ストレスは"解消"よりも"管理"を|ヨガをヒントにしたストレスとの向き合い方#40代のリアル
あなたにとってストレスとは何ですか?ストレスという言葉はネガティブに捉えられがちですが、ストレスは全てが悪いものなのでしょうか。どうでも良いこと・価値のないことに対してストレスは感じないので、ストレスは人生を価値のあるものにしたいという願望のあらわれだと言い換えることもできます。とはいえ、大きすぎるストレスはやはり考えもの。忙しい世代といわれる40代の私たちがストレスを上手に管理していく方法を、ヨガの考え方を交えながら考えてみましょう。
ストレスは悪ですか?
そもそも、ストレスは悪なのでしょうか?どこまでのストレスが許容範囲内で、どこらからがレッドゾーンなのでしょうか。それには個人差がありますし、状況にも左右されるので定義は難しいですよね。
最近私は、ストレスを「悪」だと捉えないことにしています。確かにストレスにより、身体や心の健康が損なわれてしまう場合もあります。でも、ストレスや困難な問題を乗り越えてきた経験のある私たち世代は、おそらく知っているのです。今感じているストレスも永遠には続かずに、それがある意味で自分の成長を促してくれるのだということを。または自分の意識次第で、捉え方を変えたり違った視点を持つことができるのだということを。経験という財産が、ストレスとの向き合い方を良い方法へ導いてくれるのだと思います。
ストレスの良い面を見つめることは、感じているストレスを無理に肯定したり、または否定することではありません。あえてストレスの良い面に目を向けることで向き合い方が変わり、困難な問題にスムーズに向かっていけるのではないかと思うのです。
変えられるのもと変えられないものを分けるとラクになる
それでは具体的に、ストレスに向き合う際にヒントとなるヨガの考え方をお伝えしていきましょう。まず一つ目は「変えられるものと変えられないものを分ける」という考え方です。今感じているストレスが自分の努力によってどうにかなるものか、そうでないかを判別するということです。
ストレスの原因が変えられるものであれば、自分が快適だと感じられるように状況を変える努力をしてみる。変えられないものであれば、その状態に身を委ねる覚悟をする。もしくはそれを自分から遠ざける。「変えられないものを変えようとしない」というヨガの考え方は、人間がエゴイスティックにならず調和的に生きるための考え方でもあります。時として人は、自分の範疇を越えてコントロールをしたいという欲求を持つ生き物だからです。
このように問題の解決が自分の手中にあるのかどうかを今一度考えて見ると、ストレス自体が消えることはなくても、ストレスで生じるモヤモヤを小さくできるかも知れません。
「今ここにいる」ことがストレスを軽減する
二つ目は、「今ここにいる」というテクニックです。大きなストレスを感じているときには、えてして心も疲弊しているもの。その心の状態は思考と深く関わっていますが、思考というのは過去や未来を行き来する性質を持っていて、「今ここ」に留まることがとても苦手です。でも視点を変えて今の時点の自分に目を向けてみると、現状は案外平穏だったりします。つまり、自分の思考が自分を疲弊させてしまっている可能性があるということです。
心を疲弊させないためにも、今ここに留まること。目を閉じて呼吸に意識を向けてみたり、ヨガのポーズを行なってその動きに集中してみるのも良いでしょう。ストレス自体をなくすことはできなくても、心を落ち着かせ癒すことはできるはずです。
ストレスと自分を切り分ける
三つ目は、ストレスと自分自身の切り分け、客観視です。ストレスが大きければ大きいほど、身体も心もストレスに支配されてしまっているような感覚に陥るもの。そういったときは、「自分を見る目」を外側につくって、ストレスを感じている自分を眺めてみましょう。ストレスやそれによって生じる不快感や落ち込みなどは、自分に起きていることではあるけれど、自分自身の本質とは離れたところにあります。
そうすることにより、「私、よく頑張っているよね!」と自ずと自分に対して愛情が湧いてきたり、労いの気持ちが生まれてきたり。状況を冷静に把握できたりもするでしょう。それだけでも心は軽くなるものですし、自分を大切に扱えるようになるのでオススメです。
40代半ばになって私が思うことは、生きていることは素晴らしいことだけれど同時に結構大変だな、ということです。生きていればストレスを感じることも毎日起きるし、悲しいことも苦しいことも日常的にある。何歳になってもそれはどうやら同じのようです。ヨガの練習をしていると平和で平穏な日々を送れるというイメージがあるかも知れませんが、そんな魔法のようなことは起きません。
でも、様々な問題にどう向き合うか?これは自分で決めることができる。自分の在り方やものの見方は、自分次第で変えられることができます。ヨガの考え方には、より快適に日常を過ごすヒントがたくさん隠されていると思っています。もしも取り入れられそうなテクニックがあれば、ぜひ試してみてくださいね。
AUTHOR
井上敦子
15年間の会社員生活を経てヨガ講師に転身。不眠症をヨガで克服した経験を持つ。リラックスが苦手だった経験から、ヨガニードラを通じてリラックスの本質を伝えるクラスを展開。週に8本のヨガニードラのレギュラークラスを持つ他、指導者養成講座やコラム執筆等ヨガニードラの普及に努めている。
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