40代女性は今から「成長」できるのか?人生の折り返し地点にいる私たちの"伸びしろ"を考える
日本女性の今の平均寿命からすると、40代は人生の折り返し地点。仮に平均寿命まで生きるとするとまだ半分の人生が残っているはずなのに、身体機能や外見の衰えを実感し始め「下り坂」にいるような気がしてしまう…そんな声をよく耳にします。今回は40代女性の”伸びしろ”に焦点を当てて、この先の私たちの成長について考えていきましょう。
1.身体の成長の”伸びしろ”
40代からの身体に必要なのは「努力と労わりのバランス」
私はヨガクラスで日々40代女性の身体に接していますが、その中で感じていることがあります。それは、身体への向き合い方をこれまでと変えるべき!ということです。例えばヨガで40代を過ぎてケガをする人は大抵、「今まで出来たポーズだからこれからも出来る」と思い込み、身体に負担をかけ過ぎています。特に関節への負担はケガに繋がりやすく、残念ながら30代までと同じようにはいかない。膝・足首・手首・肩…あらゆる関節を痛めやすくなるのが40代なのではないかと個人的には感じています。ヨガに限らず他のスポーツでも同じことが言えるでしょうし、日常生活でもそうかも知れません。40代を過ぎたら身体を「労わるべき部分」、「努力によって成長させる部分」に分けて捉えることが必要のようです。
努力によって成長させられるのは?
では、努力によって成長可能なところはどこでしょうか?それは筋肉です!私の知る限り、筋力は何歳になっても成長させることが出来ます。そしてこの筋力の増加(成長)は、「努力」と比例します。
私のヨガクラスでも、40代以上の人が多いクラスでは筋肉量を増やすことに重きを置いています。ヨガによくある柔軟性を高める動きは関節に負荷がかかる場合もあるので注意深く行い、筋力を高めることを第一に考える。筋力が高まれば関節を守ることが出来るし、代謝も上がり、スタイルアップにも繋がります。良いことづくしです!「身体が下り坂…」と感じていたとしても、筋力が高まれば成長や上向きの変化を感じることが出来て、気持ちも前向きになることが多い。40代からの身体は「労わり」と「努力」のバランスを上手に取りながら付き合っていけば、まだまだ伸びしは大きいと感じています。
2.精神的成長の”伸びしろ”
自分のことを知っているという精神的成長
精神的成長は、経験を糧として得られるものだと思っています。特に「自分のことを知っている」というのは、経験値に基づく成長です。若い頃の自己理解は他者に依存しやすく、他者の評価で自己評価も上がったり下がったりします。そこから経験を積むことで、自分と現実とのすり合わせがなされていく。客観的に自分を捉えることが出来るようになり、自分の得手不得手を理解し、自分の持つ「質」が分かってきます。
中国の思想家・孔子の「論語」の中に、”四十にして惑わず”という一説がありますが(四十歳にして、人生に対しての疑いをいだかなくなり、迷いがなくなったという意味)、自分の人生に対して迷いがなくなるという段階は、「自分のことを知っている」ということが必要不可欠です。40代というのは、自分への理解が完成されていく段階なのかも知れません。そしてこの成長は、この先の人生で自分という存在をいかしていくために大きな力となってくれそうです。
誰かのために生きられるという精神的成長
これはヨガの教えでもあるのですが、精神的に成長した人は利己的な部分が少なくなり、他者のために自分を捧げることが出来るのだと言います。若い頃はえてしてエゴが強く、自分を理解し生きることに精一杯です。人間関係の中でも誰かを大切にしているようで、実は自分の幸せを考えていたり、利己的な動機が後ろに隠れている、なんてことが多い(もちろん若い頃から精神的に成長している人も稀にいますが)。
誰かの幸せを手放しで喜ぶことが出来たり、見返りを求めることなく誰かのために行動することが出来たり…経験を積み、自分の生き方に迷いが少なくなった年代の精神的成長は、そんな形で現れるのではないでしょうか。また、こういった成長にはやはりある程度の努力や洞察が必要で、個人差が出てくるところかも知れません。この先豊かに歳を重ねていくためには、精神的成長を意識することが重要な気がしています。
年齢と共に失うものは、ある。けれど
多くの40代女性が身体機能や外見の変化を感じながら、将来を不安に思ったり、時には悲観したりしながら過ごしているのだと思います。歳と共に失うものが確かにあるからです。それと同時に何かを得ていくためには、時に努力を必要としたり、視点を変えることが大事なのかも知れません。でも、それがこの先の自分を支えてくれるのだと思うと、喜びを持って臨めるような気がしています。成長できる伸びしろがあることに喜びと楽しさを感じながら、前向きに歳を重ねていきたいものです。
AUTHOR
井上敦子
15年間の会社員生活を経てヨガ講師に転身。不眠症をヨガで克服した経験を持つ。リラックスが苦手だった経験から、ヨガニードラを通じてリラックスの本質を伝えるクラスを展開。週に8本のヨガニードラのレギュラークラスを持つ他、指導者養成講座やコラム執筆等ヨガニードラの普及に努めている。
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