基本の保湿をしっかり

これまで使ってトラブルのなかった化粧品なら安全です。その量を増やすことで、リスクを減らして保湿ケアができます。スキンケアでプラスを得ようとするより、更年期世代はマイナスを作らないようにすることが大事。シンプルにやさしく洗って、いらないものをしっかり落とし、十分に保湿することが何よりの対策です。

3 光対策をする 

ダメージを受けやすい更年期以降は、紫外線はこれまで以上に肌の大敵になります。紫外線対策をしっかりすることで、外敵から肌を守りましょう。

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肌のためにもタンパク質を!

食事などの内側からのケアも大切です。食事は肌に影響すると言われています。

「さまざまなホルモンや、セラミドなどの細胞間脂質は食事で摂った油から作られます。原料がなければ、いい製品はつくれませんので、良い油を摂るようにしましょう。油は、外食や加工食品から摂りやすいサラダ油やショートニングではなく、自分で調理をするときにはオメガ3系の油(エゴマ油、アマニ油など)を使いましょう。これらは熱で酸化するので、加熱しないサラダやカルパッチョなどに使います。炒め物など加熱するときには、オリーブオイルなどを使いましょう。オメガ3系の脂は、サバやイワシなどの青魚にも豊富です」と慶田先生。

肌のコラーゲンをつくるタンパク質も重要です。大豆などの植物性の食材も重要ですが、それだけでなく、乳製品や魚、赤身の肉などの動物性の食材もバランスよく摂ります。

「油抜きは、しすぎないほうが肌のためにもいいです。私たちの体の成分の約20%は、タンパク質。タンパク質は、筋肉や消化管、内臓、血液中のヘモグロビン、髪や皮膚のコラーゲンなど、体の重要な組織をつくっています。このタンパク質を構成しているのがアミノ酸です。体に必要な必須アミノ酸を多く含んでいる食材は、卵、牛乳、肉、魚なのです」(慶田先生)

腸内環境を整えることも意識します。特に、海藻、野菜などの水溶性食物繊維は、腸内細菌のために摂るべき食材です。またカラフルな野菜などの食材から、抗酸化作用のあるフィトケミカルもバランスよく食べましょう。

「更年期世代は、代謝が落ちて太りやすいためダイエットを意識しがち。しかし、糖質は控えても、食事は減らさないことが大事です。更年期以降は、筋肉や骨が減りやすい年代です。ダイエットでやせると、骨粗鬆症のリスクも上がります。体重コントロールのためは、食事制限でなく運動をおすすめします。ウォーキング、筋トレ、ピラティスなどで筋肉をつけていきたいですね」(慶田先生)

お話を伺ったのは…慶田朋子(けいだともこ)先生

銀座ケイスキンクリニック院長
医学博士。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本レーザー医学会認定レーザー専門医。最新の医療機器と注入治療をオーダーメイドで組み合わせ、メスを使わないナチュラルな若返りを叶える美容皮膚科医として信頼が厚い。皮膚の働きや正しいスキンケア、生活習慣などの解説が人気でテレビ、雑誌、ウェブメディアなどで活躍中。著書『女医が教える、やってはいけない美容法33』(小学館)ほか多数。

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