「また眠れない…」がなくなる。更年期の“ぐるぐる思考”を止める夜の習慣術

「また眠れない…」がなくなる。更年期の“ぐるぐる思考”を止める夜の習慣術
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高本玲代
高本玲代
2025-07-18

更年期の方に向けたサービス「よりそる」を運営する高本玲代さんが綴るコラム連載。高本さんご自身もまさに更年期世代。わかりやすい不調だけではない更年期の影響について、体験を交えてお話しいただきます。

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「また、夜中に目が覚めてしまった…」
「あのことが気になって眠れない」
「どうしよう、明日もちゃんと過ごせるか不安」

更年期世代に差しかかると、こうした“ぐるぐる思考”が夜に顔を出すことが多くなります。特に40代後半から50代の女性たちにとって、心と体のバランスがゆらぎやすいこの時期は、「不安」「焦り」「孤独感」が夜の静けさとともに増幅されてしまうことも少なくありません。

そんな時に必要なのは、根性でも、解決策でもなく、「考える時間のルールを決めること」なんです。今回は、ぐるぐる悩んで眠れなくなったときの具体的な対処法を、プロの視点で丁寧にご紹介します。

夜に考えごとはしないと“決める勇気”

更年期の揺らぎは、女性ホルモンの低下によって心の状態にも影響を与えます。何気ない出来事や人間関係のひとコマが、妙に引っかかったり、思い出し怒りが止まらなかったり。

特に、夜は1日の疲れが溜まり、自律神経も不安定になりやすいため、「考えても仕方のないこと」を繰り返し思い出してしまう状態になりがちです。

ここでまず大切なのは、「夜は考えごとをしないと決める」という姿勢。一見シンプルですが、これがとても効果的です。

更年期
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“考える時間”は翌日の日中に設定する

夜は心が暗くなりがち。問題が大きく見えてしまうのは、視界が暗いからではなく、心の灯りが足りないから。

だからこそ、「考える時間は明日の昼にとってあるから、今は寝ることに集中しよう」と、自分に言い聞かせることが大事です。

ここでおすすめなのが、「翌日の日中に“悩みタイム”を設けること」。悩みを封じ込めるのではなく、“時間を移動させる”イメージです。

ルールはこうです:

  • 翌日の午後など、比較的落ち着いて過ごせそうな1時間を悩みタイムにする
  • 前半の30分は、今の悩みに関する情報収集(ネット検索や本を読む)
  • 後半の30分は、情報をもとに「今後どうするか」を具体的に紙に書いて考える

このように“悩む時間をきちんと確保”しておくと、夜のぐるぐる思考を止めやすくなります。

「明日考えるからね」と自分に声をかける

人は、未解決の問題に脳のエネルギーを消費します。それを無理に止めようとすると、逆に気になってしまうもの。だからこそ、「今は保留でOK」「明日考えるから大丈夫」と自分に優しく声をかける習慣をつけましょう。

最初は「そんなことで本当に止まるの?」と半信半疑でも、数日、数週間と繰り返すうちに、“夜に悩まない習慣”が少しずつ身についていきます。

自己肯定感が下がりがちな更年期の時期は、心の中の“もうひとりの自分”を育てるチャンスでもあります。

ぐるぐるしてしまう夜は、自分の一番の味方になって、「今は寝よう。明日、ちゃんと向き合うから大丈夫」と伝えてあげてください。

眠れない夜は“見る”より“聴く”

夜中に目が覚めたとき、ついスマートフォンを手に取ってしまう方も多いでしょう。ですが、画面の光(ブルーライト)は脳を覚醒させ、さらに眠れなくなってしまいます。

そんなときにおすすめなのが、“音だけ”を使ったリラックス法です。以下のようなものが特に効果的です:

  • 静かなナレーションのある睡眠導入音声(アプリやYouTubeなど)
  • 自然音(川のせせらぎ、雨音、焚火の音など)
  • 読み聞かせのような穏やかなオーディオブック

「見る」より「聴く」ほうが、脳に刺激が少なく、”思考が止まりやすくなる”というメリットがあります。

特に寝付きの悪い更年期世代には、「自分の脳に静かな環境を与える」ことが、何よりのセルフケアです。

まとめ:悩みを手放すのではなく、“時間をずらす”という発想

更年期に起こるぐるぐる思考や夜の不安は、決してあなたが弱いわけではありません。それはホルモン変化がもたらす自然な反応であり、これまで懸命に生きてきた証でもあります。

けれど、「眠れない」「考えが止まらない」と感じたときは、こんな風に考えてみてください。

  • 夜は脳を休ませる時間
  • 考えるのは明日の昼。時間をとってあるから大丈夫
  • 悩む時間は1時間だけ。30分で調べて、30分で方針を決める
  • 眠れないときは、目を閉じて音声を聞いてみる
  • 「明日考えるから、今は寝よう」と優しく自分に声をかける

ぐるぐる悩む夜が続いたとしても、あなたは少しずつ“自分を整える力”を取り戻していけます。今日から、まずは「夜に考えるのをやめる」とひとつ決めてみましょう。それが、明日を少しラクにする大きな一歩になります。

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