辛さが自分にしか分からないという孤独|更年期の孤独とどう付き合う?【#40代のリアル】

 辛さが自分にしか分からないという孤独|更年期の孤独とどう付き合う?【#40代のリアル】
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井上敦子
井上敦子
2023-04-13

「自分のことは自分にしか分からない」。それが浮き彫りになるのが更年期という時期なのかも知れません。説明しがたい不定愁訴があったり、原因の分からないモヤモヤにとらわれてしまったり。そんな時には否が応でも孤独を感じてしまうものです。そして「自分の面倒は自分でしかみれない」のだということに気が付く。47歳、更年期真っ只中の私もそんな自分と向き合っている最中です。今回は、そんなミドルエイジ世代が抱きやすい孤独と向き合う方法について考えていきましょう。

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ミドルエイジに感じる孤独

「孤独」というのは人生に付き物なのかも知れませんが、更年期の不調はその孤独を色濃くしてしまう気がしています。病気ではないのにだるい、眠い、やる気が出ない、身体のどこかがいつも痛い、イライラする・・・こういった「何となくの不調」はなかなか他人には理解されないからです。「自己管理が足りないんじゃない?」なんて思われてしまうことも、そんな孤独を深める要因になるでしょう。

自分の話で恐縮ですが、私はヨガ講師という職業柄「身体と心の整え方」をお伝えする立場にあります。そんな自分が更年期に入って一番辛いことは、「整った自分」でいられない時間が増えたことです。そんな時には「こんな状態でヨガを伝えてもいいのか?」と悩むこともあります。その不調が更年期のもたらすものだと理解していても、割り切れない自分がいるのです。

もちろん更年期症状には個人差がありますから、全てのミドルエイジが更年期によって孤独を深めていると決めつけてはいけませんが、なかなか理解されないことへの葛藤や、身体の変化を感じることで孤独を感じやすいのが私たち世代なのではないでしょうか。

「自分を理解すること」で癒える孤独

更年期の身体の変化というのは、自分の身体に何が起きているのか?ということさえ把握しにくいと感じています。私は最近めまいやふらつきが出るようになったのですが、それがホルモンバランスの乱れによるものだろうと分かるまでは不安にかられました。予期せぬところから変化球が飛んでくるみたいに不調がやってくるから、自分に起きていることを把握しにくい。

そんな更年期にはきっと、「自分を理解すること」に力を注ぐことが大事なのだと思っています。身体から発せられる小さなサインを見過ごさず、今に自分の状態を把握する。不調や辛さを抱えていることから目を逸らさずに、「自分が辛いのだ」ということを理解する。

そうすることにより、たとえ抱えている不調が消えなかったとしても自分に寄り添うことが出来ます。自分に寄り添うことが出来れば、自分で自分を安心させてあげることができますよね。まるで親友に寄り添うように自分自身に寄り添ってあげることが出来れば、他人に理解されないといった種類の孤独も薄れていくかも知れません。

身体に触れる・身体の声を聞くことで癒える孤独

身体は、自分自身を理解するためにとても便利なツールです。ヨガ講師として日々身体と向き合う人たちを見ていて、身体の発する声に敏感な人は自分を理解することも得意なのだと感じています。

私たちの臓器や心など内面は手にとってみることは出来ませんが、それらの状態は身体に何らかの形で表面化します。その表面化した情報を受け取ることで、私たちは内側の見えない部分まで理解したり癒すことが出来るのです。

身体の情報を受け取る方法は、「身体に触れること・身体の声を聞こうとすること」です。身体に触れてみると、緊張している部分に気がついたり、冷えていたり、流れが悪かったり、重たかったりと様々なサインを送ってくれていることに気が付きます。

それらに気がついたら、自分自身と対話をするように優しく声をかけてあげると良いでしょう。厳しい言葉ではなく、優しく労う言葉を自分の身体にかけてあげます。例えば「いつもありがとう」といった言葉や「よく頑張っているね」といった言葉。「自分自身と仲良しになる」ことを意識しながら対話をしてみるのです。周囲に理解されないといった種類の孤独は、自分自身の身体と対話をし、理解することで少し和らぐかも知れません。

更年期が孤独を深めやすい時期だとすると、それは逆に考えれば自分との対話を進めるチャンスであると思っています。今まで聞こうとしなかった身体の声を聞き、見ようとしなかった身体の不調に向き合い、その状態を受け入れながら自分を労う。そんな自分自身との良好な関係を築くことが、私たちミドルエイジ世代にとって助けになるのではないでしょうか。

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井上敦子

井上敦子

15年間の会社員生活を経てヨガ講師に転身。不眠症をヨガで克服した経験を持つ。リラックスが苦手だった経験から、ヨガニードラを通じてリラックスの本質を伝えるクラスを展開。週に8本のヨガニードラのレギュラークラスを持つ他、指導者養成講座やコラム執筆等ヨガニードラの普及に努めている。



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