「女性としての幸せ」ではなく「人としての幸せ」を真ん中に置く【#40代のリアル】

 「女性としての幸せ」ではなく「人としての幸せ」を真ん中に置く【#40代のリアル】
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井上敦子
井上敦子
2024-02-11

恋愛・結婚・出産・・・。振り返ってみれば30代までは、「女性としての幸せ」を追い求めていた気がします。まるでアイテムを増やすみたいに「女性としての幸せ」を手に入れれば、幸せになれるのではないかと思っていた時期もありました。でも、それらを手に入れた/入れないということは、幸せかどうかということには直結しない。それがはっきりと分かったのは、40代に入ってから。今回は幸せの価値観が変わってきたよ、というお話です。

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「子供を産む性」の象徴が喪失していくという感覚

私は40代も後半に入り、更年期の症状が多く出てきたのと共に、生理がほとんど無くなりました。半年に一回あるかないかといった頻度。こうして定期的な生理が無くなってから、初めて味わった感覚があります。それは、「自分の女性の部分が喪失していく」という感覚です。

生理は煩わしいものでもあったけれど、自分が子供を産むことができる性=女性であるという象徴のようなものだったように思います。生理が定期的にあった頃はそんな風に考えたことはなかったけれど、無くなってみて初めてそんな風に生理を捉えるようになりました。

正直に言えば、生理がほとんど無くなったことを、今は少し寂しく感じるのです。私は子供を授かることはなかったのですが、それでも「子供を産む性」の象徴がなくなることを寂しく感じてしまう。もしかしたら自分が子供を授かることがなかったから余計に、そう感じるのかも知れません。いずれにせよ、子供を授かるための機能が完全に無くなるとういことは、一つの区切りが訪れたのだと感じざるを得ない出来事です。

女性は私の一部だけれど全部ではない

生理という女性性の象徴的のようなもの。それがほとんど無くなって、別に新たに感じるようになった感覚もあります。それは、「女性でない自分」いわば「人間としての自分」をより意識するようになったということです。

考えてみれば30代までは、結婚や出産といった「女性としての幸せ(とされてきたもの)」を得ることが、今後の幸せに直結するのではないかと考えていました。全てだとは思っていなかったけれど、それがあった方が幸せになれると思っていた。今の時代はそういった古い価値観は薄れてきていると感じていますが、昭和に育った世代は多かれ少なかれそんな価値観に触れてきたのではないでしょうか。結婚していないと、または出産を経験していないと、女性としての幸せを手にしていない気がして焦りを感じてしまう。そういった焦燥感や喪失感を味わったことがあるのは、私だけではないと思うのです。

そんな30代を過ごし、40代に入ってからの私は、いわゆる王道の女性の幸せを手にしていなくても、人間としての幸せを手にすれば良いのだと考えるようになりました。「女性である私」は確かに私の一部だけれど、それが全てではない。女性性を抜きにして、「人としての幸せ」を確立していこうと思うようになったのです。

特に出産に関しては期限があるので、あれこれと考えることがありました。出産の可能性のある40代半ばまでは、諦めにも近い気持ちがありながらも未練があった。しかしながらその期限が切れたことによって(もちろん50代で出産するケースもあるけれど、私の場合はもう可能性がないとはっきりしたので)、吹っ切れた部分があるように思います。生理がほとんど無くなったことで、新たなステージ、人としての幸せだけを追求していくぞ!といった段階に突入した感じがするのです。

これからは「人としての幸せ」を真ん中に置く生き方をしたい

生理に限らず40代は、女性性を少しずつ失うような感覚に陥ることがあるように感じています。外見の衰えを感じたり、体型の崩れを感じたり。もしもそこに「幸せ」を感じる要素があったなら、その幸せも同時に少しずつ失っていくことになるでしょう。

でも私は最近、その「失う体験」こそが「人としての幸せ」を深く考えるきっかけになるし、自分の人生について深く考えることが出来る良いチャンスだと捉えるようになりました。かつて社会から提示されていた「女性としての幸せ」でもなく、若さや外見の美しさといった「一時的に持っているもの」がもたらす幸せでもなく、もっと本質的な幸せがあるのではないかと。それは、自己表現ができるといった幸せかも知れないし、自分で自分を愛せているという幸せかも知れないし、与えられたものに感謝できるという幸せかも知れません。それは人によって異なるでしょうが・・・40代ってきっと、「人としての幸せ」、若い頃よりもっと本質的な幸せを追求していける時期なのではないかと思うのです。そうやってより本質的な幸せを追求していく世代が40代以降だとするなら、それはとても豊かなことなのではないでしょうか。

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井上敦子

井上敦子

15年間の会社員生活を経てヨガ講師に転身。不眠症をヨガで克服した経験を持つ。リラックスが苦手だった経験から、ヨガニードラを通じてリラックスの本質を伝えるクラスを展開。週に8本のヨガニードラのレギュラークラスを持つ他、指導者養成講座やコラム執筆等ヨガニードラの普及に努めている。



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