「更年期の不調、どこで相談すれば?」精神科医が開発した話題のアプリ|栗尾モカの更年期大学#12
精神科医が運営する、更年期のお悩みを相談できるアプリって?
更年期症状で気持ちが不安定でとても辛い。どうしたらいいかわからない。もしかしたら鬱なのかも?誰かにゆっくり悩みを聞いて欲しい…そんな時、「どこにアクセスをすれば良いのかわからない」と迷ってしまう更年期世代はとても多いとのこと。婦人科なのか、心療内科なのか、はたまた心理カウンセラーなのか?診療待ちの時間は長くとれないし、金額も心配…そんな悩みを解決してくれる画期的なサービスを精神科の医師が立ち上げました。
お話を伺ったのは…森田桂子医師
森田先生は大学病院の臨床を経て、精神疾患の予防活動や女性特有の問題に対する相談、大学保健室や企業内診療所など、早い段階での不調に対する相談業務や治療に注力。現在は街中に医療活動の場をかまえ、こころの健康のホームドクターとして、明るく丁寧な医療の実践を目指している。株式会社森桂納言は精神科医が開発した画期的なスマートフォン用心理カウンセリングアプリ「NAGON」を運営する会社。
体の悩みは婦人科、心の悩みは精神科。人間関係の悩みはカウンセラーに
ーー更年期でホルモンのバランスを崩すと気持ちが焦ってしまい、イライラや不安定な体調をどこで相談すればいいかわからず混乱してしまう方が多いと聞きます。最初にどこの門を叩くべきでしょうか。
森田先生:迷われるのはよくわかります。女性専用外来を担当していたときは30分間のカウンセリング中心の外来を担当していたので、更年期の患者さんはとても多かったです。みなさん辛い症状が重なり、どこに行けばゆっくり話をきいてもらえるか、とても迷ってから精神科にいらっしゃいました。
整理すると、以下のように分かれます。
●汗をかいたりドキドキしてしまうような肉体的な更年期症状があるとき......婦人科
●ものすごくイライラする、憂うつ、忘れっぽいなどの精神的な症状があるとき......精神科
●子育てや人間関係の悩みなどを聞いて欲しいとき......カウンセラー
まずは以上の3つの場所の中から、どこに行くべきかを考えてみてください。
ーー更年期症状が重いときには、「相談にいく」というアクションを起こすこと自体が大変です。せっかく一歩を踏み出すのであれば、行くべき場所を間違えずに専門の先生にお会いできるようにしたいものです。
森田先生:そうですね。更年期症状が辛い時、患者さんの多くはカウンセラーにお金を払うのは高すぎるというイメージがあるようで、「保険診療のところに行こう」と思われる方が非常に多いです。それで病院を受診するのです。更年期世代は子育てや介護、離婚やセックスレスなど色々な悩みが重なる時期です。外では言えないけれど、意外とセックスレスで悩んでいる方は多いです。セックスレスはともかく、不倫の相談を保険診療でするのは何かおかしくありませんか?そういう場合は、カウンセラーの出番です。話を沢山聞いて欲しい方は、カウンセラーにアクセスを。心理カウンセリングアプリ「NAGON」は精神科の医師の監修のもと、守秘義務のある有資格者のアドバイスを適正価格で受けられます。
精神科医師が心理カウンセリングアプリ「NAGON」を作った理由
ーー森田先生が考案された「NAGON」というアプリを使った心理カウンセリングでは、カウンセラーは大学院を卒業し、公認心理師として国家資格を持っている方々ですね。
森田先生:そうです。安心してご相談ください。また、このサービスには定価がなく、2000円から12000円の間で、2000円刻みで心理師さんが価格を1回の予約枠ごとに設定しています。この2000円というのは、心理師さんにほぼ支払われるので、経営側は運営手数料しか頂いておりません。2000円の場合は、ギリギリ通信費を差し引いて赤字にならないラインです。
ーーこのような良心価格を設定された背景はありますか?
森田先生:心理カウンセリングが2極化しているのが理由です。たとえば、1万円の心理カウンセリングを提供しているクリニックやカウンセリングルームを利用する方がいる一方で、専門家に相談したことがない方にとっては3000円でも高いと感じるのが普通です。
3000円でも高いと思われる方は、無料相談をご希望の場合も多いです。ところが「いのちの電話」などの無料相談は混み合ってしまい、繋がらないことが多くあります。お盆やお正月に何日も電話をかけ続けても繋がらなかった人もいました。ギリギリの精神状態でかけた電話が繋がらないのは問です。解決策の一つとして、カウンセラーを目指している大学院生のトレーニングのためのカウンセリングを紹介したこともありました。でも、大学の夏休みや冬休みはカウンセリングがお休みになってしまうのです。熱いボランタリー精神がある心理師さんであっても、年も取るし生活もあります。彼らのボランタリー精神に依存して、結果的に長期間の休日勤務や薄給を強いることは健全な形とは言えません。
ーー価格が安すぎると、今度はカウンセラーの方に負担がかかってしまいますね。
森田先生:そうです。一つの方法として、タクシーの深夜料金のように割り増し料金を乗せて値段を設定できれば、ストレスの軽減になるのではないかと思いました。自由に価格を設定して頂くことによって、心理師さんも折り合いがつきます。一回限りの無料カウンセリングと、高級な20回セットのカウンセリングの「間」の価格帯のサービスを作りたいと思ったのです。こうして「NAGON」が生まれました。
AUTHOR
栗尾モカ
記者・漫画家。新卒で航空会社に就職。退社後、出版社に入り多くの企画に携わる。「ダ・ヴィンチ」で漫画家デビュー後、朝日新聞の社会見学連載、「TVタックル」モバイルサイトインタビュー、女性誌「STORY」の海外・美容取材など数多くの連載を担当。女性のウェルネスをテーマにしたコミックエッセイは、取材の経験がニュースソースになっている。シンガポールのメディアに再就職した際、締切と子育てに追われる中でインド・バンガロールにあるヨガ研究大学(Swami Vivekananda Yoga Anusandhana Samsthana / S-VYASA)により考案されたヨガインストラクター認定プログラムに出逢い、資格を取得。伝統的なヨガ哲学や、心身を癒すメソッドを学び始める。著書に「サロン・ド・勝負」「おしゃれレスキュー帳」(KADOKAWA)「女のネタ帖」(学研)などがある。
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