私たちは生き方を選べる|多様性の時代は幸せの物差しも存在しない?【40代のリアル】

 私たちは生き方を選べる|多様性の時代は幸せの物差しも存在しない?【40代のリアル】
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井上敦子
井上敦子
2021-12-24

ここ数年で【ダイバーシティ】(多様性)というワードや、多様な価値観といった言葉をよく聞くようになりましたが、一つの価値観が強い時代に育った昭和生まれ世代には少し迷いがあるかも知れません。理想の女性像や結婚、職業や暮らし方に至るまで「王道の幸せ」の物差しがあった時代。知らず知らずにその物差しを基準にして、自分の幸せを推し量っていた人も多いことでしょう。でも今なら私たちはもっと自由に、自分の生き方と幸せを選べる。今回の【40代のリアル】は、多様な価値観と変化にまつわるお話しです。

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あなたは「多様な価値観」をすんなりと受け入れられますか?

私は1970年代生まれですが、昭和生まれに「何の違和感もなく多様性を受け入れられる人」がいったいどれだけいるのでしょうか?そんなに多くはないのではないかな?と個人的には思っています。私たち世代はおそらく、幼少期に多様な価値観を受け入れるベースを築くよりも、一つの価値観を共有することを大切にしてきた世代です。

例えば「女性はこうあるべき」という概念や「女性の幸せは結婚と家庭にある」といった価値観。その他にも、人生の成功は物質的な豊かさがもたらしてくれるという価値観が強かったし、日本の終身雇用制度の中にいれば安心だと多くの人が信じていました。もちろん環境や人によって違いはあるでしょうが、多様であることより同じ価値観を共有し同じ枠に収まる方が安心だと感じる人が多いと感じています。

そんな私たちが「結婚しないの方が幸せな場合もあるよね」とか、「ゲイカップルも子供を持てる権利があったらいいのにね」とか、「合わない会社はさっさと辞めて転職する方がいいよ」なんていうことは既存の物差しを捨てることなくしては言えないはずで、「うーん・・・やっぱり何だかんだ言っても、王道の幸せを手にした方が安心でしょう」という従来の安心ゾーンに落ち着つくこともあるでしょう。

「王道の幸せ」に縛られていたかも知れない

私個人の話をすると、私はどちらかというと「王道の幸せ」の道から外れた道を歩んできたので、20代・30代はずっとその代替品のようなものを探していました。分かりやすく胸を張れるような幸せを手にしていない代わりに、「私にはこれがあるから大丈夫なんです!今のままでも幸せです!」と言い切れるような何かが欲しかったし、家族など周囲に納得してもらうためにもそれを提示する必要があった。

これは何も私だけの話ではなく、例えば、独身の女性や自由業の人、LGBTQやシングルマザーの人などにとっては多かれ少なかれ同じような想いを抱えながら生きてきたのではないでしょうか?

そして更に、私から見たら王道を歩み幸せそうに見えていた人たちだって、そこから外れないために結構な労力を費やしてきたのかも知れないと思うのです。想像でしかないけれど…。もしかしたら王道の幸せを手にしても幸福だと感じられず、思い悩むこともあったかも知れません。そんな風に考えると、"王道"を歩んでいてもいなくても、マジョリティでもマイノリティでも、「分かりやすい幸せのかたち」はあらゆる人たちを縛ってきたようにも思えます。

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井上敦子

井上敦子

15年間の会社員生活を経てヨガ講師に転身。不眠症をヨガで克服した経験を持つ。リラックスが苦手だった経験から、ヨガニードラを通じてリラックスの本質を伝えるクラスを展開。週に8本のヨガニードラのレギュラークラスを持つ他、指導者養成講座やコラム執筆等ヨガニードラの普及に努めている。



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