更年期って悪くないかも?揺れながら自分を見つける【#40代のリアル】
「更年期って、こんなに心や体に変化があるものなの?」かつての私がそう驚いたように、今まさに同じ気持ちで戸惑っている40代の方もいるかもしれません。私自身、一番辛かったのは45歳をすぎた頃。更年期としては早いと思われるかもしれませんが、私にとってはそのタイミングでした。夜が終わらないように感じるほど眠れず、気持ちも体も暗闇に閉じ込められているようで…。けれど今は、そのトンネルを抜けて少し振り返る余裕も出てきています。今回は私の体験と、そこから見えてきた過ごし方をお話しすることで、これから更年期を迎える方の参考になったら嬉しいです。
眠れない夜を少しずつ取り戻す
更年期の渦中にいた頃の私は、「自分の体や心とどう付き合うか」を毎日問いかけられているようでした。4年ほど前、不眠に悩まされていた頃は、夜の静けさがかえって心をざわつかせ、眠れないまま時計の針を眺め続けていたのを覚えています。夜が永遠に続くのではと思ったほどです。けれど医師に相談し、睡眠導入剤を取り入れてからは、ようやく安心して眠れるようになりました。眠れるという「当たり前」が戻ってきただけで、世界は少しずつ色を取り戻しました。
振り返ると、ヨガ講師という職業柄「自然であること」にこだわりすぎていたように思います。たしかに人には自然治癒力や心身のバランスを取る力があります。けれど本当に辛い時は、医学の力を借りることも必要なのだと、この体験を通じて学びました。ヨガや自然の力だけを信じすぎていたことが、かえって自分を追い詰めてしまっていたのです。
不調の波も、頼る勇気で越える
その後も、めまいや関節の痛み、気分の落ち込みは断続的にやってきました。とくに46歳の頃は、次から次へと症状が重なり、体も心も自分ではないように感じる日が続きました。けれど医学の力を取り入れたことが、事態を大きく変えてくれました。ホルモン補充療法(HRT)や漢方、またプラセンタ注射を始めてから、少しずつ落ち着きを取り戻したのです。医療に頼ることは弱さではなく、自分を守る知恵。その気づきは大きな転換点になりました。
今も不調の波は訪れます。朝、理由もなく心が沈んでいたり、関節の痛みで体が重い日もあります。けれど以前と違うのは、その変化に飲み込まれず、「これは体からのサイン」と冷静に受け止められるようになったこと。たとえば、スーパーで立ちくらみをしたときも、以前は「怖い」とパニックになりそうでしたが、今は「吸って、吐いて」と呼吸に意識を向けるだけで心が落ち着くことを知っている。ほんの数秒の呼吸が、安心を取り戻す小さな支えになっています。ヨガをやっていて良かったな!と思う瞬間です。
更年期って悪くないかも?
ヨガの実践は、こうした日々に寄り添ってくれます。眠れなかった翌日にはヨガニドラで体を休め、呼吸法で心のざわめきを静める。大きな変化ではないけれど、その積み重ねが少しずつ自分を支えてくれるのです。更年期に入って改めて思うのは、「当たり前と思っていたことの尊さ」です。眠れること。体が自由に動くこと。心が穏やかでいられること。どれも失ってみて初めて、そのかけがえのなさに気づかされました。
ヨガは「変化を拒まないこと」を教えてくれます。若い頃に戻ろうとするのではなく、今の自分に寄り添い、必要なら誰かに支えてもらいながら歩めばいい。そんな生き方を選べるようになったのは、更年期がくれた贈り物なのかもしれません。そう、更年期って悪いことばかりではないのですよね。大変な経験って新しい視点を得るチャンスだし、人として成長することができる。そして、立ち止まって自分を見つめ直す絶好の時期なのです。
更年期を通して新しい自分に出会う
更年期は“終わり”ではなく、新しい自分へ移るための通過点。心身にさまざまな変化はあるけれど、その中でしか見えない景色もあります。私は、一番辛かった46歳を越えた今、50代を迎えることにほんの少しの楽しみを感じています(もちろん不安もあります笑)。これからも波はやってくるでしょう。けれど、その波をやり過ごす方法を少しずつ身につけてきたことが、確かな自信になっている。
更年期は、誰にとっても未知の体験です。だからこそ戸惑い、揺れ動くのは自然なこと。けれど、その過程を通して、自分をより大切にする術を学べる時期でもあります。どうか今、この瞬間のあなたを責めずに、やさしく受けとめてあげてください。揺れることもまた「生きている証」。一人で頑張りすぎず、ときには誰かに頼りながら。そんな風に歩んでいけたら、更年期はきっと新しい自分に出会うための道しるべになるはずです。
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