それは本当に自分の声?「自分は後回し」になりがちな40代女性に伝えたいこと

 それは本当に自分の声?「自分は後回し」になりがちな40代女性に伝えたいこと
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井上敦子
井上敦子
2022-12-09

あなたは、自分の人生の舵を握れていますか?自分よりも誰かを優先させたり、選択基準を他人に置いていたりして、人生の舵取りを誰かに預けてしまっているような感覚はありませんか。もしくは自分の時間が持てなくて、他の人のための人生を生きているような感じがしていませんか?もしも現状に不満があるのなら、「自分の人生を生きる」ことに焦点を当てて考えてみるのも良いかも知れません。本当の意味で自分の人生を生きるために必要なことを、今回は考えていきましょう。

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自分の時間が少ないことは問題でしょうか

「自分のための時間がなかなか取れない」。たびたびヨガクラスでそんな言葉を耳にします。一日のほとんどの時間を「誰かのために」過ごしているから、自分のために過ごせる時間は貴重で贅沢。趣味やプライベートの時間を取ることが難しくて、ストレスに感じてしまう。それを「自分の人生を生きていない」と感じてしまうことがあるようです。

私たちは誰しも役割を担っています。子供の頃は娘や学生といった役割を担っていたし、大人になったら会社でのポディションであったり、妻や母、PTAの役員や介護をする立場であったり・・・複数の役割を担っている人も少なくないはず。この役割が多ければ多いほど、当然ながら自分のために使える時間は少なくなります。働き盛りのミドルエイジは特に担う役割が多いので、自分に使える時間が少ない世代だということになるかも知れません。それでも自分の時間の少なさが、「自分の人生を生きられない」こととはイコールにはならないと私は考えています。

それは本当に自分の声ですか?

「私自身」でいる時間が少ない。担う役割が多い。そういった状況と「自分の人生の舵を握れていない」ことは、時に混同されがちです。しかしながら、いつの間にか他者を基準にすることが当たり前になっていることが、実は自分の人生の舵を握れていない原因だったりもします。どんな状況にあったとしても、行動を自分で選択し、その選択に納得出来ていたら人生の満足度は上がるはずなのです。

人の行動や選択というのは往々にして、他人の評価や意見に左右されがちです。特に子供の頃から親の意見に左右されてきたという人は、知らず知らずに他人の視点から行動を選択している場合が多いように思います。

自分の話になってしまいますが、私は親の意見をまるで自分の意見のように感じながら育ってきたので、「自分がどう感じているか?どうしたいのか?」という本当の自分の声をあえて聞こうとしないと、自分の奥にある意見が分からないのだということにある時点で気がつきました。親元を離れて暮らしていても、自分のなかに「親の意見」という視点があって、知らず知らずにその基準を元に行動を決定していたのです。

これは何も親という視点に限らず、形を変えてよく起きることのようです。内なる声の存在は、世間の目や常識であったり、家族や友人の意見であったり、こうあるべきだという自分の決めつけである場合もあるでしょう。いずれにせよ奥深くにある自分の声ではない声を、無意識に優先させてしまうことがあるのです。

内側の自分の声に耳を澄ませる

内なる他人の声に従って生きることに慣れていると、自分の声の聞き方が分からない場合もあるでしょう。この場合、意識して「自分の声を聞く」といった作業が必要になってきます。鈍化してしまっている感覚を磨き、内なる自分にフォーカスする練習です。内側にある声が、他の人の声なのか?自分の声なのか?聞き分けることが必要になってきます。私の知る限り内観力を高めてくれるヨガは、この練習にはとても良いツールです。

ヨガを実践しなくてもそのような癖があると気がついたら、「内なる自分がどう感じているか?」を注意深く観察してみてください。頭で考えるのではなく、ハートの声に耳を澄ませる。長いこと沈黙していた声は聞き取りずらいはずなので、辛抱強さが必要です。繰り返し自分のなかにいる本当の自分に目を向けていくうちに、自分の望みや向かうべき方向、人生のなかで大切にしたいこととが見えてきます。

それが見えてきたら、その声を行動や選択の基準の真ん中に置きます。そうすることで、自分の人生の舵を握る感覚が得られるはず。「自分の人生を自分で決めている」という力強い感覚は、感じている違和感や虚無感を少なくしてくれるものです。

どんな行動や選択も、自分の声を聞きながら選んだのであれば納得できる。また、他人の選択に頼ることがないというのは、他人のせいにしないということでもあります。自分で自分の責任を取れるようになる。それはとても潔く美しいことだと私は思うのです。

複数の役割を担いながら、誰かのために行動しながら、それでも「自分を生きる」生き方。そんな生き方をしていくヒントは、自分の内側にある確かな声に耳を澄ませ、聞くことにあるのではないでしょうか。内側にある自分の声は、自分にしか聞くことが出来ない声。その声を聞くことは、自分自身を愛し大切にしていくことでもあります。そんな風に年齢を重ねることで私たちは、自分の人生を本当の意味で歩んでいけるのかも知れません。

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井上敦子

井上敦子

15年間の会社員生活を経てヨガ講師に転身。不眠症をヨガで克服した経験を持つ。リラックスが苦手だった経験から、ヨガニードラを通じてリラックスの本質を伝えるクラスを展開。週に8本のヨガニードラのレギュラークラスを持つ他、指導者養成講座やコラム執筆等ヨガニードラの普及に努めている。



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