泌尿器科・婦人科が解説!ブツブツ・痛み・腫れ…デリケートゾーンにできる「できもの」種類と対処法
50歳前後になると女性は、更年期などによるホルモンバランスの乱れで、デリケートゾーンにもさまざまなトラブルを抱えるようになってきます。かゆみ、におい、尿もれ・頻尿など…こういった症状は、GSM(閉経関連尿路生殖器症候群)とされ、海外の文献では、50歳以上の女性の50%前後が該当するといわれています。『女医が教える 潤うからだづくり』(主婦の友社)より、泌尿器科・婦人科の女医がGSMによるトラブル解消&腟の正しいケア方法を一部抜粋紹介します。
デリケートゾーンのできものって何?
デリケートゾーンに何かプツッとした「できもの」ができて、焦った経験ありませんか? 見えない部分だからこそ、デリケートでなめらかな手触りを期待していたところに、予想外の凹凸を見つけた瞬間のヒヤッとした感覚は忘れられないものです。では、デリケートゾーンにできる「できもの」っていったいなんなのでしょうか。
デリケートゾーンのできものに困って病院を受診される場合の原因は、① 毛嚢炎(もうのうえん)(毛包炎(もうほうえん))、②バルトリン腺囊胞、③ 尖圭(せんけい)コンジローマ、④骨盤臓器脱などが多いようです。
①の毛囊炎は、皮膚や粘膜の毛穴や分泌物の出口が、炎症でふさがってしまい、皮脂や分泌物が詰まってしまうことで、全体に腫れてしまった状態です。細菌に感染すると急に大きくなって、痛みも出てきます。でも、痛みはあっても、放っておいて大丈夫です。勝手につぶれてしまうことも少なくありません。
②のバルトリン腺囊胞には、腟のまわりの分泌腺の出口がふさがることで大陰唇の下のほうが小さい山のように盛り上がる症状があります。この場合も細菌が侵入すると急に大きくなって、さらに腫れます。場合によっては熱が出ることもあります。
③の尖圭コンジローマは、見た目はトゲトゲ、ブツブツした腫瘍が点在する状態をいいます。原因はウイルスによる感染症で、セックスなどでうつって、また別の人にもうつしてしまうので、早めの治療が必要です。再発も多く、完治までには数カ月は必要となります。
④の骨盤臓器脱は、できものではないですが、患者さんが何かいつもと違うものが触れるということを気にして受診しにきます。子宮の入口が落ちている場合や、腟の壁を介して膀胱や直腸が落ちていることが一般的です。
できものとひと言でいっても、原因や大きさ、症状は、さまざまあります。病院でしっかり診断をしてもらって、的確な治療を受けるようにしましょう。
できもののケア&解消法
できものは原因によってケアや解消法が違います。とはいえ、全部のケア方法が全く違うということではありません。共通して知っておいてほしいことがありますので説明します。まず、毛囊炎やバルトリン腺囊胞は、毛穴がふさがってしまうのが原因となります。つまり、毛穴などをふさがらないようにしないといけません。ではなぜ毛穴がふさがるのかというと、乾燥や刺激で何度も炎症を繰り返したせいなのです。
何度となく出てくる「保湿」というキーワードですが、実はできものを解消するためにも重要だったんですね。保湿をしっかりしておけば、新しい細胞の生まれ変わりを邪魔することもないですし、毛穴が硬くなったり、目詰まりを起こす心配もありません。
では、ウイルスが原因の感染症、尖圭コンジローマが原因の場合はどうすればよいのでしょうか。できものができてしまえば、手術などで切除する以外に方法はありません。病院に行きましょう。でも、そんなことにならないようにするために重要なのが、HPVワクチン。1回でもできものができてしまうと、何度も再発を心配する必要がありますが、ワクチン接種済みなら安心です。
また、骨盤臓器脱でできものとして勘違いされやすいのが、子宮脱。子宮脱の場合は、触っても痛みがなく、少しコリッとしています。ほかに、触るとフニッと柔らかい場合は膀胱瘤(ぼうこうりゅう)といって、腟の壁を介して膀胱が下がっていることが多いのです。骨盤臓器脱は肥満で起きやすい病気。この場合は、これ以上、臓器が下がらないようにダイエットをしましょう! 運動するときは腹圧をかけないようにすることが大事です。
この本の著者/二宮典子(にのみや のりこ)医師
二宮レディースクリニック院長。泌尿器科専門医・指導医、性機能専門医、漢方専門医。大阪府出身。日本ではまだ珍しい女性泌尿器科医。ていねいな診療とわかりやすいアドバイスで患者さんからの信頼も厚く、ファンが多い。産婦人科医へ向けた講義にも定評がある。診察モットーは、Be sincere(=真摯に向き合う)。YouTube チャンネル「ココシカ診療所」の登録者は2022 年末現在3万人超。
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ヨガジャーナルオンライン編集部
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